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フェアウッド・マガジン 世界のニュース 第239号  2024年7月5日

梅雨も明けないうちに猛烈な暑さがやってきました。気候変動の根本的な対策の一つは、吸収源である森林、それも天然林を保全することであると、5月に来日したカナダの森林生態学者スザンヌ・シマード氏は繰り返し話していました。
幸い多くの記者の方に記事にしていただき、気候変動と生物多様性保全の両面において、天然林がいかに重要であるかというメッセージが広く伝わったのではないかと思います。
東南アジアではアブラヤシやゴム、紙パルプ向けの大規模なプランテーションが先住民族など森に依存し森と共存してきた人々の暮らしを破壊し、野生生物を追いやっているという報道が後を絶ちません。
消費国側、投融資する側の日本からできることは、まだたくさんあるはずです。
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GEF等が5月末に招へいしたカナダ森林科学者を取り上げたメディア掲載を紹介します。講演の内容などは、主催イベントのウェブサイトからご覧いただけます。
▽5/27開催セミナー「カナダの森の叡智を紐解く 気候と生態系を守る森を燃や
すバイオマス発電は「再エネ」なのか?」
https://www.gef.or.jp/news/info/240527canadaforestseminar/

メディア掲載一覧(7月5日現在)
●2024.6.30 東洋経済:「マザーツリー」は森林や林業の常識を一変させる 『マザーツリー』スザンヌ・シマード氏に聞く
https://toyokeizai.net/articles/-/767945

●2024.6.25 東洋経済:カナダの原生林皆伐と日本のバイオマス発電 本当にカーボンニュートラルと言えるのか
https://toyokeizai.net/articles/-/764862?utm_source=author-mail&utm_medium=email&utm_campaign=2024-06-25

●2024.6.21 Yahoo!ニュース:バイオマス発電が原生林を破壊する(田中淳夫)
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c0e56748367f99f997841b75e4ebc4782ebf0fd0

●2024.6.13 サステナブルブランド・ジャパン:日本の木質バイオマス発電に使われるペレットは、カナダの原生林から来ている──来日した森林生態学者らが警鐘鳴らす
https://www.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/1222403_1501.html

●2024.6.7 OTEMOTO:『アバター』にも影響を与えた森林学者が訴える、カナダの原生林の危機的状況。日本でも進む「木質バイオマス発電」の課題 https://o-temoto.com/hirohiko-namba/woody-biomass/

●2024.6.4 Yahoo!ニュース:原生林伐採の輸入木質バイオマス発電は中止を:「マザーツリー」カナダ森林学者訴える
https://news.yahoo.co.jp/articles/7b3cff3b6e3b11e70e523f9a239982302205ad9a

関連情報:カナダのペレット生産に関する新レポート日本語訳公開
2024.6.5  Conservation North:残存する森林の伐採:ドラックス社のペレット工場はブリティッシュコロンビア 州の最も希少な老齢林から丸太を調達している
https://conservationnorth.org/logging-what-left-japanese/

【バイオマス】
●2024.6.26 THE HILL:エネルギーのために木を燃やすと、気候が温暖化する、と科学者たちは主張
プリンストン大学の研究者ティモシー・サーチンガー氏とイェール大学の経済学者スティーブ・ベリー氏の報告書は、成長する木質ペレット産業の根底にある考え-木材を燃料として燃やせば(二酸化炭素)排出量は削減されるという考えに反論している。
しかし他の科学者たちは、林産物市場が拡大するほど、 森林の成長は促進されると主張している。
サーチンガー氏らは、森林が世界中で拡大していることは認めているが、この拡大は伐採量が増加しているからではなく、伐採の増加にもかかわらず起こっていると主張した。
彼らは、森林の拡大は大気中の熱と炭素の増加によるものであり、森林の成長は気候変動を遅らせる重要な方法だと主張した。
原文はこちら(英語)
https://thehill.com/policy/energy-environment/4741195-wood-burning-industry-emissions-climate-report/

●2024.6.24 Star News Online:ウィルミントン港で操業する2社に粉塵排出規制命
規制当局は、近隣住民から過剰な粉塵排出の苦情を受け、世界最大の木質ペレット生産業者エンビバ社とバサガ社に対して命令を下した。
州の規制当局は、ウィルミントン港で操業する2社に対し、施設からの粉塵排出をより適切に管理するための新たな対策を実施するよう命じた。
ノースカロライナ州大気質局(DAQ)は月曜日、エンビバ社とバサガ・インターナショナル社に対し、近隣の土地への影響を抑えるため、新たな「飛散粉塵対策」を採用しなければならないと発表した。
この措置は、ウィルミントンのサンセット・パーク地区の住民数人が、港から排出される粉塵が自宅や車、庭を汚しているとして州の規制当局に苦情を申し立てたことを受けたものである。
規制当局によると、企業は、当局が敷地境界から出る過剰な粉塵を観察するか、12カ月以内に2件の苦情を受けた場合、追加の粉塵対策を策定することが義務付けられている。
https://shorturl.at/y2O6l

●2024.6.19 日経新聞:IHI、バイオマス燃焼試験を検討 タイ発電公社と覚書
IHIは19日、タイ発電公社(EGAT)とバイオマス燃料の製造・活用に関する覚書を締結したと発表した。
木くずなどを押し固めたバイオマスペレットの製造のほか、火力発電所での燃焼試験を検討する。
タイ国内の火力発電所の脱炭素化に向けて、バイオマスへの燃料転換を後押しする。
アカシアやユーカリなどの木材がペレット製造に適しているかを評価する。
詳しくはこちら(一部有料記事)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC197YN0Z10C24A6000000/

●2024.5.26 Global News:英国で上映されたドキュメンタリーでブリティッシュコロンビア州の林業慣行が批判を浴びる
BBCのドキュメンタリー番組が、英国で発電用に燃やされている木質ペレットを取り上げ、同州の林業慣行が国際的な批判を浴びた
長編の調査ドキュメンタリーは、内陸部の木質ペレット産業における環境問題の疑惑に焦点を当てた。
番組の調査では木質ペレット産業は、カナダの環境規制に189回も違反していると言われている。
原文はこちら(英語)
https://globalnews.ca/news/10525850/bc-forestry-practices-international-scrutiny/

