Mongabay:森林カーボンクレジットとボランタリー市場の将来
2023年はボランタリーカーボン市場にとって「成否を分ける」年となり、気候変動と世界的な森林破壊に対処する上での役割の「転換点」になると予測されている。2023年1月にイギリスのガーディアン紙、ドイツのディー・ツァイト紙、ジャーナリズム非営利団体ソースマテリアルが報じた報道は、圧倒的多数のREDD+クレジットが気候にもたらす恩恵に疑問を投げかけた。
イージージェット、ネスレ、ユナイテッド航空などの大手企業は、この種のクレジットへの投資による二酸化炭素排出オフセットから撤退しつつある。彼らはクレジットの十全性について懸念を表明しており、グリーンウォッシュの告発を恐れているように見受けられる。
5月にはデルタ航空が「世界初のカーボンニュートラル航空会社」であることを主張したとして訴えられた。オフセットに基づく(カーボン)ニュートラルを目指し続ける企業は、批判にさらされる。
ボランタリーカーボン市場について懸念されるのは、会計、認証、コミュニティのセーフガードに関する問題で告発されているプロジェクトの数である。(たとえば)業界のモデルとして注目されてきたケニアの2件のカーボンプロジェクトは、プロジェクト実施者が地域コミュニティに適切に対応しなかったとの非難に晒されている。
認証機関のヴェラは、先住民の家畜の放牧慣行等に変更をもたらす懸念から、「北部ケニア草原カーボンプロジェクト」からのクレジット発行を3月に一時停止した。11月初旬には、ケニア人権委員会は、カシガウ回廊REDD+プロジェクトの男性従業員が女性従業員や地域住民に加えた「組織的性的虐待」の証拠を公表した。カシガウプロジェクトは、米国に本拠を置くREDD+プロジェクト開発会社のWildlife Worksが運営している。
炭素会計、カーボンニュートラルの主張、森林コミュニティの問題を巡る批判があるなか、政府機関はボランタリーカーボン市場、特にREDD+の一貫性と「完全性」を高める取り組みをすすめてきたと述べている。
市場支持者らは、カーボンの取引によって、現時点では除去が不可能か費用が高すぎる残りの厄介な排出量を軽減できると主張する。
REDD+とボランタリーカーボン市場に対する意見は依然として分かれており、この件に関する先住民族の見解も同様に多様である。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/01/the-future-of-forest-carbon-credits-and-voluntary-markets/