2025.12.11 IDEAS FOR GOOD:“森を守る者たち”のCOP30。気候危機の最前線で、先住民族が結束【現地レポート】
2025年11月10日から22日、ブラジル北部のベレンでCOP30(国連気候変動枠組条約第30回締約国会議)が開催された。
今回のCOP30には、世界各地からの参加も含め、およそ5,000人の先住民族がベレンに集まった。さらに、国連が管理する交渉エリアであるブルーゾーンには、900人の先住民族が公式登録された。これは、これまで最多だったドバイCOP28(約350人)の2倍以上にあたる。
COP30で先住民族が存在感を示したのは、「数」だけではなかった。政策決定の現場に、主体として切り込んでいく力を獲得しつつあることだ。
その象徴が、ブラジル先住民族省が外務省、ブラジル外交官学校と協力して立ち上げた若手育成プログラム「Kuntrai Katu(クンタリ・カトゥ、トゥピ系の言葉で「よく話す者/正しく話す者」)」である。全国から選ばれた30人の若い先住民族リーダーたちは、1年以上かけて政策交渉の基礎を学んだ。その多くは大学・大学院で公共政策や人権を学び、英語・ポルトガル語・自民族語を自在に行き来しながら政策文書を読み込み、国際交渉の現場で発言できる力を身につけた。
COP期間中、彼らはブラジル代表団の交渉官に同行し、リアルタイムで交渉を追った。そして夜になるとAldeia COP(COP村)に戻り、その日の交渉内容を仲間たちにブリーフィングする。Aldeia COPの閉会式で、ソニア先住民族省大臣は次のように語った。
「クンタリ・カトゥの若者たちは、交渉のどこに動きがあり、どこが行き詰まっているのかを伝えてくれました。私たちはその情報をもとに外務省や環境省と連携し、交渉文書に“私たちの言葉”を一つひとつ加えていったのです。最終文書の中に先住民族の存在と権利がきちんと反映されたのは、この若者たちの働きによって実現したことです」
ブラジルで先住民族の権利が憲法に明記されたのは1988年。COPが始まったのはその7年後。この30年、両者はゆっくりと重なりながら前へ進んできた。
クンタリ・カトゥに参加する34歳のカマユラ族の女性Kaianaku Kamaiuraが強調していたのは「文化もまた、気候の議論の中心にあるべき」いう点だ。森を「炭素を蓄える場所」というモノとしてだけ見るのは不十分である。そこには人がいて、歴史があり、命の営みがある。この視点が欠ければ、森は本質的には守れない。そして、文化こそが他者と分つものであり、強みになるとも訴える。最終文書で「文化」の扱いはまだ不十分。それでも、今回のCOPで「文化」が初めて真正面から議題に上った──その事実を、彼女は大きな前進と呼んだ。
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