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私たちの木材利用を考えるシンポジウム報告

2003.11.22

11月19日(水)と22日(土)に「私たちの木材利用を考えるシンポジウム」を開催しました。19日にはインドネシア、カナダのNGOから現地の違法伐採や原生林伐採の状況についての報告と、日本と同様の輸入国である、イギリスの木材輸入業界の取り組みについてイギリス木材貿易連盟から報告をしていただきました。パネルディスカッションでは全国木材組合連合会の角谷氏、フューチャー500の木内氏にも参加していただき、木材業界としての考えや、企業の社会的責任についての観点からのお話しをしていただきました。また22日には、シベリアとパプアニューギニアからも現地の伐採状況を報告していただきました。

当日のプログラム

アルビ氏
アルビ・バレンティヌス氏
インドネシアNGO テラパック
インドネシアでは毎年380万ヘクタールずつ森林が減少しており、スマトラ島の森林は2005年までに、カリマンタンは2010年までに消失すると推測されています。80%の違法伐採は保護区域内で行われています。マレーシアとシンガポールをはじめ、中国、ベトナム、インドなどが違法木材取引の中継基地となっており、違法に輸出された木材は、日本やヨーロッパ、アメリカ、そして中国を含む世界中の市場に再輸出されています。

>資料(PDF3.65MB)
※講演録はフェアウッド・マガジン第5号で紹介しています。
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アレックス・ウビエ氏
パプアニューギニア、ワオイ・グアビ地区住民
パプアニューギニアでも違法伐採により貴重な原生林が破壊されており、日本は中国に着いて2番目に大きな木材市場となっています。近年は自国の資源を使い尽くしたマレーシアの伐採会社が、広大な森林を有する同国に資源を求めて操業をするようになりました。

>資料(PDF830KB)

アンドレイ・ラレティン氏
ロシアNGO シベリアの森の友
シベリアでは、ソビエト時代に比べ、5-10倍の伐採会社が現在この地域内で操業しています。森林局、市当局や警察の腐敗により、木材会社はあらゆる規制を容易に回避することができるため、伐採規則・規制は日常的に無視され、違法伐採は自然保護区や禁猟区、保護森林においても行われています。
タモとカラマツは日本の企業が住宅建設用として使用し、広葉樹は中国を経由して日本へと流れて加工されています。また、日本の合板製造業者は熱帯のラワンからシベリアのカラマツへと好みを変化させています。

ジョー&ジゼル・マーティン氏
カナダ先住民 タロクィアット族
カナダのブリティッシュコロンビア州では世界の温帯雨林の25%を占める原生林を有しているが、このような温帯雨林の56%がすでに消滅したこと、そして現地の先住民からの同意の無いままに原生林が伐採されつづけているということです。

>資料(PDF838KB)

ダン・ルイス氏
カナダNGO クラクワット・サウンドの友
北米では原生林からの木材製品を調達しないと宣言している国際的企業も続々と出てきており、マイクロソフトやIBMなども含まれています。カナダでは、71の出版社が原生林に由来する紙を排除することを約束しています。

アンディ・ロビー氏
イギリス 木材貿易連盟
日本や中国に続く木材純輸入国であるイギリスでは、輸入業界である木材貿易連盟(TTF)が、昨年、違法伐採木材を排除すると宣言し、350の会員全てに拘束力を有する行動規範を取り決めています。罰則や制裁も有し、独立した監査も行うという違法伐採に対し厳格な態度を示すものです。

>資料(PDF1.22MB)
※講演録はフェアウッド・マガジン第4~6号で紹介しています。
フェアウッド・マガジン記事一覧へ

日本は木材純輸入量でみると世界最大です。インドネシアやシベリア、カナダ、パプアニューギニアからも大量の木材を輸入しており、その中には違法伐採や原生林伐採によるものも多く含まれていると見られています。持続的な木材貿易へ向けて大きな責任を有しているわけで、世界中から日本の取り組みが期待されています。

今回のシンポジウムの発表内容とともに、海外の伐採状況や消費国側の取組みなど木材利用に関するに情報については、フェアウッドキャンペーンのWEBサイトやメールマガジンを通して発信してまいります。どうぞご活用ください。


プログラム
2003年11月19日(水)13:30~16:30
シンポジウム
森林環境に配慮した木材調達の進め方~北米・ヨーロッパ・日本の実例
【内 容】

◆ インドネシアにおける違法伐採の現状
アルビ・バレンティヌス氏〔テラパック・インドネシア(インドネシアNGO)〕
◆ カナダの原生林の環境的・文化的重要性と企業による木材調達方針の取り組み
ダン・ルイス氏〔カナダ・レインフォレスト保護NGO、カヌーイスト〕
◆ ヨーロッパにおける違法材不使用に向けた取組み
アンディ・ロビー氏〔英国木材貿易連合組合、企業の社会的責任対策顧問〕
◆ パネルディスカッション
パネリスト
・アンディ・ロビー氏
・角谷宏二氏〔全国木材組合連合会常務理事〕
・木内孝氏〔フューチャー500会長〕
コーディネーター
・小浜崇宏 [熱帯林行動ネットワーク]

【会 場】 木材会館7階会議室
東京都江東区深川2-5-11
地下鉄東西線「門前仲町」駅徒歩3分

2003年11月22日(土)13:00~16:30
シンポジウム
海外の森林伐採の現状と木材消費国ができること
【内 容】 ◆ インドネシアにおける違法伐採の現状
アルビ・バレンティヌス氏〔テラパック・インドネシア(インドネシアNGO)〕
◆ 危機に瀕するパプアニューギニアの原生林
アレックス・ウビエ氏〔パプアニューギニア、ワオイ・グアビ地区住民〕
◆シベリアの森林の現状
アンドレイ・ラレティン氏〔シベリアの森の友(ロシアNGO)〕
◆ カナダの原生林から「森と海に生きる先住民として」
ジョー・マーティン氏〔カナダ先住民タロクィアット族、カヌー伝統彫り職人〕
◆ ヨーロッパにおける違法材不使用に向けた取組み
アンディ・ロビー氏〔英国木材貿易連合組合、企業の社会的責任対策顧問〕
【会 場】 東京大学弥生講堂一条ホール
東京都文京区弥生1-1-1 東京大学農学部内
地下鉄南北線「東大前」駅徒歩1分、
千代田線「根津」駅徒歩8分

主催:熱帯林行動ネットワーク(JATAN) / フェアウッド・キャンペーン事務局 / (財)地球・人間環境フォーラム/ FoE Japan
協力:グリーンピース・ジャパン / クラクワット・サウンドの友〔カナダNGO〕 / 日本環境ジャーナリストの会
後援:環境省 / 林野庁 / 全国木材組合連合会 / グリーン購入ネットワーク / 環境報告書ネットワーク

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