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2.グヌンキドゥル県におけるコミュニティ森林認証

環境NGO ARuPA代表 ロナルド・ムー・フェルダウス 氏

ARuPAというのは、インドネシア・ジャワにあるNGOで、天然資源と環境の保護を主な活動としています。今日は、私たちの活動の中からコミュニティ森林の認証ということで、グヌンキドゥル県における経験についてお話しします。

グヌンキドゥル県の紹介
グヌンキドゥルというのはジョグジャカルタ特別州の中でも最も広い県で、14万8,000haある面積のほとんどが保護されている地域です。しかし、インドネシアで最も開発が進行していない地区の一つでもあり、75万5,941人(約15万7,328世帯)のうち、8万2,614世帯が貧困であると定義される農業従事者として働いています。一人あたりの年間収入は158米ドルです。

グヌンキドゥルでは、コミュニティ森林管理が行われています。コミュニティ森林管理認証とは、林産品の持続可能性とその取引における環境的・社会的な側面を確認し、持続可能な森林管理を推奨するツールです。

グヌンキドゥルのコミュニティ森林管理は、プランテーションの開発から始まり、私有林で開発されて、現在も継続中です。現時点では、2万8,550haが対象になっています。主な樹種はチークで、年間生産量はおよそ8万m3です。

認証された地域は持続可能な森林認証プログラム運用のために設立されたKWMLが管理し、認証機関はドイツに本社があるテュフラインランドの支部PT TUVインドネシア・インターナショナルです。

コミュニティ森林を対象とした森林管理認証は、インドネシアの森林認証システムであるLEIが実施しています。国内でのイニシアティブということになります。2006~2021年までの15年間有効な認証を取得するのに、約1億ルピア(120万円)の資金がかかりました。

認証面積は815haです。所在地は三つの村にまたがっており、農民652世帯が管理をしています。このようなコミュニティ森林の認証は、コミュニティによる森林管理慣行を推進していこうということです。そして、エコラベルの木材を求める消費者のニーズに応えるためで、高い価格で購入することに同意しているといえます。

2006年に認証取得
グヌンキドゥルにおける認証への取り組みは、2002年7月に開始し、2006年に認証を得ました。この試みが成功した背景には、さまざまな関係者の支援がありました。まず、地元政府からは、政策的な支援、資金提供、施設の提供などを受けました。また、ARuPAだけではなく、エコラベル・インスティチュートなど三つのNGOが関わっています。総合的な支援、能力開発、キャンペーン活動、その他資金調達をしています。ガジャマダ大学森林学部等からは、森林管理技術などに関しての支援を受けました。WWFインドネシアなどからも寄付をもらっています。民間の企業は、購入の際には、高価格での購入を約束してくれました。また寄付を提供してくれる企業もありました。

▼グヌンキドゥル県の認証材の現在の立木量と伐採可能数


上の表は、グヌンキドゥル県の認証材の現在の立木量と伐採可能数を表しています。チーク、マホガニーやアカシアなど、複数の樹種からなる森林です。現在の木材の販売価格がどうなっているのか、認証済みのものと認証されていないものを価格比較すると、認証済のものは未認証のものよりも高いもので1.5倍ほどの価格差があります。

KWMLは現在丸太のみを産出しています。ただし、要求があれば製材を供給することも可能です。実際の販売先としては、プレミアムプライスを払ってもいいという企業に販売しています。国内のバイヤーとしてGreen LivingとJawa Furniという会社があります。そしてまた、海外からのバイヤーにはモアソン・ドゥ・モンド(MdM)というフランスの企業があり、CSRの取り組みとして3年間で1億ルピア(約120万円)を提供してくれています。

これからのグヌンキドゥル
最後に、グヌンギドゥル県における課題を挙げますと、認証を受けた私たちのコミュニティ森林管理材の供給量が不十分なことです。そのため、市場の需要を満たすことはできません。

そこで、より多くのステークホルダーに参加してもらいたいと思っています。すべてのグヌンギドゥルのコミュニティ森林、約2万8,000haをすべて認証する必要があります。しかしながら、認証地域を拡大するためには、やはり資金が必要です。残念ながら今のところ資金提供者はいません。政府やその他の機関からもなかなか資金が得られないということは大きな課題です。

※(財)地球・人間環境フォーラム発行『グローバルネット』2008年9月号(214号)より転載

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