カーボンニュートラルでCO2を出さないとされる木材を燃料にするバイオマス発電への注目が増しているが……実は、急速にブレーキがかかっている。バイオマス発電所の稼働停止態が各地で頻出している。兵庫県朝来市のバイオマス発電所は、今年年内いっぱいで停止。木材が高騰したウッドショックや、ウクライナ侵攻の影響で輸入禁止となり調達が難しくなったからだ。燃料を海外に依存するバイオマス発電所も燃料価格が跳ね上がり、とくにパーム油を燃やす発電所は8カ所すべて止まった。東南アジアやカナダなどの木質ペレットも、円安と世界的な品薄で価格が暴騰。日本がもっとも輸入しているベトナム産木質ペレットの一部は、合法性や環境配慮を示す森林認証の偽装がばれて認証を剥奪された。認証されていないものは使えない。
ヨーロッパの環境NGOや研究者らは、森林破壊を助長しかねず、CO2排出量の削減にもならない木質バイオマス発電は再生可能エネルギーの枠組から除外すべきと訴え始めた。日本のバイオマス発電は、木質燃料の多くを輸入しその時点でCO2の総排出量は石炭を燃やすより多いという指摘もある。国内でも、伐採跡地の再造林は約3割しかなく、建材になる木材まで燃料にし、発電だけで熱利用をしないため5割以上のエネルギーが無駄になる。もはやバイオマス発電は、燃料価格だけでなく脱炭素の意味からも破綻している。経済的な理由による稼働停止は、むしろ僥倖かもしれない。
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