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2025.11.21 Mongabay:COP30で科学者と地域コミュニティは訴える「カーボンオフセットの時代を終わらせる時が来た」(解説)

ティッピングポイントと地球システムに関する世界有数の科学者であるカルロス・ノブレ、パウロ・アルタクソ、ピアーズ・フォースター、テルマ・クルーグ、ヨハン・ロックストロームらは、国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)で、森林、特にアマゾンは、石炭、石油、天然ガスの燃焼を相殺できる安定した炭素吸収源として扱うことはもはやできない、と述べた。
かつて地球上で最も強力な気候安定装置の一つであったアマゾンが、深刻な脆弱性に陥りつつあるためだ。この地域の一部では、すでに吸収源から排出源へと転換が始まっている。永続的な化石燃料による排出を、非永続的で脆弱な生物由来の炭素で相殺することはできない。
しかしベレンでは、交渉担当者たちは依然として、パリ協定第6条2項と6条4項ー国連の炭素取引・オフセットメカニズムの運用化を試みている。 COP30で発表された新たな草案には、 先住民族の権利保護、FPIC要件、土地保有権の保障、そして高リスクの陸域のオフセットに対する規制枠組みは含まれていない。
これは偶然ではない。炭素市場は、森林が低コストの気候変動対策となり得るという前提に基づいて構築された。問題は、この前提が科学的な検証によって崩れつつあることだけではない。このモデルが常に、深刻な社会的リスクを伴ってきたこと、すなわち土地収奪、権利侵害、そして先住民族の土地の金融化の進展も問題である。
しかしさらに、この炭素市場の失敗を清算する代わりに、新たな金融フロンティア、生物多様性クレジットが出現しつつある。これは「次の大規模な環境市場」として売り込まれている。だが、生物多様性は炭素よりもさらに計測が難しく、代替も困難だ。
炭素取引に注力したり、生物多様性クレジット市場を並行して立ち上げるのではなく、パリ協定第6条8項に目を向けるべきである。この条項は、生態系の商品化ではなく、実質的な排出削減、公正な移行、権利の保護、そして森林への公的資金の供給に基づく真の協力への道筋を示している。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2025/11/its-time-to-end-the-carbon-offset-era-cop30-scientists-communities-say-commentary/