●2024.4.22 Mongabay:バイオプラスチックは普通のプラスチックと同じくらい有毒。研究者によると、どちらも規制が必要
スウェーデンのヨーテボリ大学の生態毒性学および環境科学のアルムロス教授によると、植物由来のプラスチックは石油由来のプラスチックと同様、何千もの合成化学物質が含まれており、その多くは非常に有毒である。
バイオプラスチックの製造に必要な化学プロセスと、バイオプラスチックに求められる多くの望ましい品質(耐久性、柔軟性、色など)を実現するために必要な添加物によるものである。
バイオプラスチックは、生物から作られるプラスチックと生分解性プラスチックの両方を含む用語で、2000年代初頭に市場に初めて登場した。
では、石油由来の使い捨ての食器と、バイオ由来の使い捨ての食器のどちらを選ぶべきか。「毒物学の観点から言えば、従来のプラスチックを購入しても、バイオプラスチックを購入しても違いはない。」と、ノルウェー科学技術大学生物学部の生物学者、ワグナー教授は述べている。
「企業には、より安全で持続可能な材料に投資し、設計してほしい。イノベーションの可能性は大いにある。しかし、まずはバイオプラスチックに毒性の問題があることを認めなければならない。」
欧州バイオプラスチック業界団体は、毒性を示す研究に対して積極的に反応している。同団体は、ワグナー氏が主導した2020年の研究について、「バイオプラスチックは、他のすべての材料と同様に、現行の法律や規制に準拠している。」とし、その研究手法ではバイオプラスチックの毒性は証明されていないと声明を発表した。
3月中旬、EUの研究者グループがプラスチック添加物について警鐘を鳴らす報告書を発表した。彼らは、石油由来のプラスチックには1万6000種類の化学物質が含まれており、そのうち4200種類は極めて有害であることが分かっており、さらに1万種類については十分な有害性の情報がない、と推定している。
アルムロス氏は、バイオ由来のプラスチックも同様の数値を示しているが、研究者らはバイオ由来のプラスチックと石油由来のプラスチックの添加物の組み合わせが正確にどう違うのかは分かっていないと述べている。バイオプラスチックには多くの化学添加物が含まれていること、またバイオ由来のプラスチックを研究室でテストすると毒性の兆候が見られることは分かっている。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/04/bioplastics-as-toxic-as-regular-plastics-both-need-regulation-say-researchers/

【森林減少】
●2024.6.28 AFPBB News:ボルネオゾウ、絶滅危惧種に指定 IUCN
国際自然保護連合(IUCN)は27日、ボルネオ島に生息する小型のゾウ「ボルネオゾウ」について、絶滅危機(EN)にあるとの評価を発表した。野生には推定1000頭しか残っていないとみられている。独立した亜種として初めて調査を行った。
ボルネオ島はマレーシア、ブルネイ、インドネシアの3か国にまたがる。ボルネオゾウは主にマレーシアのサバ州に生息しているが、インドネシアの東カリマンタン州で見られることもある。
IUCNは、森林伐採がボルネオゾウの生息地の多くを破壊したことで、個体数の減少が始まったと指摘し、「サバ州の人口が急増する中、生息地を失ったゾウが人里に現れて農作物に被害を及ぼし、害獣として駆除されるケースが増えていった」と説明する。
IUCNはまた、採鉱やパーム油生産でのアブラヤシ栽培、木材生産のための植林などにより現在も生息地の破壊が続いているとした他、汎ボルネオハイウエー(Pan Borneo Highway)建設計画を名指しし、絶滅を加速させる恐れがあると警鐘を鳴らした。
詳しくはこちら
https://www.afpbb.com/articles/-/3526660

●2024.6.26 AFPBB News:世界最大の熱帯湿原に非常事態 「制御不能の火災」 ブラジル
ブラジルにある世界最大の熱帯湿原「パンタナル」が「制御不能の火災」に直面しているとして、現地当局は24日、6か月間の非常事態を宣言した。
国境をまたいでボリビア、パラグアイにも広がるパンタナルは、野生生物の宝庫。ジャガーの生息密度は世界一とされる。
専門家らは、厳しい干ばつと、森林に農地を拡大するための焼き畑が制御不能になり、燃え広がった結果だと指摘している。
リオデジャネイロ連邦大学の衛星データによると、パンタナルでは今年すでに62万7000ヘクタールが焼失した。
詳しくはこちら
https://www.afpbb.com/articles/-/3525944

●2024.5.6 朝日新聞SDGs ACTION!:欧州人権裁判所が「気候保護は人権の一部」と初めて認定する判決 熊谷徹のヨーロッパSDGリポート【18】
欧州人権裁判所(ECHR)はスイスの環境団体の訴えを認めて、「政府が地球温暖化の影響軽減のための努力を怠ることは人権侵害にあたる」
とする画期的な判決を下した。学界や環境団体の間では「他の地域での環境訴訟にも影響を与える」という意見が有力だ。
この訴訟では、スイスの環境保護団体「クリマ・ゼニオーリネン(気候を守るシニア女性たちの意味)」と4人のスイス人女性たちが、ECHRに対して、「スイス政府が温室効果ガス(GHG)削減へ向けた十分な努力をおこなっていないために、我々市民は健康的な生活を送る権利を損なわれている」と主張し、人権侵害の認定を求めて訴えていたもの。
ECHRは4月9日に下した判決の中で、「スイス政府のGHG削減のための措置は不十分であり、これまでGHG削減目標も達成していない」として、原告団体の主張を認めた。欧州の国際裁判所が、地球温暖化の悪影響が少ない気候を享受する権利を、人権の一部と認めたのは今回が初めてだ。
ドイツのポツダム気候影響研究所(PIK)のオットマー・エーデンホーファー所長は、4月9日に公表した声明の中で、「今回の判決は、初めて気候変動による影響の軽減に関する、政府の責任問題を明らかにしたものだ。裁判所が、不十分な気候政策を人権侵害と認定したことは、画期的だ」と高く評価した。
PIKのヨハン・ロックストレーム研究員は、「熱波、干ばつ、洪水、森林火災は現在も人々の生命を脅かしている。しかし気候変動によって、極端な気象災害が増えるので、特に将来の世代が地球温暖化によって脅かされている」として、気候保護訴訟は将来も、政府と政治家が十分な対策を取るようにプレッシャーをかけるための有効な手段になるという見方を示した。
詳しくはこちら
https://www.asahi.com/sdgs/article/15256756

