フェアウッド建築セミナー 2006を開催しました!
2006.11.25
フェアウッド建築セミナー2006は、2005年に大阪、名古屋、東京の3か所で行ったセミナーを継続する形で、福岡(2006年10月12日、深見ビル)、仙台(2006年10月18日、森トラスト仙台MTビル)、東京(2006年11月25日、東京ビッグサイトエコビルド2006会場内)で開催されました。
建築セミナーは、木材の最大の消費者である住宅建築業や購入者を対象に、木材の樹種ごとの原産地の森林についての情報を伝え、認証材利用や産直材の事例紹介を通して、木材の生産履歴を確認することの意義や方法を一緒に考えることをねらいにしたものです。地域の住宅ビルターや住宅メーカー、建築士など住宅建設に携わり、伐採地である森林生態系に視野に入れた独自の木材調達の取り組事例を紹介するとともに、フェアウッド・キャンペーンから「主な樹種の生産地環境と木材トレーサビリティ」という報告をしました。
福岡では、「森と街を結ぶ産直住宅」をテーマに、安成工務店代表取締役安成信次さん、小椋住宅代表取締役の小椋清市さん、新産住拓代表取締役会長の小山幸治さんを講師に迎えました。山口・福岡で年間150棟を建設する安成工務店は、地域循環型の家づくりによって山と町の関係を取り戻し、豊かな森づくりに貢献することを思想とされています。小椋さんは、地域工務店のネットワークである『「生地の家」職人'ネットワーク』の代表を務め、宮崎県諸塚産木材の産直住宅に取り組むと同時に、FSC認証をグループで取得され、認証材住宅にも取り組みを広げられています。最後の事例の新産住拓は、熊本県内を中心に年間200棟を建築し、1万m3近くも調達する原木すべてを、秋から冬に伐採し葉枯らし天然乾燥にこだわり、県内の生産者との産直関係を着実に構築しながら、さらにSGEC認証への取り組みについて紹介いただきました。
仙台でのテーマは「森を育む認証材の家づくり」でした。まず、岩手県岩泉町がFSC認証を取得したのを契機に、2004年にCoC認証を取得、その後、認証材を床、天井などに使用した住宅を手がけている西倉工務店代表取締役の西倉正三さんにお話をうかがいました。次に、住田町産業振興課の佐々木伸也さんから、FSCの森林認証取得により、需要者である建築業と供給する山側にどのようなメリットが生まれるのか、また認証材利用にあたっての課題についてお話いただきました。そして高見林業代表取締役の齋藤正さんには、SGECの森林認証取得への思いを伺い、山から住宅づくりまでの地域ネットワークづくりの取り組みを紹介いただきました。
建築セミナーを締めくくる東京では、「産地の見える森づくり」をテーマに、3人の講師からお話を伺いました。松下生活研究所が事務局を担う、地域工務店のネットワークである『「生地の家」職人'ネットワーク』では、宮崎県諸塚産木材の産直住宅を仕掛けてきました。さらに、FSCのCOC認証を取得し、認証住宅の戸建て分譲地を展開しています。二人目の講師である菊池建設中尾由一さんは、静岡から首都圏にかけて年間300棟もの住宅を手がける有力工務店の副会長として、SGEC(『緑の循環』認証会議)のCoC認証を2005年に取得して以来、認証材の安定確保のために供給者との関係づくりに産地を飛び回っていらっしゃいます。最後の講師は、ミウラクワノパートナーシップ代表取締役の三浦逸朗さん。「原木選びから始まる家づくり」ということで、お施主さんと一緒に山までさかのぼる家づくりに取り組む中で、携帯電話会社と共同でGPS機能付き携帯電話で低コストの木材トレーサビリティの仕組みづくりを開発中している取り組みを紹介いただきました。