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フェアウッド・マガジン 世界のニュース  第250号   2025年6月3日

--- フェアな木材を使おう ---     http://www.fairwood.jp
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世界の森林減少は一時期その減少率が下がっていましたが、この数年は再び減少速度が速まっているようです。特に熱帯林の減少は危機的な状況で気候変動による山火事のリスクもさらに高まってきています。
IUCNのレッドリスト更新では森林の破壊と劣化により菌類も絶滅の危機に瀕する種が増えてきていると報告されました。普段意識に上りにくい菌類ですが、生態系の中では大きな役割を担っています。森林、特に原生林や天然林を維持していくことが、目に見えず評価の難しい生物多様性や私たちの生活基盤を守っていくためには極めて重要です。
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【森林減少】
●2025.5.30 WOODCENTRAL:欠陥のあるEUDR格付けは森林破壊リスクよりも政治を優先
EUDRの国別分類リストで「低リスク」に分類されている国々においても、依然として汚職と違法な森林破壊が広範にみられ、サプライチェーンから森林破壊をなくすという欧州の公約を嘲笑する事態となっている。フォレスト・トレンズのシニア・アドバイザーであるマリーゴールド・ウォーキンス氏は、欧州委員会(EC)により先週発表された国別分類リストに関して述べた。このリストでは、森林破壊リスクに基づいて194カ国がランク付けされている。
ウッド・セントラルは火曜日、ロシア、ベラルーシ、ミャンマー、北朝鮮のわずか4カ国が高リスクに分類され、49カ国が標準リスク、そして大多数の141カ国が低リスクに分類されたことを明らかにした。
ウォーキンス氏によれば、コンゴやパプアニューギニアなど、ガバナンスの失敗が十分に裏付けられている国が、フィンランド、ノルウェー、米国と並んで「低リスク」に分類されており、「高リスク」カテゴリーに分類されている4カ国は、いずれも既にEU理事会から別の理由で制裁を受けている国だという。そのため、このカテゴリーは実際の森林破壊リスクよりも、外交上の理由によって作成されたのではないかとの懸念が生じているという。
注意:この記事は、フォレスト・トレンズの「EUDR国別ベンチマークの失敗:ガバナンス、合法性、迂回リスクはなぜ重要か」からの抜粋を使用している。https://www.forest-trends.org/blog/eudr-country-benchmarking-misses-the-mark-why-governance-legality-and-circumvention-risks-matter/
原文はこちら(英語)
https://woodcentral.com.au/flawed-eudr-ratings-prioritize-politics-over-deforestation-risks/?utm_campaign=null&utm_medium=null&utm_source=null

●2025.5.21 AFPBB:昨年の熱帯林消失面積、過去最大に 「赤信号」とシンクタンク警告
米シンクタンクのグローバル・フォレスト・ウォッチは21日に公表した報告書で、昨年、気候変動に起因する火災などの影響で、世界全体で6万7000平方キロの一次熱帯林が失われたと明らかにした。これはベルギーや台湾の面積の約2倍に相当し、1分あたりサッカー場18面分の森林が消失した計算になるという。
報告によれば、消失面積は前年より80パーセント増加した。
共同ディレクターのエリザベス・ゴールドマン氏は記者説明会で、「このレベルの森林破壊は、20年以上にわたるデータ収集の中でも前例がない」と指摘し、「世界的な緊急事態だ」と訴えた。
詳しくはこちら
https://www.afpbb.com/articles/-/3578878

●2025.5.15 CNN:シベリアで大規模な森林火災、北京や朝鮮半島に煙到達の見通し ロシア
ロシア極東のシベリア地域で大規模な森林火災が発生し、地元当局によると60万ヘクタール以上の範囲に延焼している。
ロシア国営タス通信によると、モンゴルと国境を隔てる東シベリアのザバイカリエ地方では、4月下旬から非常事態宣言が出されていた。ロシア緊急事態省の14日の発表によると、現場では懸命の消火活動が続けられているものの、今も62万9000ヘクタールを超す森林で49件の火災が続いている。
ロシア林業庁の13日の発表によれば、今年に入って140万ヘクタール以上の土地で山火事の被害が出ている。これは米国とカナダで今年に入って山火事が発生した総面積の3倍にあたる。
火災の煙は数百キロの範囲に広がっており、欧州連合(EU)の気象情報機関コペルニクス気候変動サービスの予想では、北京や朝鮮半島にまで煙が到達する見通し。
詳しくはこちら
https://www.cnn.co.jp/world/35232994.html

●2025.5.13 AP通信:乾燥気候と吹き荒れる強風 ロシア極東で大規模森林火災
ロシア非常事態省は5月12日、強風が吹き荒れる乾燥した気候の中、同国極東のザバイカリエ地方の48万5000ヘクタールを超える針葉樹林帯で、47カ所の森林火災が進行していると公表した。
森林火災はハバロフスク地方でも広がっている。 山林火災の原因はほとんどが人為的なもので、火の始末を怠ったり、枯れ草を燃やしたりすることで、火は森の奥へと燃え広がり、さらに強風と暖かく乾燥した天候が重なり、炎は急速に広がる。
詳しくはこちら
https://news.yahoo.co.jp/articles/90bb79413181228c67ec2aacfc40b81224a9588c