【違法伐採問題】
●2024.5.30 NNA ASIA:環境犯罪の資金洗浄リスクを公表=金融庁(シンガポール)
シンガポール金融管理庁(MAS,中央銀行に相当)は29日、内務省、財務省と共同で環境犯罪に絡む資金洗浄(マネーロンダリング)に関する国のリスク評価や対策などをまとめた報告書「エンバイロメンタル・クライムス・マネーロンダリング・国家リスクアセスメント(NRA)」を公表した。
報告書によると、毎年、野生生物の違法取引や違法伐採などの環境犯罪は、世界全体で約1,100億米ドル(約17兆2,900億円)から2,810億米ドル規模の犯罪利益を生み出していると推定されている。シンガポールは国際金融センターや貿易のハブとしての機能を持ち、対外志向の強い経済であることから環境犯罪の資金洗浄リスクにさらされているという。
報告書の評価によると、シンガポールは東南アジアで横行する野生生物の違法取引、違法伐採、廃棄物取引に起因する資金洗浄の脅威を受けやすいことが明らかとなった。銀行や越境決済サービス事業者は、他業種の企業と比べて環境犯罪の資金洗浄に悪用される可能性が最も高いことも分かった。
詳しくはこちら
https://www.nna.jp/news/2663923?media=yahoo

●2024.5.9 Mongabay:インドネシアの企業、命令に従わず、オランウータンの生息地で泥炭地の皆伐を続行
インドネシアのパルプ用材生産者、マヤワナ・ペルサダ社は2016年以来、西カリマンタン州の13万6710ヘクタールの伐採許可地内で、シンガポールの半分の面積に相当する3万5000ヘクタール以上の森林を伐採し、パルププランテーションを造成してきた。活動家らは、これらの皆伐がオランウータンの重要な生息地、炭素が豊富な泥炭地で行われたと指摘した。
NGO連合の分析によると、2024年3月時点で泥炭地約3万296ヘクタール(うち保護地1万5560ヘクタール)が伐採された。
マヤワナ・ペルサダ社の企業活動を調査した最近の報告書は、この伐採を「インドネシアで進行中の最大規模の森林破壊事例の一つ」とみており、シンガポールに拠点を置く製紙・パーム油複合企業ロイヤル・ゴールデン・イーグル(RGE)と同社を関連づけている。
RGEは、マヤワナ・ペルサダ社とのいかなる関係も否定しているが、主要人物の共通性、運営管理やサプライチェーンのつながりについて明らかになっている。
多数のメディアやNGOの報道を受けて、環境林業省はマヤワナ・ペルサダ社の操業について評価し、2024年3月28日付けの書簡で、同社に対し、伐採済の地域の伐採活動をすべて停止し、荒廃した空き地での操業に集中し、破壊したものを修復するよう命じた
しかし同省の命令にもかかわらず、マヤワナ・ペルサダ社は保護価値の高い7万9773ヘクタールの泥炭林を伐採し続けており、NGO連合の分析によると、4月1日から24日までに434ヘクタールを伐採している。
これは環境省の命令に対するあからさまな無視であり、政府の泥炭保護規則に対する明らかな違反だと、インドネシアの環境・人権擁護団体サティア・ブミの政策研究者サイイダティハヤ・アフラ・G・ラスーキ氏は述べた。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/05/indonesian-company-defies-order-still-clearing-peatlands-in-orangutan-habitat/

●2024.4.29 Mongabay:JBSと森林破壊を結びつけたブラジルの調査にゴールドマン賞が授与される
2021年12月、欧州の大手スーパーマーケットチェーン6社は、ブラジルの牛肉大手JBS製品の販売を無期限に停止することを決定した。
このボイコットは、非営利メディアのレポルテール・ブラジルが、国際NGOのマイティ・アースととともに報道した内容を受けて発表されたものである。その内容は、ヨーロッパで販売されているJBSの製品が、アマゾン熱帯雨林を含むブラジルの最も危機に瀕した生態系での森林破壊に直接結びついているというものであった。
このジャーナリストの調査により、JBSが「牛ロンダリング」と呼ばれる手法で、違法に伐採された地域で飼育された牛をサプライヤーから間接的に購入していたことが明らかになった。4月下旬、レポルテール・ブラジルの事務局長マルセル・ゴメス氏は、調査活動を主導した功績により、2024年ゴールドマン環境賞を受賞した。
ゴメス氏の調査は2017年に開始され、ブラジルの透明化法に基づいて公的機関が提供する環境罰金、禁輸措置、奴隷労働、牧場間の牛移送ガイドなど、牛肉の流通に関する膨大なデータを相互参照する独自のプラットフォームを構築した。
プラットフォームの立ち上げとともに、マイティ・アースと連携し、ヨーロッパのスーパーマーケットで販売されているブラジル産牛肉の原産地を突き止めた。
2020年、ゴメス氏はヨーロッパ諸国で調査員を雇用、彼らはスーパーマーケットでJBSが供給する肉製品を探し、ルポルテール・ブラジルが考案した方法に基づいてパッケージからデータを収集し、調査スプレッドシートに入力した。収集したデータに基づいて、JBSの牛肉を、食肉加工工場から屠殺場まで、さらにサプライヤーが牛を飼育したとされる農場まで、サプライチェーンに沿って追跡することが可能になった。特定された牧場が以前、森林伐採で制裁を受けていた場合、レポルテール・ブラジルチームは、先住民コミュニティ、地元のNGO、農家等の強力なネットワークに呼びかけ、情報をさらに入手した。また、この調査では、衛星マッピングを利用して、牛のロンダリングが疑われる農場付近の森林伐採を測定した。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/04/goldman-prize-honors-brazilian-investigation-linking-jbs-deforestation/

