中国の木材貿易(2)
中国の木材貿易(2)
安い木製品を求める世界の需要に応え輸出も急増
林産品の輸出額は 1997 年の 36 億米ドルから 2005 年には 172 億米ドル、 2007 年には 221 億米ドルに急増しました(1)。
輸出される主な製品は家具や木質パネルで、 2007 年にはこの 2 品目だけで中国の林産品輸出総量の約 70 %を占めます。家具の輸出量は 1997 年から 2005 年までの間に 320 万立方メートルから 1,270 万立方メートルに増え、年平均 19 %増えていることになります。 2006 年には輸入材加工による家具の輸出額は全輸出総額の 41 %にも上りました。
中国から林産品を輸入する国はますます増えています。中国の主要な輸出先はずっと米国や日本、香港でした。しかし 1997 年以降は米国と EU 諸国の伸びが顕著です。EU 諸国への輸出は 2002 年以降は毎年年間約 40 %増加しています。イギリスの輸入量が最も多く、EU 全体の約 30 %を占めます。そしてドイツとオランダがこれに続いています(2)。
そして今後も輸出は増えることが予想されます。しかし、中国にとっての大きな輸出市場である米国や EU 、日本では、環境問題、特に違法な出所からの木製品に対し、非常に敏感になっています。 EU 諸国の一部および日本ではすでに公共調達政策が実施されており、合法性の証明または認証を受けた林産品のみを求めています。このため中国の加工貿易においても、環境に配慮した木製品の輸出のための緊急の対応策が求められているのです。
林産品を中国に供給している国の数は着実に増えています。対中国輸出額が 50 万米ドルを越える国の数は 97 年は 54 カ国でしたが、 2005 年には 84 カ国に増えています(3)。しかし、中国の林産品輸入総量の約 3 分の 2 は依然パプアニューギニアやインドネシア、ミャンマーなどのアジア太平洋地域からです。さらにロシア(主に極東)については丸太の輸入が急激に増え、 2000 年から 2005 年までの間に約 590 万立方メートルから約 2004 万立方メートル と大きく膨れ上がっています(4)。しかし、 2005 年末ロシアは丸太の輸出関税の段階的引き上げを発表し、 2008 年には 25 %にまで大幅に引き上げられました。そのため、ロシア丸太の輸入に大きく依存している中国にとっては今後大きく影響を受けることは間違いないでしょう。
さらに、中国の木材市場に大きく依存しているのはアジア太平洋地域に限らず、アフリカにも拡大しています。中央アフリカに位置するコンゴ川流域(コンゴ・ベイスン)は、以前はほとんどヨーロッパが木材の輸出先でした。しかしわずか 10 年の間に中国が最大の輸出先となったのです。
(1) 国家林業局, 「 2008 中国林業発展報告」
(2) James Hewitt, “An introduction to the supply of timber products to the EU via China ”, 2007
(3) Forest Trends, “ China and the Global Market for Forest Products”
(4) 中国海関統計