主な生産地は極東ロシアの沿海地方である。中国東北部にも分布しているが、中国では天然林保護プログラムのために伐採が制限されており、中国もロシアから輸入している。 ロシア沿海地方は、日本海をはさんで日本列島の対岸に位置しており、ナラやタモの広葉樹とエゾマツ・トドマツの針葉樹が混交した冷温帯林である。年間降水量は千mm程度、植物の生育に適した環境であり、ヒョウやトラ、クマなどの大型哺乳類も生息する生物多様性の高い森林生態系である。これら大型哺乳類に捕食される小動物の重要な食料がこのチョウセンゴヨウの実(マツぼっくり)であり、チョウセンゴヨウはこの生態系に欠かせない樹種である。 この地域は、世界自然保護基金(WWF)の「グローバル200」やユネスコ(UNESCO)の「生物圏保護区(Biosphere Reserve)」に指定されている。また、世界資源研究所(WRI)の「Intact Forest」にも未開拓の森林が残っている地域として示されており、極めて保護価値の高い森林であるといえる。 チョウセンゴヨウの伐採にはロシアでも厳しい規制があるが、高価な樹種であるため、違法伐採の対象になりやすい。組織的盗伐や、不当な許可を得ることで伐採されている例も多い。また、商業伐採では他の樹種とともに数〜数十ヘクタール規模で皆伐されることも多い。 生物種としての貴重性については、IUCNの「レッドデータブック」では「LR/LC]と評価されており、絶滅危惧リスクは無い。 日本までの輸送距離は1500km程度である。 耐朽性は「小」であり通気性に十分な配慮をすることが必要である。
ロシア(沿海州)産の場合
中国産の場合