●2024.4.22 Mongabay:隠れ蓑の存在が環境犯罪者を隠蔽(アマゾン)
グリーンピースは、ホセ・カルロス・ブロンカ氏を、アマゾンの最も暴力的な地域の一つで活動する悪名高い土地強奪者と評している
ブロンカ氏は、アクレ州、アマゾナス州をはじめとする複数の州の食肉処理場チェーン「フリゴノッソ」の共同所有者である。
彼は、連邦検察庁(MPF)とブラジル環境・再生可能天然資源院(IBAMA)の標的となり、2021年2月に連邦裁判所によって資産が差し押さえられた。
ブロンカ氏はアグリビジネス業界および森林伐採業で名を知られているにもかかわらず、当局は、彼の資産が、隠れ蓑として使われる人物の名義となっているため、彼を告訴するのに苦労している。
アマゾンでは当たり前の戦略とされるこの戦略は、捜査官にとって長年の障害となってきた。土地強奪者は、多くの場合、読み書きができないか、結果を十分に理解していない素朴な人たちを隠れ蓑(フロント)にして、土地規制に関する法律を回避し、訴訟、投獄、環境罰金から身を守ることができる。彼らには通常お金がないため、これらは決して支払われない。
上司の命令で紙切れに署名するだけで、従業員はたいていフロントになる。「彼らは大企業に搾取され、わずかな給料しか支払われず、すべてを乗っ取られることが多い」とIBAMAのギマランイス氏は語った。しかし、ほとんどの場合、そうした取引には金銭さえ絡んでいないと、アマゾナス州の検察官ロシャ氏は言う。「多くの場合、それは上司と従業員のあいだの仲間意識のもとで行われる。」
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/04/a-web-of-front-people-conceals-environmental-offenders-in-the-amazon/

【パーム油問題】
●2024.5.21 Mongabay:油ヤシ農園は森林破壊に加え、洪水と水質汚染のリスクももたらす
インドネシア領パプアのカイス村に住むカイ族の生活は、数社の企業がアブラヤシ農園のために森林伐採を開始、2021年時点で約1万ヘクタールを伐採したことにより、劇的な変化が起こった。ブライアンタマ氏(現:世界資源研究所インドネシア支部GISアナリスト)によると、2022年の時点で「村人たちは洪水や水質悪化などの影響を感じ始めていた」という。
アブラヤシ農園の拡大と洪水・水質悪化の関連性を裏付けるため、ブライアンタマ氏らは、土壌と水評価ツール(SWAT+)を使用して、カイス川流域の水収支と水質の歴史的変化を評価した。その結果、アブラヤシ農園造成前と比べて流域の表流水は21%増加し、流出土砂は16.9%増加したことが分かった。表面流出の増加により、洪水の可能性がほぼ5倍に増加したと研究者らは結論付けた
これは、特に若いアブラヤシが、森林の樹木ほど保水力がないためだとブライアンタマ氏は述べた。
研究者らは、流出量と堆積量の増加が下流の水質にも悪影響を及ぼしていることについても明らかにした。農園造成後、流域の窒素とリンのレベルはそれぞれ78%、144% 増加したが、これは農園から土壌と農薬が流出した結果である可能性が高い。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/05/beyond-deforestation-oil-palm-estates-pose-flood-and-water-contamination-risks/

●2024.5.7 Mongabay:インドネシアのパーム油とブラジル産牛肉が、米国による森林破壊の最大の要因
グローバル・ウィットネスからの委託によりNGOのトレースが作成した新たな報告書によると、米国は2021年10月から2023年11月の間に、推定12万2800ヘクタールの熱帯林破壊につながるパーム油、牛製品、大豆、カカオ、ゴム、コーヒー、トウモロコシを輸入していた。これはロサンゼルス市と同程度の面積である。
森林破壊の3分の1以上(33.8%)は、主にインドネシアからのパーム油の輸入に関連している。トレースの方法は、樹木被覆の減少に関する衛星データと貿易記録、そして商品生産データを組み合わせて、各国および各年の生産量1トンあたりの森林破壊量を推定するというものである。
この報告書は、サプライチェーンから森林破壊を排除すると、業界および政府が約束したにもかかわらず、米国は森林破壊に関連する産品の輸入を続けており、「海外の法の支配と環境上適正な貿易の促進(FOREST)法」の成立に至っていないことを明らかにした。
このFOREST法案は、「違法に伐採された土地から生産された対象産品で作られた製品」の輸入禁止を目指している。
対象産品には、パーム油、大豆、カカオ、牛、ゴム、木材パルプが含まれている。この法案は、違法伐採を行う組織や個人を米国が起訴すること、森林伐採から脱却する国々を支援するための基金を設立すること、そして法執行と保全プログラムを作成することを可能にする。
FOREST法案は2021年10月に初めて連邦議会に提出された。グローバル・ウィットネスの上級政策顧問、アシュリー・トムソン氏は、この法律が可決され施行されるまで、米国は森林破壊を引き起こす製品を輸入し続けることになるだろう、と語っている。
トレースは、インドネシアのパーム油、ブラジルの牛や大豆など、特定の高リスク国や商品の森林破壊リスクに関するデータセットを作成している。この情報の多くは無料で簡単にアクセスできる。オンラインのオープンソースプラットフォームであるパーム・ウォッチなどのツールは、複雑なグローバルサプライチェーンの透明性を高め、消費者がパーム油の影響を追跡するのに役立つものである。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/05/indonesian-palm-oil-brazilian-beef-top-contributors-to-u-s-deforestation-exposure/

