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輸入合板に対する違法材規制により国内林業の活性度合いが明らかに~国産合板用丸太需要を13%押し上げ

2014.3.17掲載


2014年3月
国際環境NGO FoE Japan
地球・人間環境フォーラム
熱帯林行動ネットワーク(JATAN)


違法木材の規制と国産材需要や価格との関連については、これまで明らかにされてこなかったが、今回、法政大学の島本美保子教授のご協力により、仮に「違法伐採木材(または違法性が強く疑われる木材)が日本市場から排除された場合、国産合板価格と合板用丸太需要にどのように影響するか」を、過去20年間のデータを使った構造方程式モデルによってシミュレーションしていただいた(※1)。結果は、違法伐採木材の輸入が規制されれば国産合板用丸太需要が増える、というものとなった。

日本は国土面積の66.4%(2,510万ヘクタール(※2))を森林が占め、先進国では第3位の森林率を誇る(※3)。うち約1,000万ヘクタールが拡大造林政策によるスギ、ヒノキ等の人工林である(※4)。1964年に木材が全面的に輸入自由化された後、急速に輸入が増加し、1955年には約95%だった木材の自給率は急減し、現在も3割に至っていない。拡大造林で植えられたスギ・ヒノキの多くが現在40~50年生となり、主伐期を迎えつつあるが、国産材価格は低迷を続けている。

また、日本は世界有数の木材輸入国であり、中国に次ぐ世界2位の熱帯木材輸入国である。また国内外の環境団体や海外のシンクタンクから、日本が違法木材の輸入国として重要な位置を占めているとの指摘がある。日本の違法伐採対策に関連する法規制は、2006年に改正されたグリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)による「政府調達における合法木材の優先購入」に限られ、民間に対しては一般的責務として努力が推奨されているのみで、法的拘束力はない。

一方、アメリカでは2008年(改正レーシー法)、EU(欧州連合)では2013年(EU木材法)より民間を含む違法に伐採された木材の取引を禁じる法律が施行され、オーストラリアでも類似の法律が2014年に施行開始される。このように先進諸外国の違法伐採対策が進む中、木材輸入量の多い先進国日本としても、違法伐採対策を強化する必要に迫られている。また、日本の違法伐採対策強化によって、国内の合板市場や丸太市場の拡大につながる可能性もある。

そこで、違法材の混入が問題視されている合板について、日本と日本に合板を輸出している主要な3カ国(マレーシア、インドネシア、中国)を対象とした構造方程式モデルで、日本が違法材規制を行った場合、合板市場や合板用丸太市場にどのような影響が現れるのか、1990~2010年のデータを用いてシミュレーションを行った(詳細は添付資料参照)。

2010年の国産合板出荷量の実績をもとに推計すると、マレーシアの合板が20%減少した時、国産合板の需要量は出荷量の9.3%にあたる307,487.5m3増加し、合板価格は4,766円(2010年の国産合板価格の8.06%)上昇する。この時、国産の合板用丸太需要は332,086.5m3(13.3%)増加する。さらにマレーシア産の合板用丸太も違法材規制で20%減少し、その分が国産材に置き変わったとすると、さらに合板用国産丸太需要量が2.62%増え、合計で15.92%合板用国産丸太需要量が増加する、という結果が得られた。

なお、中国産合板については違法材混入が見込まれ、違法伐採材の規制によって、輸入量が減少する公算が高い。これもあわせて起こるとすると、さらに国産合板市場および素材市場への影響は大きいものと考えられる。さらに日本以外の地域の合板との代替性が高いということは言えないことも確認されている。

しかし、収集できたデータに限界があり、結果もその限界に左右されている。より詳細なデータが関係者間で収集・共有されれば、たとえば、木材取引の規制により懸念されている非木質資材への代替を含めた、より質の高いシミュレーションが可能になるだろう。

このシミュレーションが今後、民間も対象とした違法伐採木材の規制を日本に導入することの有効性や必要性、さらに国内林業の活性化との関係について関係者間の議論を深めるために活用されることを期待したい。

添付資料(PDF):輸入合板に対する違法材規制が日本の合板需要・合板用丸太需要に与える影響(島本美保子氏/法政大学社会学部教授)、林経協季報 杣径 No.32(2014年3月)


(※1) なお、本リリースは2013年11月に発表したリリースを改定したもの。輸入価格データの質を向上させ、再計算を行った。

(※2)平成25年度森林・林業白書

(※3) FAO「Global Forest Resources Assessment 2010」

(※4) 平成25年度森林・林業白書


◆本件に関するお問い合わせ◆
国際環境 NGO FoE Japan (三柴、岸田)
TEL: 03-6907-7217 / FAX: 03-6907-7219

一般財団法人地球・人間環境フォーラム(坂本、飯沼)
TEL: 03-5825-9735 / FAX: 03-5825-9737

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