北海道の南西部から鹿児島まで日本列島に広く分布している固有の樹種。 ヒノキと並んで日本の主要な林業樹種として江戸時代から各地で造林されてきた。とりわけ戦後の高度経済成長期には、集中的に拡大造林が行われた。
日本列島は年間降水量は1,000〜4,000mmにも達する温暖湿潤な気候で、植物の生育に適した環境であり、生物多様性の高い世界的にもユニークな生態系を有する。そのため、CIの「生物多様性ホットスポット」に指定されている保護価値の高い地域である。
「伐採は数ha程度の皆伐、その後の再植林は1haあたり数千本を密植、その後10年間、下草刈り、枝打ち、間伐を繰り返す」という世界的にも稀な集約的施業により生産されるが、近年の木材価格の低下により、各生産者とも木材生産に消極的で木材生産量は低迷している。中には間伐すら行われず、光の入らない状態となっている森も多く、下草が生えず土壌が剥き出しで生物多様性も乏しい。このような森林では、土壌の流失、土砂災害、そして風雪害を受ける事例も少なくない。
日本では、森林管理行政は機能しており、違法伐採のリスクはほとんど無い。しかし厳密的には義務化されている皆伐後の再植林が放棄された林地も各地で見られるようになり、問題視されている。
生物種としての希少性については、IUCNの「レッドリスト」では「低リスク(LR/NT)」と評価の対象にはなっているが、植林されたスギに関しては豊富すぎるほど存在している。東京までの輸送距離は北海道や九州でも1000km未満である。
耐朽性は「中」であり通気性に配慮すれば長期間の使用に耐えることができる。心材である赤身の部分の耐朽性はヒノキよりも高いといわれる。また近年は、中国産のスギ(雲スギ、柳スギ、冷スギなど)も多く流通している。
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