日本では北海道の平地から、本州、四国、九州の山地から亜高山帯に分る。ブナと共に日本の冷温帯を代表する樹種で、ブナと混交する。中国、朝鮮半島やロシア沿海地方にかけての北洋アジアに分布するモンゴリナラの変種とされる。
現在残っているミズナラ林はかつて薪炭材やパルプ材として伐採された二次林が多く、大径木が残っている森は少ない。現在の日本ではミズナラの生産は北海道や東北の国有林など一部に限られており、流通は少ない。日本で一般に流通しているナラ材の多くはロシア沿海地方産か中国産のモンゴリナラと考えられる。パルプ用材としては東北の民有林で他の広葉樹とともに数ha程度の皆伐がされることもある。
ロシア沿海地方は、WWFの「グローバル200」やユネスコの「生物圏保護区」に指定されている。また、WRIの「Intact
Forest」にも未開拓の森林が残っている地域として示されている。
家具用の広葉樹として非常にポピュラーであり、特に世界の家具製造地となっている中国から旺盛な需要がある。高価に取引されるため違法伐採のリスクはきわめて高い。特に大径材は伐採対象となりやすく、アクセスの良いところはかなり伐採されてしまっている。
伐採において、日本では森林管理行政は機能しており、違法伐採のリスクはほとんどないが、ロシア産の場合はリスクが高いので注意が必要。
日本列島は、CIの「生物多様性ホットスポット」に指定されており、生物多様性の高い世界的にもユニークな生態系と評価されている。生物種としての希少性については、IUCNの「レッドリスト」では評価対象とされておらず、絶滅危惧リスクはない。
国産の場合、東京までの輸送距離は1,000km未満。大陸さんのものは1,500km程度である。耐朽性は「中」であり、通気性に配慮すれば長期間の使用に耐えることができる。
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