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第30回フェアウッド研究部会
秩父の森の恵みを未来へ~伐らない林業とメープルプロジェクトのお話
2018年9月14日(金)18:30 @東京・表参道

2018.8.8掲載
2018.9.30更新

開催報告


節目となる第30回のフェアウッド研究部会には、秩父でスギ・ヒノキの伐る林業とカエデの伐らない林業、バランスのとれた未来に続く森づくりと地域づくりへの挑戦をしているTAP&SAP代表の井原愛子さんにお話をお伺いしました。

井原さんは元々秩父出身で学生時代までは、秩父で生活していました。大学は都内の大学で海外留学のために資金をためていたそうです。その後、社会人となり、都内で生活していましたが、2014年の秋にNPO法人秩父百年の森が企画するエコツアーに友人と参加し、自然豊かな両神山を歩いたのがUターンのきっかけだそうです。秩父の地域の活動に女性目線やマーケティング力が欠けていることがもったいないと感じ、エコツアーに参加した次の月の1月に周囲の猛反対を振り払い前職を辞めてしまったそうです。そして持ち前のフットワークの軽さを活かし、4月にメープルの本場カナダにわたり、メープルを勉強し今の活動を始めたそうです。

秩父のメープルづくりに関わっている組織は、まずカエデの山の持ち主である秩父樹液生産協同組合、次に樹液を購入し、加工販売する秩父観光土産品協同組合という食品製造会社の組合があり、最後に秩父の森の施業をしているNPO法人秩父百年の森があります。この周りに大学や行政機関、井原さんが所属するTAP&SAPがあります。カエデの樹液の加工・販売は日本各地で行われていますが、秩父のようにそれぞれが分業しているのは珍しく、それが成功の要因の一つかもしれないと井原さんは考えています。

秩父では伐らない林業、伐る林業の複合化に挑戦しています。その伐らない林業の柱であるメープルですが、収穫期間は1月末から3月初めの寒い時期で、後半になるとえぐみが出てくるため、収穫の終わりは樹木の状態で判断するそうです。樹液採集されるカエデ木は徹底的に管理されており、採集量や採取時期などを樹木に表示しています。この管理によってこれまで一本も樹液の取りすぎで倒れることなく、持続的に樹液が採集できるようになっています。樹液採集による収入はワンシーズン一本当たり約8,000円。この金額設定は秩父観光土産品協同組合の理事長が、山の人が気持ちよく仕事をしてもらうという粋な心意気で始めたことです。

伐る林業は、人工林であるスギ、ヒノキ林を伐採し、カエデを植樹する取り組みです。伐採した丸太は、伊佐ホームズという東京・世田谷に本社を置く住宅会社が買い取っています。また全ての丸太にQRコードを貼り、トレーサビリティを確かなものとしています。丸太を売ったお金でカエデを植え、未来の樹液を作っています。

今回、「フェアウッド」という言葉を井原さんが直接口にはしていませんが、その考え方に通じるものはあったと思います。まず樹木を徹底的に管理している点です。樹液の採集量の管理、丸太のQRコードによるトレーサビリティ、どちらも管理し持続可能な資源として森林資源を取り扱っています。また価格設定についても、お互いに思いやることで社会的に持続可能な資源として扱っている点から、秩父のメープルをめぐる活動はフェアウッドの一つの形だと思いました。

今回のフェアウッド研究部会では、浜松市でのFSC認証取得のきっかけから、取得したあとの取り組み、制度や政策まで様々な事柄について聞くことができました。林業というと、木材を生産したり、利用する会社について考えがちだったのですが、今回、政策を作る側の方のお話を聞き、林業に対する熱い想いを知ることができました。

成田陸/フェアウッド・パートナーズ インターン

埼玉県・秩父の豊かな森に眠っている恵みを、活かして地域を元気にしたい。秩父に生まれ育ち、外資系家具販売会社で企画やマーケティングに携わってきた井原愛子さんは、ふるさとの森と自然の豊かさ、そこに携わる人々に出会いUターンを決意。地域のNPOや樹液生産協同組合、高校生などと一緒に、メープルシロップをはじめユニークな森の素材を魅力的な製品に仕上げ、効果的に伝えていくことを目指し、商品開発や企画を行うTAP&SAPを立ち上げました。スギ・ヒノキの伐る林業とカエデの伐らない林業、バランスのとれた未来に続く森づくりと地域づくりへの挑戦について、伺います。

スギ・ヒノキの伐る林業とカエデの伐らない林業、バランスのとれた未来に続く森づくりと地域づくりへの挑戦について、伺います。

●開催概要
日 時: 2018年9月14日(金)18:30~21:00(開場:18:00)
場 所: 株式会社ワイス・ワイス(〒150-0001東京都渋谷区神宮前5-12-7 2F)
会 費: 3,000円(懇親会費1,000円を含む。当日受付でいただきます)

プログラム(内容は予告なく変更することがあります)
第1部:講演「秩父の森の恵みを未来へ~伐らない林業とメープルプロジェクトのお話」
井原愛子氏/TAP&SAP代表

第2部:懇親会

【講師プロフィール】
井原愛子氏(いはら・あいこ)
埼玉県秩父市生まれ。2014年外資系企業を辞めて、秩父にUターン。秩父の森づくりを行うNPOやメープル関係団体の活動に参加しながら、自然とそこに関わる人々にたくさんの刺激を受け、勉強の日々。2015年に自然の恵みを生かした商品開発やエコツアーの企画などを行う〈TAP&SAP〉を立ち上げた。現在、シュガーハウスオープンを目指して、秩父の地域プロデューサーとして日々奔走している。



【お問合せ】
  • 地球・人間環境フォーラム(担当:坂本)
    http://www.fairwood.jp、info@fairwood.jp、TEL:03-5825-9735
  • ワイス・ワイス(担当窓口/広報課 野村)
    http://www.wisewise.com、press@wisewise.com、TEL: 03-5467-7003

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