開催報告

『その商品は人を幸せにするか？～ソーシャルプロダクツに学ぶこれからの商品開発～』と題した今回は、中間大維氏にソーシャルプロダクツの持つ可能性や未来への展望を講演いただきました。

大学2年生の時に訪れたメキシコを皮切りに、中南米やアフリカを中心に各国を旅してきた中間さんですが、旅に魅了され刺激を受けるとともに、社会的課題にも目覚めていったそうです。中でもアフリカのものすごい奥地を訪ねた時、普通のインフラやモノは全くない場所なのに「コカ・コーラ」が売っていることに衝撃を受け、商品やサービスの力に可能性を見出します。そして、ビジネスの力を知るために花王に入社。

その後、独立・事業の立ち上げなどを経て、2010年に株式会社ヤラカス舘にて、社内ベンチャー事業SoooooSを展開。2012年には、（一社）ソーシャルプロダクツ普及推進協会を設立。現在、同協会の専務理事兼事務局長としてソーシャルプロダクツの普及活動を推進にも力を入れるとともに、代表取締役を務める株式会社SoooooS.カンパニーで、ソーシャルプロダクツ専門のショッピング・情報サイト『SoooooS.（スース）』を運営しています。

社会的課題の解決や緩和につながる、人や地球にやさしい商品やサービスを総称したものを「ソーシャルプロダクツ」と呼びますが、中間さんの調査によると、まだまだ日本で全体の１割ぐらいの人しかその言葉を聞いたことがないといいます。しかし、高度に成長した日本の消費社会においては、今後ソーシャルプロダクツの可能性が広がるとのこと。モノが余り、モノの同質化が進む過程では、モノの背景にあるストーリーが大切になってくるのだと、中間さんは言います。そのストーリーが、より良い社会や未来をつくるというものであればなおさら価値が出る。生活者が買い物をしながら、またサービスを選びながら、自然に社会変革に携われるのがソーシャルプロダクツの持っている可能性だと、中間さんは語っていました。

環境・社会問題がこれだけ顕在化してきている今の世の中では、ある意味、ソーシャルプロダクツの在り方は、当たり前のように思われます。中間さんが行っている市場調査においても、人々の意識に変化が見られます。多くの人々が、より良い社会につながる消費活動を選ぼうとしているのは確かなようです。しかし、その市場原理も過渡期にあり、正しいことを言ったり行ったりすれば消費者がついてくる、商品が売れるという訳でもないということです。意識の高い少数の人々だけに向けても変化が起きない。しかし、意識を低くしすぎてもよろしくない。現状、難しいバランスでソーシャルプロダクツは市場ニーズを獲得しようとしているようです。

私たちフェアウッド・パートナーズも、中間さんと同じ悩みや課題を抱えながら、環境・社会・人権などに配慮した木材「フェアウッド」というソーシャルプロダクツであり活動を広めるために日々頑張っています。毎日の生活から少しでも課題解決に参加できる、というソーシャルプロダクツという切り口は、私たちのもう一つの活動である「フェアウッド・カフェ」につながるコンセプトであり、今後中間さんとのさらなる連携も考えていきたいと思いました。

これから、私たちはこれから何を自ら選びとり、どんな社会や未来を自ら望み、つくっていくのだろうか？ その先にある「幸せ」とは何だろうか？ 様々な想いを巡らせる研究部会の夜となりました。

（報告：三上雄己／フェウッド・パートナーズ、abovo）