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フェアウッド・カフェ 「木のある暮らし講座」
第3回開催報告

2010.10.7掲載

フェアウッド・パートナーズでは、フェアウッドな木製品に囲まれた、気持ちよい暮らしを実現するための講座を毎月1回開催していきます。おいしい森林農法のコーヒーを飲みながら週末の午後をお楽しみください。

【第3回】
「栗の木とわたしたちの深~い関係」
日時:2010年9月4日(土)15:00-17:00
場所:チェコ料理レストラン「カフェano」

●クリの木の家具のお話

フェアウッド・カフェ「木のある暮らし講座」第3回の講師は、表参道にお洒落なショールームを持つインテリアショップWISE・WISE(ワイス・ワイス)の代表取締役、佐藤岳利さんです。そしてテーマは昔から私たちが親しんできた、実りの秋の代表格「クリ」。クリの木を使った家具の制作とそこに込められた環境への想いについてのお話を聞きました。

佐藤さんがワイス・ワイスを立ち上げたのは14年前の1996年。「日本発の世界に通用する家具メーカーを作る」と周囲の反対を押し切り、脱サラしての創業でした。ワイス・ワイスのコンセプトは「長く使う」。せっかく生まれた商品は少なくとも100年は使ってほしいと考えているそうです。 ワイス・ワイスは、「子供たちのことを考えて、家具の作り方を変えよう」と考え、「ワイス・ワイス グリーンプロジェクト」を立ち上げ、「4つの約束」を決めました。それは、1)長期使用にこだわる、2)安全な材料を選び健康に配慮する、3)森を壊さず、豊かな森を育てる、4)環境負荷の削減に取り組む、ということ。

違法に伐採された疑いのある木材を使わないよう、2年前から300以上あるアイテムの原料についてトレースを始めました。木材のサプライチェーンを辿って合法性確認をしていくと、どこかで伐採許可証や搬出許可証が出てくるはずで、書類の出てこないものは疑わしいと言えます。しかし、20社ほどの下請け会社のそれぞれが10~20社の製材業者などと取引しているため、「サプライチェーンの確認を」と言っても、一朝一夕では進みません。これまでに約半分の合法確認ができ、今後1年半の間に100%の確認を目指しています。2012年までに疑わしい材料の排除ができない業者とは取引を停止すると伝えています。

始めた当初は、取引業者からも「フェアウッドって何?認証?国産材は品質が劣る」という声が上がり、理解を得にくかったのですが、メディアなどで取り組みが紹介される機会が増えるに従い、徐々に理解が広まってきたそうです。

今、日本の家具メーカーは日本で家具を作らなくなってきています。また国産材が家具に使われることもほとんどありません。戦後拡大造林等で植林政策を取り、人工林を増やしてきた一方で、日本の木を使わず、海外の木材を使うようになっていきました。そこで、ワイス・ワイスでは、岩手産のクリ材を使った「AKI-Ⅱ」シリーズを、神社で使う「組み木」という手法を使って制作しています。

これまではロシアのオーク(ナラ)材を使っていたのですが、違法伐採の可能性を捨てきれないため、ロシア産オーク材と国産クリ材の同じ製品を同価格で売り出し、選べるようにしています。お客さんには、それぞれの材の産地についての情報を伝えることで、できるだけクリを選んでもらえるよう勧めており、現在まで販売されているのは99%クリ材になっています。 フェアウッド・パートナーズの中澤によると、ロシアのナラ材というのは、日本海に近い沿海地方に生えているが、高価で、中国で良く売れるため、違法伐採が横行しているが、汚職も蔓延しているため、輸出されるときには合法な木材になっているそうです。

また「里山」シリーズでは、クリ材のフローリングの端材を、集成材として家具に活用することを試みました。これまで、端材は燃料かパルプ原料になっていましたが、木をより長く使うために家具にする方法を考えました。他にも成長が早く5年で成木になるラタン(籐)を使った家具や、最近増えすぎで困っている国産の竹を原料にした家具作りにも取り組んでいます。また、伐り捨てられることの多いヒノキの間伐材についても、活用方法を考えました。若い材は乾燥の時に割れてしまうという問題がありましたが、いろいろ調べた結果、スチームして導管に水を入れてから乾燥すると、割れないということがわかり、無事にテーブルとイスを作ることができたそうです。

●チェコ人の森とのつきあい方
クリの家具の話の後は、今回のフェアウッド・メニュー、クリのケーキ。会場となったチェコ料理レストラン、カフェanoのシェフで、チェコ出身のレナータさんによると、チェコの人々は森が好きで、お休みの日にはよく森へ行くそうです。そして秋の森といえば、「マッシュルーム!」。チェコでは多くの人が、自分でキノコを採るので、キノコの種類や、毒キノコの見分け方なども良く知っているそうです。クリは?と言うと、実は「イノシシやシカのエサ」という認識・・・。

今回作っていただいた、ケーキ“ペルニーク”も本当はクルミを使って作るそうです。チェコの森にはレナータさんいわく「森の社長(番人?)」がいて、子供たちに森のことを教えてくれたり、森の管理をしているそうです。子供たちが集めたクリの実を、「森の社長」が冬の動物たちのエサ用に置いておくということでした。「秋の森」と言うたびに「マッシュルーム・・・」と、えも言われぬ表情を浮かべるレナータさん。今度はぜひ、採れたてキノコでフェアウッド・メニューをお願いしたいものです。

野菜 サラダ

クリのケーキには、参加者が思い思いに切った紙を乗せ、上から粉砂糖を振りかけてデコレーションし、木のお皿にクリームと一緒に盛りつけて、いただきました。 コーヒーを飲みながらの質問タイムには、さまざまな質問が寄せられました。

Q1.なぜ国産材の中でもクリを選んだのですか?
佐藤:日本の雑木林に自生する200種位の木の中で、家具に適した材としてまずヤマザクラ、オニグルミ、ブナ、イタヤカエデ、クリの5種が候補に挙がり、その中で、量が安定的に確保できること、価格がロシアのオーク材よりも極端に高くないこと、歩留りがいいこと、作りやすいこと、見た目の美しさ、などについて検討した結果、クリが一番ということになりました

Q2. 家具を長く使うためのポイントは?
佐藤:手をかけることが大事。最初の汚れや傷みを見過ごさずにちゃんと手入れすること、乾きすぎないように、オイルで時々手入れするのも効果があります。

Q3. なぜ端材の活用を?
佐藤:たまたま端材がたくさんあるといわれて、活用する方法を考えた 今後は、日本の山であり余っているスギ・ヒノキなどの針葉樹を活用することを検討していて、「国産の木を使って森を守る」ことに貢献していきたいと、お話いただきました。

参加者のアンケートからは、「メーカーにとってもサプライチェーンの確認が難しいということがショックでした」というコメントや、「カフェ形式で、楽しく学べた」「また参加したい」という声が多く寄せられました。 手間がかかっても環境のことを考えて、日本にたくさんある材料を使って長く使える家具作りを続け、それを通じて森づくりに貢献していきたいという佐藤氏のお話し、そしてチェコの家庭的なケーキと森のお話しで、皆さん素敵な土曜の午後を過ごせたのではないでしょうか。

※「木のある暮らし」講座は環境再生保全機構の地球環境基金の助成を受けて実施いたします。


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