【コミュニティ】
●2024.5.9 Mongabay:プランテーションで森林を失ったスマトラの先住民、絶望に襲われる
スマトラ島を拠点に先住民族の擁護活動を行うNGO、KKI Warsiによると、半定住型先住民であるスク・アナク・ダラム族の約半数、2500人がプランテーション企業に慣習地を奪われたという。それら企業の中には、ゴム農園を経営するインドネシア国営企業、アラム・レスタリ・ヌサンタラ(ALN)社も含まれる。
同社はジャンビ州セピントゥン村で1万785ヘクタールの土地を管理する許可を持ち、天然ゴムの世界最大手サプライヤーの1つであるタイのスリ・トラン・グループが所有する地元の加工業者にラテックスを販売している。
スク・アナク・ダラム族のダワス氏によると、2016年にALN社の代表者が彼の家族を訪ね、現在の居住地を手放すよう求めた。
土地の所有者を主張する人物が、ダワス氏の知らないうちに、70ヘクタールすべてを同社にすでに売却していた。
そこでALN社の代表者は彼に土地を明け渡すよう求め、善意のしるしとして、新しい家を建て、生涯、毎月の手当を支払うと申し出た。
ダワス氏はその申し出を受けたが、最初の3か月で手当は打ち切られ、新居は実現しなかった。「私は騙された」と彼は言った。
ダワス氏によると、彼が会社に苦情を申し立てたところ、会社は代表者による申し出について一切知らないと否定した。
文字を読めないダワス氏は、書面による契約書にサインしていなかった。抗議のため、ダワス氏とその家族は2020年に、兄がALN社に売却した35ヘクタールの土地を占拠し、4年前に失った土地の補償だと主張した。
そのため、ALN社の役員らが相次いで訪問し、ダワス氏に申し立ての件について諦めるよう要求した。昨年9月の3度目の訪問で、ダワス氏は脅迫されてついに折れ、合意書に署名した。妻のアイニ氏は、夫は逮捕されるのではないかと恐れた。
夫婦はどちらも字が読めなかったため、その時、ALN社に対する土地に関するすべての請求権を放棄し、1人当たり最低月額賃金260万ルピア(170ドル)でゴム採取作業員として同社に雇用されるという契約にサインしていたことを知らなかった。
人類学者によれば、森林に依存して生活するスク・アナク・ダラム族は20世紀の大半にわたり、自給自足の生活を送っており、外部との接触は最小限だったという。
しかし、インドネシア政府がパーム油やゴムの企業に産業プランテーションの許可証を発行すると、この孤立は急速に崩れ去った。
ブルドーザーが数千ヘクタールもの森林を伐採したため、2,000人以上が家を失い、多くのスク・アナク・ダラム族は近隣の集落で物乞いをするしかなくなった。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/05/desperation-sets-in-for-indigenous-sumatrans-who-lost-their-forests-to-plantations/

●2024.5.8 Mongabay:人権団体、ASEAN環境権枠組みへの市民のさらなるインプットを求める
東南アジアの市民社会グループは、東南アジア諸国連合(ASEAN)の環境権に関する宣言の起草過程において、市民のさらなる参加と透明性、そして最終合意における各国のより強力な関与を求めている。
起草作業を行う作業部会は、ASEAN諸国と市民グループの代表で構成され、これまで4回の協議を行ってきた。
近年、東南アジア全域で環境や先住民族の保護活動家に対する弾圧が強まっている。活動家らが脅迫、攻撃、威嚇を受ける場合が増えており、犯罪者として扱われる場合も増えている。彼らへの弾圧の中には、東南アジア地域の
活動家や専門家の声を封じることを目的とした訴訟の一種、スラップ訴訟も含まれている。
多くの専門家は、この新しい枠組みがこうした弾圧の波に対処する手段であると考えている。「私たちは、政府と民間セクターに責任を負わせるため、東南アジアにおいて優れた国際基準が適用されることを必要としている。」と、タイに拠点を置くNGO、コミュニティ・リソースセンター財団の共同設立者で弁護士のソル・ラッタナマニー・ポルクラ氏は語った。
しかし、当初は法的拘束力のあるものとして構想されていたこの枠組みは「骨抜きにされ」、拘束力のない宣言になったという。現在の草案には、企業の説明責任、気候変動を理由とした移住、先住民族の権利といった問題に関して、明らかに含まれていない内容もあると市民グループは述べている。
「法的拘束力のない宣言であることに対して、我々は最大の懸念を表明する」と、この枠組みを通じて環境権に関するより強力な行動と関与を求めているASEAN気候正義青年フォーラムは述べている。同フォーラムの代表で、
宣言の起草を任された作業部会の一員であるマックス・ハン氏は、世界の他の地域ですでになされているものに匹敵するようなコミットメントを、ASEAN各国政府が果たすよう期待していると述べた。
宣言案は、10月にラオスで開催されるASEAN首脳会議で最終的に採択される予定だった。しかし、市民社会グループは、草案作成プロセスにより多くの一般市民の意見を取り入れるため、意見公募期間を延長するよう求めている。
公募期間が短い点に加え、もう一つの大きな懸念は、現在の草案に「先住民族」という用語が使われておらず、彼らの資源や領土に対する権利が認められていないこと、また、作業部会には先住民族の代表者がいないことである。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/05/rights-groups-call-for-greater-public-input-in-asean-environmental-rights-framework/

●2024.5.7 Mongabay:インドネシアの先住民権利法案を阻止していると非難される企業寄りの政党
活動家らによると、インドネシア議会が先住民の権利に関する待望の法案可決を遅らせ続けているのは、インドネシアの支配層が天然資源の支配権を先住民に奪われるのではないかと恐れているためではないかという。
この法案は2012年に提出され、2014年以来、毎年、国会の国家優先法案リストに掲載されてきたが、未だに可決されていない
連立政権の少数派パートナーである国民覚醒党(PKB)のルルク・ヌール・ハミダ氏によると、この法案を審議してきた立法委員会が2020年に法案の最終草案をプアン・マハラニ国会議長に提出していたが、その後プアン議長は行動を起こさなかったとされる。同議長は、与党第1党である闘争民主党(PDI-P)の議員であり、法案を議会本会議に提出して採決することになっていた。
法案が通過すれば、議会はジョコ・ウィドド大統領(PDI-P出身)政権に通知し、政権は法案で解決すべき具体的な問題を特定する機会を得ることになっていた。
この問題のリストは「問題目録(DIM)」と呼ばれている。
次のステップは、法案を法律として成立させる前に、議会が政府とDIMについて協議し、未解決の問題を解決することである。
しかし、プアン議長は立法委員会からの法案を本会議に提出しようとしなかったため、政権による法案の検討とその次のステップのいずれも実現しなかったと、PKBのルルク氏は述べた。
この停滞の理由は何か?大統領の背後にいる強固な企業寄りの連立政権が、この法案が開発推進に反するものだとみなしている可能性が高い、とインドネシア最大の環境団体、インドネシア環境フォーラム(ワルヒ)事務局長は語った。
インドネシア最大の先住民族団体連合AMANは、先住民族の権利が法律で定められれば、投資家は特定の地域で事業を展開する前に、先住民族から自由意志に基づく事前の十分な情報に基づく同意(FPIC)を得ることが法的に義務付けられることになる、と述べた。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/05/pro-business-parties-accused-of-holding-back-indonesias-indigenous-rights-bill/

