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フェアウッド推進フォーラム報告

2004.12.11

2004年12月10日と11日、東京ビッグサイトで開かれたエコプロダクツ2004に於いて、環境4団体(FoE Japan、地球・人間環境フォーラム、JATAN、日本環境ジャーナリストの会)主催の「フェアウッド推進フォーラム」を開催しました。

1日目は、大勢の企業や行政の環境・調達担当者を対象に、欧州最大のDIYチェーンB&Q社の前CSR担当ヒラリー・トンプソン氏とアメリカのNPOのMetaforeのクリスティン・ボナー氏を講師に迎えたセミナーを開催しました。

2日目は、一般の方々を対象にシンポジウムを開催。上記のお二人に加え、豪州タスマニアNGOのフィル・プリンジャー氏、インドネシアNGOのトグ・マヌルング氏とアルビ・バレンティヌス氏、日本のNGOからは西岡良夫氏らが、海外の原生林伐採や違法伐採の問題と、日本のマーケットとのつながりについてショッキングな事実を報告しました。

日時
セミナー: 12月10日(金) 14:00~16:30
シンポジウム:12月11日(土) 13:00~16:30

場所
セミナー: 東京ビックサイト会議棟 101会議室
シンポジウム:東京ビックサイト会議棟 607・608会議室
※会議棟は会場入口すぐ側 会議棟詳細図ビックサイトへのアクセス

セミナー
紙・木材のグリーン調達に動き出した世界のリーディング企業
世界の森林減少・劣化が進む中、欧米では、森林環境に配慮した紙・木材を積極的に調達する企業が増えています。日本でも、違法伐採材や原生林材を利用しない方針を立てる企業が見られるようになってきました。 環境に貢献する企業として、またCSR(企業の社会的責任)経営の一環として積極的にグリーン調達を実践している欧米の専門家等に、その必要性や具体的な進め方についてお話しいただきました。

アルビ氏
欧州最大DIYチェーン イギリスB&Q社の木材のグリーン調達
ヒラリー・トンプソン氏〔前B&Q社会的責任マネージャー、TFT(熱帯林トラスト)理事〕

米国リーディング企業の紙のグリーン調達
クリスティン・ボナー氏〔米国NPOメタフォー 企業プロジェクト・マネージャー〕



シンポジウム
世界の森林問題と消費国の取り組み
~持続可能な森林資源利用を目指して~
日本が木材を輸入している国々の中には、違法伐採や原生林伐採による森林破壊が止まず、地域住民や先住民の生活への影響が深刻化している地域もあります。 その対策の一つとして欧米ビジネス界では、森林環境に配慮した紙・木材製品を選択する取り組みが進められています。現地で森林保護に取り組んでいるNGOや、需要国としての取り組みを進めている欧米の専門家に、伐採地の森林の状況や、私達にできることは何かについてお話しいただきます。

タスマニアの原生林伐採の現状(仮題)
フィル・プリンジャー氏〔豪州NGO ウィルダーネス・ソサエティー〕

タスマニアはオーストラリアの東南部に位置する、北海道と同じくらいの面積の小さな島です。この美しい島には広大な原生林や、手つかずの川が残っています。 ところが世界でも最も深刻な森林伐採が急速に進められている地域でもあるのです。タスマニアで伐採される森林のうち90%以上は木材チップとして日本に輸出されています。 住民やNGOの働きかけによって、保護区域を設けるよう政府は公約しましたが、未だ森林伐採は続いています。我々にできることはタスマニアの原生林からの商品を買わないこと、 企業にもそのように働きかけること、認証に基づいた環境負担のすくない商品を選ぶことであると言えます。

米国リーディング企業間の紙調達ワーキンググループの取り組み
クリスティン・ボナー氏〔米国NPOメタフォー 企業プロジェクト・マネージャー〕

アメリカの環境保護団体メタフォーの使命は森林保護の利益と、企業活動の利益を合致させるための触媒となることです。主には経済界のリーダー達と協力し、環境保全とともに利益の上がる新しい仕組を作ったり、産業界向けのコンサルティングやアドバイスなどを行っています。最近の例でいうと、社会貢献活動に意識的な大企業と協力して、環境にやさしい紙調達のためのワーキンググループを作り、環境に優しい紙を定義し、評価ツールを開発し、行動に移すことを促しました。現在、2004年に開発した評価ツールであるEPAT(Environmental Paper Assessment Tool)を2005年に完全版とすべく、第三者の視点を交えながら、最終調整しているところです。


インドネシアの違法伐採の現状
トグ・マヌルング博士〔インドネシアNGO Forest Watch Indonesia〕

現在世界でも最も深刻な森林伐採が行われているのがインドネシアです。世界の森林減少の約20%がこの地で起きているとも言われています。 急激な環境破壊に関しての海外からの圧力によりインドネシア政府は森林保護協定を日本や国際機関と結びましたが、違法伐採はなくなっていません。 違法伐採に関して現地の対策の遅れを是正するのが問題解決の第一歩であることは違いありませんが、違法木材を買っているのは先進諸国なのですし、先進諸国で木材の原産地に対しての意識を高めることも大切であるはずです。

日本で流通する違法材の実態~ラミン材流通調査
西岡良夫氏〔ラミン調査会〕、アルビ・バレンティヌス氏〔インドネシアNGO Telapak〕

ラミンは熱帯雨林の水辺に生える木です。マレーシア、インドネシアの固有種で、マレーシアではほぼ絶滅し、今では主にインドネシアの泥炭湿地に生育します。インドネシアは段階を踏んでラミン木材の輸出を全面禁止しました。ところが汚職や木材のロンダリングの為、違法伐採対策は十分に行われていません。 また違法伐採を告発した記者が暴力的に脅されたという事件も伝わっています。日本政府にはインドネシア政府に訴えかけていくのは勿論のこと、透明性のある木材の流れの構築やワシントン条約に基づいた行動を取っていくことが求められているのです。


欧州木材購入企業グループによる持続可能な熱帯木材調達スキーム
ヒラリー・トンプソン氏〔前B&Q社会的責任マネージャー、TFT(熱帯林トラスト)理事〕

ヨーロッパには、森林管理協議会(FSC)が定めた認証システムがあります。これは木材のサプライチェーンを一貫して管理し、木材に対する透明性を高めることで合法材を認証するシステムです。しかしアジアにおいては未だ木材認証制度が広く知られていませんし、違法伐採は続いています。そこで幾つかの企業はイメージアップや社会的責任を引き受け、FSC認証をより活性化させるために非営利団体である熱帯林トラスト(TFT)を立ち上げました。B&QというイギリスのDIYショップは違法木材を使わない低価格なガーデン家具を作る為に、TFTを通じFSC認証に前向きなサプライヤーを探し出すことができました。


主催
国際環境NGO FoE Japan/(財)地球・人間環境フォーラム/熱帯林行動ネットワーク/日本環境ジャーナリストの会
後援
経済産業省、環境省、林野庁、グリーン購入ネットワーク(GPN)、サステナビリティ・コミュニケーション・ネットワーク(NSC)、全国森林組合連合会、(社)全国木材組合連合会
協力
グリーンピース・ジャパン、(株)クレアン、GRI日本フォーラム、WWFジャパン

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