大規模な植林活動が気候変動の対策として世界中の政府によって推進されているが、これらのプロジェクトの多くは考えが浅く、管理が不十分であるため森林をまったく成長させることができていないという研究論文が発表された。
2012年3月8日、フィリピンのルソン島で行われた植林活動では、1時間で100万本以上のマングローブの苗木を植林し、ギネス世界記録に認定されている。
しかし2020年の調査では、植林したマングローブのうち2020年時点でも生存しているのは2%未満で、残りの98%は枯死または流出したと発表されている。
また、植林を行った場所はマングローブが呼吸を行うための酸素を得られないなどの不適切な場所で、これは植林前の段階で予測可能だったと指摘されている。
植物学者による報告では「このような植林の失敗は珍しいことではなく、頻繁に起こる出来事です」と述べられている。
また、「世界中の植林プロジェクトの失敗は、大気中の二酸化炭素の削減やカーボンクレジットの売買を行うことで、植林を気候変動に対して効果的な手段にする取り組みを台無しにしてしまうおそれがあります」と警告している。
大規模な植林が失敗する理由としては、「間違った苗木が間違った場所に植林される」「植林された苗木が放置されている」などが挙げられており、他にも植林プロジェクトでは「植林した苗木の生存率」ではなく「植え付け率」を重視する傾向があるため、長期的な監視があまり行われていないのが、植林の失敗が見過ごされてしまう原因であると、国際アグロフォレストリー研究センターのドゥグマ氏は指摘している。
多くの場合、植林は政府や企業が環境に優しいというイメージを促進することを目的とした「グリーンウォッシング」であるとドゥグマ氏は主張する。
オランダに本拠地を置くNGO法人の国際湿地保全連合は「近年行われたマングローブの再生プロジェクトの成功率は15~20%で、これらの活動に数千万ユーロ(数十億円)が費やされています」と非難している。
最適な計画と監視を行っていても、植林プロジェクトが失敗に終わる事例もある。カリフォルニア州に植林された森林は気候変動により従来よりも山火事の被害を受けやすくなっており、森林の存続の可能性やカーボンクレジットの信頼性について疑問が抱かれている。
ユタ大学の森林生態学者であるウィリアム・アンデレッグ氏は、気候変動により、21世紀末までにアメリカ西部で山火事の発生率が4倍になると推定しており、カーボンクレジットの基準を改める必要があるとしている。
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