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フェアウッド研究部会

第38回「ボルネオ島の生物多様性と持続可能な森林経営」(2019.5.15)

2019.4.17掲載
2019.08.08更新

持続可能な開発目標(SDGs)15に挙げられる「森林生態系の保全と持続可能な森林管理」の目標は、他よりも10年早い2020年。その達成のカギは、木材やパーム油の生産地として減少と劣化が進む東南アジアの熱帯林を、いかに維持できるかにかかっているとも言えます。陸上の生物多様性の半分を支えていると言われる熱帯林。その多様性はどのように構成されているのでしょうか。

今回のフェアウッド研究部会では、インドネシア、マレーシア、ブルネイにまたがるボルネオ島で16年という長きにわたり野生動物と森林の関係を観察してきた専門家の安間繁樹先生から、生物多様性の観点からみた熱帯林の現状と持続可能な森林経営の在り方について、お話を伺います。

開催報告

(成田 陸/フェアウッド・パートナーズ インターン)

今回は、1985年から国際協力機構(JICA)海外派遣専門家として、ボルネオ島で調査及び研究指導に携わってこられた、安間繁樹氏をお迎えしてお話をいただきました。

はじめにボルネオ島の森林区分、文化、歴史についてお話いただきました。ボルネオ島全域は森林区分における熱帯雨林にあたります。その中でも標高、地形、降水量によって、低地混合フタバガキ林、マングローブ林、海岸林、川岸林、石灰岩台地上の森林、淡水湿地林、汽水林、移行林の8区分に分かれるそうです。最も多いのが低地混合フタバガキ林で、ボルネオ島における森林地帯の70%を占めており、一般的に熱帯雨林と呼ばれている森林だそうです。このフタバガキは日本ではラワン材と呼ばれており、樹高70m、胸高直径2m、枝下30mで通直な材がとれる商業的に有用な樹木です。この有用な樹木は1haあたり平均して6本あり、伐採業者は調査費込みで、4本あれば儲かるそうです。

次に樹木の伐採、造林に関して詳しくお話いただきました。マレーシアの森林のほとんどは国有林で、伐採業者はコンセッション(伐採権)を国(林業省)から付与され、立木を伐採します。伐採目的は大きく二つに分かれ、木材生産を目的とする生産林内の伐採、農地や資源採掘事業地などへの転用を目的とする用途転換林における伐採(皆伐)があげられます。転用される森林は外貨が稼げるパーム油を生産するアブラヤシ農園などになるとのことです。生産林では皆伐ではなく択伐で、植栽を義務付けられているとのことでした。伐採樹木にも規定があり、胸高直径が50cm以下のものと急傾斜地にあるものは伐採が禁止されているそうです。ただ現在は30cm以上のものまで伐採可能となっており、再造林された二次林が成長し安定する前に伐採されていることで熱帯雨林が荒れ、再生困難な状況になっているとのことでした。またこれらの状況は企業の判断だけで行われているのではなく、政策として展開されていることでした。

最後に熱帯雨林の生態系についてお話いただきました。熱帯雨林の最大の特徴はフタバガキなどの高樹高の樹木があることで、とても立体的な空間が存在することでした。この空間に最も適したのは、ボルネオ島に生息する動物の41%を占めているコウモリだそうです。また樹上の空間を利用するネズミ科の動物だそうです。他にも鳥類が多く生息し、多様な生態系が構築されていることでした。この多様な森林を残すためにはフェアウッドの推進があらためて大事だと思いました。海の向こうお話がとてもリアルに感じられました。

開催案内

【開催概要】
日 時:2019年5月15日(水)17:00~20:00(開場:16:30)
場 所: 地球環境パートナーシッププラザ(〒150-0001東京都渋谷区神宮前5-53-70国連大学ビル1F、http://www.geoc.jp/access/、03-3407-8107)
会 費: 3,000円(懇親会費1,000円を含む。当日受付でいただきます)

【プログラム】(内容は予告なく変更することがあります)
第1部:講演「ボルネオ島の生物多様性と持続可能な森林経営」
安間繁樹氏/動物生態学者、元JICA野生生物調査専門家
第2部:懇親会

【講師プロフィール】
安間繁樹氏(やすま・しげき)
東京大学大学院博士課程修了。農学博士(哺乳動物生態学専攻)。世界自然保護連合種保存委員会(IUCN・SSC)ネコ専門家グループ委員。熱帯野鼠対策委員会常任委員。公益財団法人平岡環境科学研究所評議員。2004年 市川市民文化ユネスコ賞受賞。
若い頃から琉球列島に関心を持ち、とくにイリオモテヤマネコの生態研究を最初に手がけ、成果をあげた。1985年からは、おもに国際協力機構(JICA)海外派遣専門家として、ボルネオ島で調査および研究指導に携わってきた。西表島とボルネオ島に関し、あるがままの自然と人々の営みを記録すべく歩き続けている。

【お申込み】
お申し込みフォームにてお申し込みください。フォーム記入ができない場合、「第38回フェアウッド研究部会参加希望」と件名に明記の上、1)お名前 2)ふりがな 3)ご所属(組織名及び部署名等)4)Eメールアドレスを、メールにてinfo@fairwood.jpまで送付ください。
※定員60名

【お問合せ】

  • 地球・人間環境フォーラム(担当:坂本)
    http://www.fairwood.jp、info@fairwood.jp、TEL:03-5825-9735
  • ワイス・ワイス(担当窓口/広報課 野村)
    http://www.wisewise.com、press@wisewise.com、TEL: 03-5467-7003

 

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