国連の特別報告者は、インドネシア第2位のパーム油会社アストラ・アグロ・レスタリ(AAL)を、人権侵害と環境悪化の疑いで名指しした。業界全体ではなく特定の企業を標的にしたのは今回が初めてである。AALとその子会社は、適切な許可なしに事業を営み、先住民や農民の土地を同意なしに奪い、しばしば警察や治安部隊の支援を受けて暴力や脅迫、逮捕によって抗議活動を鎮圧したとして告発されている。
国連のウェブサイトに掲載された回答の中で、インドネシア政府はAAL社を概ね擁護し、同社の事業は法的基準を遵守していると述べた。この主張の鍵となるのは、AALが、農園造成の開始前に必要な一連の許可証のうち、最終段階となる耕作権(HGU)を取得している点である。政府の論拠は、紛争がない場合、またはすべての紛争が解決されている場合にのみHGUが発行できるという点である。しかし、FoE USとワルヒは、AALの子会社のうち、ANAなど少なくとも3社がHGUなしで操業していると指摘している。
インドネシア政府はANAがまだHGUライセンスを取得していないことを認めたが、取得に向けて積極的に取り組んでいると述べた。
HGU許可がない状態での操業は、2014年プランテーション法など、インドネシアの複数の法律に違反すると一般的にみなされており、ANAの活動は事実上違法となる。しかし、ANAは警察の保護の下、紛争地からパームの実を収穫し続けているという。政府はこの矛盾について説明していない。政府は、なぜこれら3社に未だ罰金を科さないのか、その理由も不明だ。
ワルヒの森林・植林キャンペーン・マネージャー、ウリ・アルタ・シアギアン氏は、既にその地域にコミュニティが住んでいたにもかかわらず、AALにライセンスを発行した政府は、問題の解決に責任があることを忘れてはならないと述べた。だからこそ、政府は紛争を解決し、コミュニティが長年待ち望んでいた正義を実現するためのタスクフォースを設立すべきだと彼女は述べた。
ケロッグ、ハーシー、モンデリーズなどの大手ブランドはAALからのパーム油の調達を停止したが、ADM、ブンゲ、カーギルなどの世界的なアグリビジネス大手は、人権侵害の申し立てが続いているにもかかわらず、依然として同社と関係する工場からパーム油を調達している。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2025/03/un-accuses-indonesias-no-2-palm-oil-firm-of-rights-environmental-abuses/