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03. 違法伐採問題

03. 違法伐採問題

ロシアの違法伐採(1)

ロシア

ロシアの違法伐採(1)

2009年5月掲載

ソビエト体制崩壊後、法的な混乱、犯罪の蔓延、労働者の解雇、物資の不足により、地方とりわけ伐採村落の生活が極度に悪化しました。そのため、90年代には、旧国営企業の旧式機材を使い、木材ビジネスを立ち上げる動きが加速。2000年までにこの地域の林産業者は約3~5倍に膨れ上がりました。
無数の小企業が自社の経営を軌道に乗せるためには、違法あるいは半合法的に森林フォンドを利用しなければならなくなりました。これらの業者は、偽造あるいは営林署職員から不正に手に入れた伐採証明書を用いるか、時には全く書類を持たずに調達した木材を非常に低い価格で売買してきました。
このようなビジネスはすぐに、小企業が欲しがるドル現金を持つ中国人バイヤーにコントロールされてしまいます。木材は、流通過程で合法化され、ロシア国内の大手林産企業や中国バイヤーの利潤を拡大し、全体としてみれば、このような合法ビジネスと違法ビジネスは一体化しているのが現状です。

これらの違法行為の誘発を回避できない最大の要因は、流通経路を辿るための一貫した書類システム=合法性証明システムが存在しない、または機能していないことにあります。2007年9月現在、新森林法典下での地方における森林管理体制の整備も未完成であり、
伐採リース時に必須であった国家環境影響評価も行われていないことから、木材流通過程全体が合法性と非合法性を区別する確固とした判断基準を持っておらず、持続可能な森林管理が行われていることを示す指標が全くない状態です。

このような状況において拡大し、一般化する木材ビジネスの弊害が最も顕著に表れるのは、奥地の森林地帯にあり、生活レベルの低さから違法伐採に関わらざるを得ない伐採村落であるため、現状の法や管理体制からだけでは判断し切れない生物多様性や人権の観点をも考慮して、木材調達過程の透明性を確保することが急務と言えます。

狭義での違法行為
1.盗伐
2.間伐による禁伐種の伐採、禁伐区、伐採制限区での伐採
3.関税法違反など流通過程における違法行為
4.長期リースを有する業者による違法行為
5.中国人ビジネスと関連した違法集材、加工

広義での違法行為(持続可能性に対する非モラル的行為)
6.森林生態系の劣化を導く資源利用(持続可能性、生物多様性)
7.森林と結びついた地域住民(先住民)の生活を侵害する資源利用


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