●2024.4.23 Mongabay:先住民法案を可決できないインドネシアで、活動家らが最後の訴訟提起
インドネシアの2,000以上の慣習的コミュニティを代表する市民社会の擁護者たちは、ジョコ・ウィドド大統領の10年間の政権下で議会が先住民の権利法案を可決できなかったことに対し、最後の法的挑戦として訴訟を起こした。
「ジョコウィ大統領の任期は残りあと1年。先住民族法案が法律として可決されることを願う」とパプア地域のAMAN活動家ドリンス・メウエ氏は昨年9月に語っていた。
先住民族の擁護者は、インドネシア1945年憲法第18B条に言及し、次のように述べている。
「国家は、伝統的コミュニティとその伝統的慣習上の権利を、それらが存続し、社会の発展とインドネシア共和国単一国家の原則と一致する限り、承認し尊重し、法律により定めるものとする。」
歴代の政府はこの問題の解決を約束してきた。先住民の権利に関する法案は2014年以来、毎年、国家の優先立法としてリストされてきたが、可決されなかった。
この法案が可決されれば、慣習地の承認が容易になり、先住民の文化が保護される可能性がある。
2013年、インドネシア憲法裁判所は、先住民が慣習地に対する権利を有することを確認した。AMANはそれ以来、この判決を前例として引用し、先住民族の権利に関する法案を制定するよう議員らに働きかけてきた。昨年8月、AMANは議員らに宛てた公式書簡で議会に圧力をかけようとした。
3カ月経っても回答がなかったため、AMANは訴訟手続きを開始した。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/04/activists-file-last-gasp-suit-as-indonesia-fails-again-to-pass-indigenous-bill/

【日本は今!】
●2024.6.27 東奥日報:樹齢千年「竜灯杉」、クローン技術で歴史つなぐ 研究機関が苗木育成、「里帰り」果たす 青森・深浦町青森県深浦町にある推定樹齢約千年の巨木で町指定天然記念物の「円覚寺(えんがくじ)の竜灯杉(りゅうとうすぎ)」
枯損の恐れがあったが、国立研究開発法人森林研究・整備機構「森林総合研究所林木育種センター東北育種場」(岩手県滝沢市)が枝先を採取し、接ぎ木で苗木を増殖させることに成功した。
竜灯杉は、坂上田村麻呂が807年に創建したと伝えられる同寺境内にあり、江戸時代の北前船の船乗りや地元の漁師たちから、竜神が宿り、船乗りを助けてくれる神木としてあつい信仰の対象となってきた。
町教育委員会は2020年、幹に穴が開き、枯損の恐れがあることから、同育種場に巨木・名木の遺伝子を受け継ぐ後継樹の育成事業「林木遺伝子銀行110番」の利用を申請。同育種場は同年3月、竜灯杉から穂木となる枝先を採取して同育種場の台木に接ぎ木し、竜灯杉の遺伝子を受け継ぐ「クローン苗木」8本の育成に成功した
詳しくはこちら
https://nordot.app/1178900793823019963?c=388701204576175201

●2024.6.26 宮崎日日新聞:宮崎県再造林推進条例が成立 全国で初、来月施行へ
循環型林業の実現に向け、事業者や森林所有者らの役割を定めた県再造林推進条例が25日、6月定例県議会本会議で全会一致で可決、成立した。都道府県では全国初の条例となる。7月中の公布・施行を予定。
詳しくはこちら
https://www.the-miyanichi.co.jp/kennai/_78470.html

●2024.6.19 Yahoo!News:バイオマス発電所の建設巡り…名誉棄損で提訴された真庭市 請求額が過大で違法な訴訟として事業者を提訴へ 岡山
岡山県真庭市に7100kWバイオマス発電所の建設を計画している滋賀県の民間事業者が、市長らの発言で名誉を傷つけられたとして9900万円の損害賠償を求める裁判を起こしている。
これに対し、真庭市は、訴えには法的根拠がなく請求額が過大で違法だとして330万円を事業者に求める訴訟をおこした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4c742ed2da17f24ce837ada6b3d17ed6866b603d

●2024.6.16 日本経済新聞:鹿島、ドローンで森林計測30倍速 仮想空間使い保全支援
鹿島は6月中にも、自治体や企業に向けて森林保全を支援するサービスを始める。自律飛行ドローンで森林生態系を調べる。
従来の30倍の速さで計測できる。省人化技術を林業や防災に役立てるほか、生態系の回復に力を入れる企業の需要を取り込む。
ドローンは検知した樹木を避けながら自動飛行できる。
詳しくはこちら(一部有料記事)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC300RE0Q4A530C2000000/?n_cid=BMTR2P001_202406161703

●2024.6.13 福島民友:会社役員男、違法伐採か 西郷盛り土、中止命令従わず村が告発
西郷村の林に無許可で盛り土が造成された事件で、森林法違反(無許可開発、中止命令違反)の疑いで白河署に逮捕された会社役員の男(59)=茨城県つくば市=が、逮捕容疑となった昨年12月より前にも同じ林で違法伐採したなどとして、森林法違反の疑いで村に告発されていたことが12日、関係者への取材で分かった。
関係者によると、2022年9月、住民からの通報で男が所有する同村の林に盛り土が確認された。その後、必要な届け出がなく、中止命令に従わなかったため村が告発した。
県警は任意で捜査を進め、長嶺容疑者が違法伐採を行い、村の中止命令に従わなかったとして、森林法違反の疑いで書類送検したという。福島地検は起訴猶予処分にしたとみられる。
詳しくはこちら
https://www.minyu-net.com/news/news/FM20240613-863921.php

