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【プレスリリース】
輸入合板に対する違法材規制により国内林業の活性度合いが明らかに ~違法材規制により国産合板用丸太需要を15%押し上げ

プレスリリース本文(PDF版)

2013年11月

国際環境NGO FoE Japan
地球・人間環境フォーラム
熱帯林行動ネットワーク(JATAN)

違法木材の輸入規制と国産材需要や価格との関連については、これまで明らかにされてこなかったが、今回、法政大学の島本美保子教授のご協力により、仮に「違法伐採木材(または違法性が強く疑われる木材)が日本市場から排除された場合、国産合板価格と合板用丸太需要にどのように影響するか」を、過去20年間のデータを使った計量モデルによってシミュレーションしていただいた。結果は、違法伐採木材の輸入が規制されれば合板用丸太需要が上昇する、というものとなった。


日本は国土面積の66.4%(2,510万ヘクタール)(※1)を森林が占め、先進国では第3位の森林率を誇る(※2)。うち約1,000万ヘクタールが拡大造林政策によるスギ、ヒノキ等の人工林である(※3)。1964年に木材が全面的に輸入自由化された後、急速に輸入が増加し、1955年には約95%だった木材の自給率は急減し、現在も3割に至っていない。拡大造林で植えられたスギ・ヒノキの多くが現在40~50年生となり、主伐期を迎えつつあるが、国産材価格は低迷を続けている。

  出典:林野庁木材需給表より作成

  出典:農林水産省木材統計調査より作成

また、日本は世界有数の木材輸入国であり、中国に次ぐ世界2位の熱帯木材輸入国である。また国内外の環境団体や海外のシンクタンクから、日本が違法木材の輸入国として重要な位置を占めているとの指摘がある。

日本の違法伐採対策に関連する法規制は、2006年のグリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)による「政府調達における合法木材の優先購入」に限られ、民間に対しては一般的責務として努力が推奨されているのみで、法的拘束力はない。 一方、アメリカでは2008年(改正レイシー法)、EU(欧州連合)では2013年(EU木材法)より違法に伐採された木材の輸入を禁じる法律が施行され、オーストラリアでも類似の法律が2014年に施行開始される。

このように先進諸外国の違法伐採対策が進む中、木材輸入量の多い先進国日本としても、違法伐採対策を強化する必要に迫られている。日本が輸入する木材に、違法伐採に由来するものが含まれているとの調査報告は複数あり、木材輸入量に占める違法伐採木材の割合は控えめに見積もって9%程度との推定がある(※4)。これは統計上の齟齬を元に違法材の割合を計算したもので、今回はこの数値を元に試算を行った(※5)

このシミュレーションが今後、日本の違法木材輸入対策と、国産材価格の上昇につながり、引いては国内林業の活性化に貢献することを期待したい。


【注】

(※1)平成25年度森林・林業白書
(※2)FAO「Global Forest Resources Assessment 2010」
(※3)平成25年度森林・林業白書
(※4)Sam Lawson and Larry MacFaul (2010),Illegal Logging and Related Trade. Chatham House
(※5)今回の試算には含めていないが、日本の輸入合板および合板原料の主産地であるマレーシアのサラワク州においては近年、森林伐採権の発行が州の土地法において違法となる判決が出ており、今後このような例も違法材となる可能性がある。


【本件に関する問合せ】
国際環境 NGO FoE Japan (三柴、岸田)
TEL: 03-6907-7217 / FAX: 03-6907-7219
一般財団法人地球・人間環境フォーラム(坂本、飯沼)
TEL: 03-5825-9735 / FAX: 03-5825-9737




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