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2024.5.9 Mongabay:プランテーションで森林を失ったスマトラの先住民、絶望に襲われる

スマトラ島を拠点に先住民族の擁護活動を行うNGO、KKI Warsiによると、半定住型先住民であるスク・アナク・ダラム族の約半数、2500人がプランテーション企業に慣習地を奪われたという。それら企業の中には、ゴム農園を経営するインドネシア国営企業、アラム・レスタリ・ヌサンタラ(ALN)社も含まれる。
同社はジャンビ州セピントゥン村で1万785ヘクタールの土地を管理する許可を持ち、天然ゴムの世界最大手サプライヤーの1つであるタイのスリ・トラン・グループが所有する地元の加工業者にラテックスを販売している。
スク・アナク・ダラム族のダワス氏によると、2016年にALN社の代表者が彼の家族を訪ね、現在の居住地を手放すよう求めた。
土地の所有者を主張する人物が、ダワス氏の知らないうちに、70ヘクタールすべてを同社にすでに売却していた。そこでALN社の代表者は彼に土地を明け渡すよう求め、善意のしるしとして、新しい家を建て、生涯、毎月の手当を支払うと申し出た。ダワス氏はその申し出を受けたが、最初の3か月で手当は打ち切られ、新居は実現しなかった。「私は騙された」と彼は言った。
ダワス氏によると、彼が会社に苦情を申し立てたところ、会社は代表者による申し出について一切知らないと否定した。
文字を読めないダワス氏は、書面による契約書にサインしていなかった。抗議のため、ダワス氏とその家族は2020年に、兄がALN社に売却した35ヘクタールの土地を占拠し、4年前に失った土地の補償だと主張した。
そのため、ALN社の役員らが相次いで訪問し、ダワス氏に申し立ての件について諦めるよう要求した。昨年9月の3度目の訪問で、ダワス氏は脅迫されてついに折れ、合意書に署名した。妻のアイニ氏は、夫は逮捕されるのではないかと恐れた。
夫婦はどちらも字が読めなかったため、その時、ALN社に対する土地に関するすべての請求権を放棄し、1人当たり最低月額賃金260万ルピア(170ドル)でゴム採取作業員として同社に雇用されるという契約にサインしていたことを知らなかった。
人類学者によれば、森林に依存して生活するスク・アナク・ダラム族は20世紀の大半にわたり、自給自足の生活を送っており、外部との接触は最小限だったという。
しかし、インドネシア政府がパーム油やゴムの企業に産業プランテーションの許可証を発行すると、この孤立は急速に崩れ去った。
ブルドーザーが数千ヘクタールもの森林を伐採したため、2,000人以上が家を失い、多くのスク・アナク・ダラム族は近隣の集落で物乞いをするしかなくなった。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/05/desperation-sets-in-for-indigenous-sumatrans-who-lost-their-forests-to-plantations/