●2024.6.12 朝日新聞SDGs ACTION!:ソーラーシェアリング経営8年の小田原かなごてファーム 安定のカギと「前例なき挑戦」
畑や田んぼで農作物を育てながら、同じ土地で発電もするソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)は、平地の少ない日本で再生可能エネルギーを拡大するための「突破口」の一つとして注目されています。
元々は地域の活性化を目指し、耕作放棄地を利用して地元・小田原の名産品であるミカンを栽培する活動に取り組んでいた小山田社長
全国的に再生可能エネルギー導入の機運が高まるなか、2016年に勤めていた郵便局を退職して小田原かなごてファームを設立。
市内にある約100坪の耕作放棄地を利用して最初のソーラーシェアリング(1号機。設備容量15.12kW)を建設しました。
小山田社長は現在の経営状況についてこう語ります。
「収穫したミカンを加工したジュースの売上など農作物からの収入約500万円と合わせると、年間1000万円以上になります。
会社は私一人で運営しているので、融資の返済分を差し引いても家族で生活していくのに十分な収入は確保できています。」
作物の成長速度や収穫量は、小山田社長の観測では太陽光パネルの下でも通常の農地と差はないといいます。それどころか、猛暑が続いたことで全国各地の果樹などに被害が出た昨年は、思わぬ発見があったそうです。
「周辺の山地の斜面にもミカンの苗木を植えていたのですが、昨年の猛暑でそれらはほぼ枯れてしまいました。ところが、ソーラーシェアリングの下の苗木だけは枯れなかったんです。このまま気候変動が激化して猛暑が続くようになってくると、作物に適度な日陰を提供できるソーラーシェアリングの利点に注目が集まるかもしれません」
FITにより太陽光発電の導入が急速に進んだ今、日本ではメガソーラー(大規模太陽光発電)建設のための森林伐採や景観への悪影響に対して地域住民から反対運動が起きるなど、様々な軋轢(あつれき)が生じるようになっています。小山田社長は、ソーラーシェアリングがこうした問題の一つの解決策になると訴えます。
詳しくはこちら
https://www.asahi.com/sdgs/article/15294179

●2024.6.9 TSKさんいん中央テレビ:森林保全の“成長株”に期待!「桐」の早生樹 スギの5倍のCO2吸収力でグングン生育 (島根・雲南市)
在来の「桐」に比べ成長が早い「早生桐」の試験栽培の見学会が6月3日に雲南市で開かれ、県や島根大学、森林組合などの関係者が生育状況などを確認しました。
早生桐は、在来の桐に比べ成長が早く、杉やヒノキなどの針葉樹と比べると約10倍の早さで、4年ほどで幹回り1メートル、高さ13メートルにまで成長します。また伐採した後も切り株や根から新しい芽が育ち、大きく成長するということです。
この栽培地には、2023年に880本の苗が植えられ、高さ24センチ、幹の太さが1センチだった苗は、約1年で高さ3.3メートル、太さ5センチほどに成長しました。
早生桐は成長力が高いだけでなく、二酸化炭素の吸収能力もスギの約5倍と優れていて、地球温暖化対策にも役立つと見込まれています。
詳しくはこちら
https://www.fnn.jp/articles/-/711566

【中国情報】
●2024.06.07 木頭雲:ロシアの違法伐採量が7%減少
ロシアのRosleInforgaが発表した2024年1月~5月の森林状況の遠隔モニタリングに関する最新の報告書によると、2024年1月から5月にかけて、ロシアの違法伐採事案件数及び木材量は昨年同期に比べ大幅に減少し、違法伐採防止策による効果が顕著であることが明らかになった。
それは、モニタリング技術の向上や法施行力の強化、遠隔モニタリング対象区域の拡大の結果であり、違法行為の迅速な発見と阻止に貢献するものである。
報告書によると、12の地域で87の違法伐採事案が見つかったが、昨年同期に比べると事案件数は27%、違法伐採された木材量も7%減少した。
今年のRosleInforgaの遠隔モニタリングでは初めて密集した商業伐採実施地域すべてを対象とし、その総面積は3億ヘクタールに達したという。そのうち4分の1の土地では現在も引き続きモニタリングされており、違法伐採行為の迅速な発見と阻止のために役立っている。
原文はこちら(中国語)
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1801184031454723087&wfr=spider&for=pc

●2024.06.21 木材網:中国のオーストラリアからの木材輸入量が10倍に
オーストラリア森林製品協会とオーストラリア建築家協会の統計によると、オーストラリア国内の木材販売量は減少し、すでにピークから50数万立方メートル減少しているという。
一方、中国海関総署の統計によると、2024年1-4月のオーストラリアの中国向け原木輸出量は25万立法メートルに上り、2023年の年間輸入量に比べ、10倍増加しているという。
原文はこちら(中国語)
https://www.chinatimber.org/news/detail.html?id=82421
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☆第81回フェアウッド研究部会
「林業の未来を考える(3)~ITの力で健全な木材流通の実現を目指す」
講師:浅野純平/株式会社森未来(シンミライ)代表取締役
2024年7月30日(火)18:00~19:30@ハイブリッ
(会場:地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)東京都渋谷区神宮前 5-53-70 国連大学ビル 1F)
https://fairwood.jp/event/240730/ (近日中に公開予定)
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☆『Wiser with Wood 賢い木材の使い方』改定EU再エネ指令(REDIII)ガイドの日本語版を公開─バイオマスによる森林破壊を防ぐために活用を
https://foejapan.org/issue/20240517/17596/
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森林や人権に取り組む欧州のNGO Fernと気候や環境に取り組む法律家グループClientEarthは、2023年11月、『Wiser with Wood 賢い木材の使い方 森林、気候、公衆衛生および他の木材利用産業をより適切に保護するためのEU再生可能エネルギー指令改定版(RED III)国内法化ガイド」と題するレポートを発表しました。
本レポートは、改正EU再生可能エネルギー指令(Renewable Energy Directive、2023年11月発効、以下EU-REDIII)のバイオマス関連部分の規定を解説し、国内法への反映にあたっての提言を行ったものです。
国際環境NGO FoE Japanは、両団体のご了解を得て、本レポートの日本語訳版を作成しました。バイオマス燃料拡大による森林破壊を防ぐたに、本レポートをご活用いただければ幸いです。

