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フェアウッド・カフェ 「木のある暮らし講座」
第6回「都会に眠る木材=都市木材をおしゃれに使う」開催報告

2010.12.27掲載

フェアウッド・パートナーズでは、フェアウッドな木製品に囲まれた、気持ちよい暮らしを実現するための講座を毎月1回開催していきます。おいしい森林農法のコーヒーを飲みながら週末の午後をお楽しみください。

【第6回】
「都会に眠る木材=都市木材をおしゃれに使う」
日時:2010年12月4日(土)14:00-16:00
場所:カフェ&バー「ゴルビィ」(旧カペルシータ)
フェアウッド・アイテム:都市木材のパン皿
フェアウッド・メニュー:白神山地の天然酵母パン

飯田善郎さん
6回目の「木のある暮らし講座」は、都会で毎日大量に出ている廃木材にフォーカスして開催されました。住宅や店舗を解体するたび廃棄の対象となる都市木材。多くはそのまま処分されてしまいますが、これを食器から家具、店舗の内装やオブジェ、ツリーハウスなどに再生している人がいます。今回は、そんな活動に尽力されているラケルメジェール代表で空間デザイナーの飯田善郎さんを講師にお招きしました。飯田さんのお話や作品、実演の題材が身近な物ばかりとあって、参加者の皆さんにとっては、普段の生活に思いをめぐらせる時間となったようです。

都市木材= 建築解体材や街路樹・庭木を剪定した木など都市から廃棄される木材


フェアウッド・カフェがイベント出展するときに使っている都市木材を使ったブース。 店舗や住宅などの柱や飾りになっていた部分を張り合わせてモザイク状に仕上げたり(奥側)、パーテーションだったヒノキを左側の壁に、東京・あきるの市産のスギの丸太から建築や建具材として材を取った後に余りとして出る耳の部分を右側の壁に使っている。
日本全体で発生する建築廃材(建設発生木材)は、年間1180万m3。国産材の総供給量が年間1900万m3程度なので、つまり日本の全森林から伐採される木材量の6割に相当する量が、建築現場で発生していることになります。

日本の住宅の平均的な耐用年数は30年程度といわれていますが、これは英国141年や米国103年と比べて著しく短くなっています。また飲食店などの店舗も、店舗の開廃業の回転が速く、営業を続けるところでも、頻繁なリフォームが必要になるなど、解体に伴う廃木材が大量に発生している状況です。そうした建築廃材のなかには、構造材を始め無垢の木も多く、なかには内装のカウンターや床柱などに使われていた希少な銘木もスクラップされています。建築廃材の2/3は、回収されてリサイクルにまわされていますが、その大部分は燃焼して熱利用するか、MDFやチップボードの原料となり、どんなに立派な木材であっても粉々に粉砕されてしまいます。また1/3は未利用のまま捨てられています。

木材は森林の恵み。様々な生き物たちとの相互関係の中で数十年~数百年かけて育った大切な命が、人間の都合でわずか数年でスクラップにされてしまうのは忍びないものです。家や家具を手入れしながら長く使うこと、部材として都市木材を上手く再使用すること、そうしやすいモノづくり・仕組みづくりをすること。もともと日本人のDNAにあったものをもう一度取り戻していきましょう。

●小さい頃から木の虜
飯田さんは、彫刻家だった父・故飯田善国さんの影響で、物心つく頃には木がお気に入りのおもちゃだったそう。廃木材を拾っては、犬小屋や友人との隠れ家を作ったり、仏像を彫ったりしていた少年時代。今の活動は、その延長線なのだそうです。約20年前、新建材による建築が大半を占めていた頃も、飯田さんが扱ったのは無垢の木のみ。「触れて気持ち良く、気分が落ち着く空間づくりにこだわりたかった」からです。

飯田さんにとって、材料の主な仕入れ先は知り合いの山林や材木店。各地の山を訪れるたび、国内林業の深刻な衰退ぶりを実感しているそうです。後継者がなく、「後を継いでもらえないか」と懇願されたり、手入れが行き届かず荒れた山で「たくさん切って持って行ってくれたら助かる」と喜ばれることもあるからです。

