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<プレスリリース>
熱帯林の破壊及び人権侵害につながる疑いのある合板の使用について緊急の調査を要請
新国立競技場建設で

2017.4.21掲載
2017.8.1更新

日本及び国際環境団体は本日、持続可能な2020 年東京オリンピックへのコミットメントに対する深刻な違反であるとして、東京の新国立競技場の建設における、悪評高いマレーシアの伐採企業であるシンヤン社製と考えられる熱帯材合板型枠の使用について緊急に調査するよう要請した。

国際オリンピック委員会(IOC)及び東京2020 大会関係者は、オリンピック関連の建設事業において違法かつ持続不可能な木材が使用されるリスクが高いことに対し、繰り返し情報提供を受けてきた[1]。昨年12月の新国立競技場の建設着工の数日前には、40 を超える環境団体がIOC に対し、オリンピック関連の建設事業で使用される木材が合法かつ持続可能なものであることを確保するための東京2020 大会関係者及び日本政府による取り組みが適切でないと警告する書簡を送付した[2]。NGO は、オリンピックで使用される木材について強固なデューデリジェンスを義務付けることでリスクを直ちに軽減しなければ、生物多様性、気候変動、地域コミュニティに悪影響を与えることになると主張してきた。


(a)新国立競技場の建設現場。赤い丸囲みがシンヤン社の表示。

(b)a の拡大。マレーシア・サラワク州で生産された合板型枠が競技場建設で使われていることを示す。赤い丸囲みがシンヤン社の表示。
(c)
(c)国立競技場で使用されている当該合板(写真(a)及び(b))はPEFC認証製品であることがわかりました。当初、本リリースに掲載していた写真(c)はシンヤン社製の認証されていない合板であり、事実と異なるため掲載を取りやめることにしました。誤解を与える写真掲載になったことをお詫びして訂正します。

4月3日、競技場の建設現場において、シンヤン社のものであると思われる表示の付いた熱帯合板がコンクリート型枠に使われていることが調査担当者によって判明した(添付写真(a)、(b)参照)。 表示は、シンヤン社製合板として日本国内で販売されているものに非常に類似している(添付写真(c)参照)。4 月18 日にも熱帯合板型枠の使用が確認されている。

シンヤン社は、違法伐採が横行し、森林破壊が世界で最も深刻な場所の一つであるマレーシア・サラワク州の6 大伐採企業の一つとして知られている。同社は、「ハート・オブ・ボルネオ」と呼ばれる、国境をまたがる保全地域を広範に含む原生林を組織的に伐採している。2016 年には、一日当たりサッカーコート40 個分以上に当たる面積の手付かずの雨林を皆伐したことが明らかになっている[3]。地元コミュニティ及び同社の元社員は、自社の利益に反する懸念を表明したり、行動を起こす者に対して恐喝や襲撃をするために、同社が武装した犯罪組織を雇っていると主張している。また、同社は森林に対する慣習上の権利を主張する先住民族の人々に影響を及ぼすような人権侵害にも関与している[4]。建設現場で見られた合板型枠に「E パネル」と表示されているからといって、必ずしも環境面での持続可能性や人権侵害とは関わりのないことを保証するものではない。

「シンヤン社はサラワクの熱帯林で最も悪名高い開発企業の一つであり、この企業からの合板はいかなる持続可能性基準をも満たしてはいない。シンヤン社の合板を使用することは、持続可能なオリンピックを開催するという日本のコミットメントに対して明らかな違反である」とMarkets for Change のペグ・パットは述べた。

「シンヤン社の木材製品を使用することは、立場の弱い先住民族であるペナンやイバンの人々から慣習的権利や生計手段、文化的慣行を奪うことになる」とSarawak Dayak Iban Association のニコラス・ムジャは述べた。

さらに懸念されるのは、大会組織委員会が環境面の持続可能性及び人権に関する基準からコンクリート合板型枠を免除するという抜け穴を認めていることである[5]。適用される方針は、合法性について極めて弱い規定である「グリーン購入法」で、この規定のもとでは違法性の高い木材が合法な木材として日本に輸入されてしまっていると、これまで繰り返し批判されている[6]

「国立競技場は日本政府が建設する建造物であり、国の威信を示す場所でなければならない。しかし、オリンピック関連の建設において弱い環境・社会基準が適用され、不正企業からの木材を使用しているという証拠を考えると、オリンピック及び日本にとっての不祥事なりかねないと懸念する」と国際環境NGO FoE Japan の三柴淳一は述べた。さらに三柴は「この証拠により、大会関係者が大会のための木材をどのように調達しているかを緊急に調査すること、そして木材が合法、持続可能で、人権侵害に関わっていないか確保するための強力な対策を即時に採用することが求められる」と述べた。

環境団体は、日本のオリンピック関係者に対して説明及び信頼のおける環境監査のできる第三者による公開調査の実施を求めている。ここで提示された問題が解決されない限り、建設現場でこれ以上熱帯合板が使われてはならないと環境団体は要請する。


  1. [1] 例えば以下を参照:グローバル・ウィットネス「衝突する二つの世界(Two Worlds Collide)」(2014年12月)https://www.globalwitness.org/olympics/、グローバル・ウィットネス「マレーシアの熱帯林破壊と日本:持続可能な2020年オリンピック東京大会へのリスク(Japan’s links to rainforest destruction)」(2015年12月)、https://www.globalwitness.org/ru/reports/shinyang/ .
  2. [3]グローバル・ウィットネス、「マレーシアの熱帯林破壊と日本:持続可能な2020年オリンピック東京大会へのリスク(Japan’s links to rainforest destruction)」
  3. [5]公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、持続可能性に配慮した木材の調達基準英語版:https://tokyo2020.jp/en/games/sustainability/data/sus-wcode-timber-EN.pdf 日本語版:https://tokyo2020.jp/jp/games/sustainability/data/sus-wcode-timber-JP.pdf

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【本リリースについての問合せ先】
[日本]三柴淳一/国際環境NGO FoE Japan, mishiba(a)foejapan.org, +81-3-6909-5983
[オーストラリア] Peg Putt, Markets For Change, peg.putt(a)gmail.com, +61 418 127 580
[マレーシア] Nicholas Mujah, Sarawak Dayak Iban Association, sadiahq(a)gmail.com , +60-168946976
※(a)は@に置き換えてメールください。



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