■レポートのダウンロードはこちらから
https://foejapan.org/issue/20240517/17596/
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☆フェアウッド・パートナーズウェブサイトをリニューアルしました!
https://fairwood.jp/
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国際環境NGO FoE Japanと地球・人間環境フォーラムが運営するフェアウッド・パートナーズのウェブサイトがリニューアルし、見やすくなりました。ぜひ、ご覧ください。https://fairwood.jp/
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☆動画「ホント?ウソ? バイオマスはカーボンニュートラル?」を公開!
https://www.youtube.com/watch?v=3zsA48bGmUQ
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国際環境NGO FoE Japanでは、バイオマス発電を問う動画を作成しました。
バイオマス発電は、カーボンニュートラルと言われますが、本当でしょうか?
森林は、樹木、地上に落ちた枝や葉、土の中にたくさんの炭素を蓄えています。特に、長い年月をかけて形成された天然林や、湿地や泥炭地に生えている森林は、地上部だけではなくて、地下にも大量の炭素を蓄えているのです。伐採して森林がなくなってしまうと、蓄えられていた炭素は、やがてCO2の形で空気中に排出されます。森林が元通りになれば、伐採のあと、放出されたCO2は、森林が回復する過程で吸収され、再び固定されます。しかし、それまでの間、大気中のCO2は伐採された森林の分だけ「増えている」状態が続いているのです。
森林がもとの状態に戻るとは限りません。この場合、森林に蓄えられた炭素は、CO2として大気中に放出されたままです。
こうした状況をわかりやすい6分ほどの動画にまとめました。ぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=3zsA48bGmUQ
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☆パーム油のワークショップ教材ができました!
「パーム油のはなし」2/『知る・考える・やってみる!熱帯林とわたしたち』
https://plantation-watch.org/palmtextbook/
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地球・人間環境フォーラムもメンバーであるプランテーション・ウォッチと、開発教育協会(DEAR)が共同でワークショップ教材を制作しました。
シンプルで使いやすい10の授業案(アクティビティ)と専門家による11つのコラムを収録しています。今年の新聞記事を使いながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と熱帯林のつながりを考える授業案も収録しています。
森林減少、生物多様性、気候変動、そして、消費に焦点を当て、「持続可能な社会」と「アクション(行動)」を学ぶことができます。知って、考えて、動き出す。世界にはパーム油以外にもたくさんの問題がありますが、私たちが動くことで状況を変えていけるはず
概要
・編集・発行:開発教育協会、プランテーション・ウォッチ
・2020年7月、A4版48ページ
・ダウンロード資料:写真9枚(A4カラー)
・一般価格:本体¥2,000+税(図書館価格¥4,000+税
・対象:小学校高学年以上

▼お問合せ・ご購入申込
認定NPO法人 開発教育協会(DEAR)
Tel: 03-5844-3630 Fax: 03-3818-5940
〒112-0002 東京都文京区小石川2-17-41TCC2号館3階
http://www.dear.or.jp/books/book01/5190/
※本体価格のほか送料・手数料がかかります(1冊の場合税込550円~)

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フェアウッドカフェ ショッピングサイト
https://www.fairwood.jp/cafe/
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森や作り手の見える木製品がみつかるフェアウッドカフェのショッピングサイトが新しくなりました。
リニューアルに伴い、お買い物の際、カード決済、銀行振り込み、コンビニ決済がお選びいただけるようになりました。
何の木なのか、どこで育った木なのか、誰の手で生まれ変わったのか、ひとつひとつ物語や想いのつまった商品をご紹介していきます。フェアウッドカフェは、使ってくださるあなたや、あなたの大切な人にフェアウッドな暮らしを提案します。ぜひご利用ください。
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☆フェアウッド・パートナーズのWEBサイト
「クリーンウッド法に対応する木材DDのための実践情報」
https://www.fairwood.jp/consultation/howto_dd.html
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2017年5月20日施行された「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(通称「クリーンウッド法」)」に対応するのに望ましい木材DD(デューデリジェンス)を行うための実践的な情報をお届けします。
■合法性確認とデューデリジェンス
■合法性確認のための木材DDのステップ
■国別リスク情報
問合せ 「木の流れから、未来をつくる」フェアウッド・パートナーズ
Eメール:info@fairwood.jp
国際環境NGO FoE Japan(三柴、佐々木、TEL:03-6909-5983)
地球・人間環境フォーラム(坂本、飯沼、TEL:03-5825-9735)

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☆パーム油について知るためのWEBサイト紹介
『あぶない油の話』パーム油のことを知るサイト
http://plantation-watch.org/abunaiabura/

「パーム油調達ガイド」
http://palmoilguide.info
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プランテーション・ウォッチでは、パーム油の消費者向けと企業向けのウェブサイトを立ち上げています。
一般消費者向けには、『あぶない油の話』パーム油のことを知るサイトを通じて、パーム油が身の回りの多くの食品に多く含まれていること、そのパーム油の生産のためのプランテーション 開発が引き起こしている環境問題や社会問題について伝え、情報を発信しています。
パーム油を調達している企業向けには、パーム油の調達リスクに対処し、サプライチェーン管理を実践するための情報や手順をまとめた情報提供サイト「パーム油調達ガイド(http://palmoilguide.info)」があります。
是非、サイトをご覧いただき、ご活用ください。
『あぶない油の話』パーム油のことを知るサイト
http://plantation-watch.org/abunaiabura/
「パーム油調達ガイド」
http://palmoilguide.info
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☆森林と私たちの暮らしのつながりについて学ぶ教材
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世界の森林問題について学んでもらうための映像教材をフェアウッド・パートナーズが関わり作成しています。
社内や地域での環境・森林をテーマとした勉強会等の企画に活用ください!
■映像資料
「人と木」(無料)
http://www.gef.or.jp/activity/forest/hitotoki/
「木の来た道」(定価3,000円/図書館価格:12,000円)(税別・送付料込)
http://www.fairwood.jp/news/pr_ev/2009/pr090623_publish_woew.html
「森の慟哭」(詳細下記参照)
http://www.foejapan.org/forest/palm/dvd_01.html

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発 行 : フェアウッド・パートナーズ http://www.fairwood.jp
編 集 : 坂本 有希/三柴 淳一