材料を提供してくれる場所は、材木店や山林に限りません。都会であれば、常時どこかで店舗や住宅が解体されているからです。カウンターやテーブル、梁や柱に使われていた無垢の木は、カンナで一皮剥くだけで新品同様によみがえります。手間はかかりますが、飯田さんにとっては望むところ。きれいに磨いて、オフィスビルや庭園のオブジェ、浜辺のカフェやツリーハウスなどに作り直します。実は、フェアウッド・カフェ提携店第1号の「ゴルビィ」も飯田さんの作品で、無垢の木の耐久性と落ち着く雰囲気が、スタッフにもお客さまにも大好評です。「お店は何百ヵ所も作っていますが、閉店してオーナーが代わっても、次のオーナーさんにそのまま使いたいとよく言われます」。照れながら飯田さんはそう言うや、「でも、これだけでは生活できないので、(廃材を使わない)他の仕事もしているんですけどね」と苦笑いされていました。

オーストラリアの国際家具展での危険木を使用したオブジェ

貨物荷台上に創った都市木材のキャンピングカー

●チェコのクリスマス菓子「ヴァノチカ」
今回、ティータイムにご紹介したのは、チェコのクリスマスに欠かせない「ヴァノチカ」というパン菓子です。チェコではクリスマスイヴになると、各家庭でレーズンとアーモンドをちりばめた甘いパンを焼いて食べる習慣があります。一年の小麦の収穫に感謝して、翌年の豊作を祈る意味があるそうで、パンの形は麦の穂を摸しています。細長いパン種を、下から四つ編み、三つ編み、二つ編みにして重ねるそうです。この日ヴァノチカを焼いてくださったのは、白神山地の土壌から採取された天然酵母、白神こだま酵母でパン作りをされているPan de Smileの須藤宏幸さん。白神こだま酵母の特徴は、パンをふわふわでもちもちとした食感にすること。そのため、本場ではラードを入れてサクサクにしますが、須藤さんは代わりにバターを使って酵母の持ち味を生かしたそうです。

そのヴァノチカが、飯田さんプロデュースの都市木材のパン皿で振る舞われると、手にした参加者の皆さんからは「あ、軟らか~い!」「すごく美味しいですね」と歓声が上がりました。「今度買いに行きたい」と、須藤さんのパンを販売している表参道のチェコ料理店「カフェano」をメモする方もいらっしゃいました。

●お寺に眠っていたうすの再生
パンとコーヒーで心も身体も温まったところで、皆さんには一度、会場の外に出ていただきました。飯田さんが、神奈川県横浜市?のお寺で長年放置されていた木のうすの再生作業を実演してくれたのです。このうすはケヤキ製で、直径65㎝、高さ55㎝、重さは70㎏近くもある立派なものですが、何十年もの間お寺の物置に眠っていました。相談を受けた飯田さんは「磨けばまた使えますよ」と再生を請け負い、預かってきたそうです。

電動のやすりをかけると、ケヤキの粉が舞い上がります。大まかに削った後は、手作業で丁寧に磨きます。参加者の皆さんや通りかかる人々が見守る中、飯田さんは「どこまで削るか判断が難しい。たくさん削ればきれいになるけど、歴史や面影が消えてしまう」と、悩みながら手を動かしていらっしゃいました。磨いた後は、天然素材のワックスで仕上げ、お寺に返すことになっています。

飯田さんの実演を熱心に見守っていた港区在住の女性(28歳)は「普段何気なく使い捨てている自分の生活を見直した。とりあえず使えて安いものを買い、使えなくなったら捨てればいいと思っていた。長く使えるか、材料はどこから来たのかといったことは考えていなかった。着なくなった服がたんすに眠っているのも、何とか有効利用したい」と話してくださいました。


年内の「木のある暮らし講座」はこれで終わりです。来る2011年は、国連の定める「国際森林年」。月に一度、フェアウッドを切り口に世界の森林を考えてみる、そんなライフスタイルはいかがでしょう。さらに楽しくご参加いただけるよう、スタッフ一同工夫してまいりますので、来年も「木のある暮らし講座」をどうぞよろしくお願い申し上げます。  

※「木のある暮らし」講座は環境再生保全機構の地球環境基金の助成を受けて実施いたします。


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