米NGOマイティ・アースは、2021年、牛肉大手のJBSが、誤解を招く不正な情報を使って投資家を説得し、サステナビリティ・リンク・ボンドを購入させたとして、米国証券取引委員会(SEC)に訴えた。
この債券には、JBSが2040年までに気候フットプリントを削減し、ネットゼロにするという約束がつけられており、JBSはこの債券発行で32億ドルを調達している。マイティ・アースは、この約束には、JBSの温室効果ガス排出量の97%を占める、同社に供給される牛の腸内発酵および牧草地を確保するための森林伐採が含まれておらず、すべてのサプライチェーンによる気候への影響を無視していると述べている。同NGOによると、JBSの2021年のメタン排出量は、フランス、ドイツ、カナダ、ニュージーランドの家畜メタン排出量の合計を超えると推定されている。マイティ・アースの弁護士ケビン・ガルブレイスは、「JBSは、特にアマゾンやブラジル国内の他の地域の森林破壊に関して、スコープ3排出の分野で努力を歪めている」と語った。また、環境・社会・ガバナンス(ESG)投資を専門とするブラジルの株式ファンドマネージャー、FAMA Investimentosのポートフォリオマネージャーは、
「電力源を除くすべての間接排出を占めるスコープ3の排出量を測定するのは難しい。しかし、JBSはこの複雑さの陰に隠れて、排出量を報告しなかったり、自分たちに都合のよい方法論にこだわったりと、やりたい放題だ」と、モンガベイの電話取材に答えている。
JBSは、間接的な排出量を測定することはできないし、約束の範囲については常に投資家に対して透明性を保ってきたと反論している。この件は、SECが最近創設した気候・ESGタスクフォースが分析することになるとみられる。
一方、ESGの専門家であり、ゲトゥリオ・バルガス財団(FGV)のコンサルタント兼教授のグリッツィ氏は、「市場は惑わされたのではなく、買いたいから買ったのだ。」「この債券が本当にグリーンと言えるかどうかは、また別の議論になる。しかし残念ながら、金融の世界では、どのような債券をサステナブルと銘打っていいのか、いけないのか公式な規範がまだない」とも語った。
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