全体に淡い紅黄白色〜淡い黄褐色(時に中心付近が褐色を呈する)で、辺心材の境目は不明瞭。絹糸光沢を有し、板目面に著しいリップルマーク(さざ波模様)をもつ。肌目は緻密だが、木理はやや交錯。やや軽軟で加工性はよいが、狂いやすい。耐朽性は小。
北海道南部、本州、四国に分布するが、主に東日本に多い。山地の川沿いなど湿って肥沃な土地を好み、サワグルミとともに見られることも多い。また、大きく美しい葉が特徴的で、黄葉もきれいなため、同属のマロニエ(Aesculus hippocastanum) とともに公園や街路樹としても良く見られる。秋になると丸いクリのような実をつけ、トチ餅などとして食されるが、リスやネズミなど小動物の食糧となる。 現在はトチ材の生産は東日本の奥山の国有林など一部に限られており、流通は少ない。 伐採において、日本では森林管理行政は機能しており、違法伐採のリスクはほとんど無い。 日本列島は、コンサベーション・インターナショナル(CI)の「生物多様性ホットスポット」に指定されており、生物多様性の高い世界的にもユニークな生態系と評価されている。生物種としての貴重性については、IUCNの「レッドデータブック」では評価対象とされておらず、絶滅危惧リスクは無い。 東京までの輸送距離は1000km未満である。 耐朽性は「中」であり、通気性に配慮すれば長期間の使用に耐えることができる。