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ロイター:焦点:アフリカのカカオ豆農家窮地に、「適正対価」の枠組み失敗

コートジボワールでカカオ豆農家を営むエデュアルド・クアメ・クアディオさんは、貧しいままで一生を終えることになると諦めている。世界中でかつてないほど多くのチョコレートが消費され、原料の需要が高まっているにもかかわらずだ。
2019年にコートジボワールとガーナの政府が共同で導入した、農家の生活所得を保障するプログラム(LID:世界のカカオ価格に1トン当たり最低400ドル(約5万3000円)の生活賃金保障金を上乗せすることで業界と合意)により、カカオ豆生産上位国の両国の農家の生活が圧迫されていることが分かった。新型コロナウイルスのパンデミックが需要に影を落とし、国際的なカカオ価格が下落。コートジボワール
とガーナは、生活賃金保証金を上乗せしても出荷価格を目標水準にまで引き上げることができなくなった。
業界専門家11人は、こうした状況に至った原因として、1)生産余剰により世界中でカカオの価格が低迷したことや、2)チョコレート会社や商社・仲介業者がマージンを守ろうとしていることを挙げ、3)政府のプログラムには供給管理の仕組みがないなどの「本質的な不備」があったと指摘した。
1)について:クアディオさんがカカオ農家を続けてきた40年間に小規模農場が増え、コートジボワールに劇的な変化をもたらした。輸出経済の急成長に拍車をかけた一方、かつて豊かだった熱帯雨林はほぼ全て失われた。耕作地が拡大しカカオ供給量は世界のチョコレート需要を度々上回るほど増加。カカオ豆の価格はほとんど変動せず低いまま。
2)について:世界中のバイヤーが、新型コロナウイルスのパンデミックにより長年払ってきた西アフリカ産の高品質カカオへの「産地プレミアム」を引き下げる対応を取った。
3)について:カカオ農家が適正な対価を得られるよう活動する団体VOICEネットワークの代表は、 企業責任を追及し続けることも重要とした上で、カカオ豆の供給量をコントロールしない限り、LIDは失敗に終わる運命にあると指摘する。「価格にだけ介入して、供給管理はしないなどありえない」と、同代表は話す。
この点について、LIDを主導した両国政府の共同組織「コートジボワール・ガーナ・ココア・イニシアチブ(CIGCI)」は、「他の産出国に対する投資がますます増えてきている」ことから、コートジボワールとガーナは作付面積を減らすことにリスクを感じていると分析。供給管理は世界的な問題だと付け加えた
原文はこちら(日本語)https://www.reuters.com/article/us-cocoa-poverty-idJPKBN2W409J