●2025.5.12 時事通信:コアラ1100匹を射殺 山火事で「安楽死」、手法に批判も―オーストラリア南東部
オーストラリア南東部のビクトリア州当局は3~4月に、山火事で生存が難しくなった野生のコアラ約1100匹をヘリコプターから射殺した。不要な苦痛を和らげるための「安楽死」だと主張している。これに対し、動物保護団体などは「残酷な手法」と批判し、適切だったかどうか調査を求めている。
同州当局によると、州内のコアラ生息数は約46万匹と推定されている。同州では絶滅危惧種に指定されていないが、この数十年間に森林伐採が進み、生育環境が厳しくなったと専門家らは指摘している。
詳しくはこちら
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025051200156&g=int

●2025.4.7 Mongabay:インドネシアの泥炭地は広範囲にわたる劣化により洪水リスクが高まっている
泥炭地監視団体パンタウ・ガンブットの新しい報告書によると、インドネシアの泥炭地のほぼ半分は、野放図な開発による劣化で洪水の危険にさらされており、ベルギーの2倍の面積にあたる600万ヘクタールが極めて脆弱であると分類されている。
泥炭地は、一度劣化すると、効果的に水分を保持する能力を失う。不可逆的乾燥として知られるこの現象は、溜まった水を制御不能にし、洪水を引き起こす。
同団体の地理情報システム研究者であるジュマ・マウラナ氏によると、一度劣化した泥炭地を元の状態に戻すには、数十年、あるいは数世紀もかかる可能性があるという。
また、同団体は、インドネシア政府が泥炭地の劣化を主に火災と結びつけており、排水と地盤沈下が同様に破壊的であるという事実を見落としていると指摘している。その結果、泥炭地の水文学的崩壊への対処よりも火災予防のための政策に重点が置かれ、洪水リスクが軽減されないままになっているという。
このほか、EUDRにおける森林破壊の定義は水文学的生態系の破壊ではなく、樹冠被覆の減少に焦点を当てた国連食糧農業機関(FAO)のモデルに準拠している。その結果、泥炭地の排水、地盤沈下、洪水といった重大な生態系の劣化形態が、EUDRの評価において明確に考慮されていない。この抜け穴により、企業は深刻な環境被害を引き起こしているにもかかわらず、EUへの輸出を続けながら、プランテーションのために泥炭地を排水することが可能になっていると、同団体は述べている。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2025/04/indonesias-peatlands-face-growing-flood-risks-amid-widespread-degradation/

●2025.4.7 AFPBB:韓国・死者30人“最悪の山火事”…予報機能なき「山火事拡散予測システム」の限界が浮き彫りに
韓国慶尚北道義城で3月22日に発生した大規模な山火事は、わずか3日間で清松、英陽、盈徳へと急速に拡大し、死者30人、負傷者45人、計75人の死傷者を出す壊滅的な被害となった。背景には、最大瞬間風速が台風並み(秒速25メートル超)に達した強風があり、火勢を抑えることは困難だった。
ただ、山火事の進行方向や拡大時間を事前に予測できていれば、少なくとも人命被害は軽減できたのではないかという指摘が出ている。
森林庁は全国495カ所に山岳気象観測網を設置し、リアルタイムで気温・湿度・風速・風向・降水量などを1分単位で収集している。ただこのネットワークには「予報」機能が存在しない。つまり現場の瞬間風速などは把握できても、今後の風の流れや速度の変化を事前に予測することは難しいのが実情だ。
詳しくはこちら
https://www.afpbb.com/articles/-/3571665?cx_part=search

●2025.4.2 Mongabay:IUCNレッドリスト掲載の菌類の約3分の1が絶滅の危機に瀕している
国際自然保護連合(IUCN)は最近、レッドリストを更新し、新たに482種の菌類を追加、菌類の総数は約1,300種となった。評価された種のうち400種以上が絶滅の危機に瀕しており、主に農業拡大、森林破壊、気候変動による脅威にさらされている。
森林破壊と劣化により、絶滅の危機に瀕している菌類は約200種となっている。原生林は菌類、特に植物の根と共生関係にある菌類、あるいは菌根菌類に持続的な生存の場を提供している。「原生林の環境において、菌類は最も高い適応力を発揮する。そのため伐採や開発を行う際には、少なくとも一部の原生林はそのまま残すべきだ。」とスウェーデン農業科学大学の菌類学教授でIUCNの評価コーディネーターを務めるダールバーグ氏は述べている。
菌類の減少を危惧する多くの実用的な理由に加え、ダールバーグ氏は、菌類の多様性を維持することには道徳的、倫理的な理由もあると述べた。「小さなものにも、大きく強いものと同じように生きる権利がある」と彼は言っている。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/short-article/2025/04/nearly-one-third-of-fungi-on-iucn-red-list-are-threatened-with-extinction/

【バイオマス】
●2025.6.2 オルタナ:ペレット対日輸出急増のインドネシア、熱帯林1000万ヘクタール危機に
発電用木質バイオマスの供給国として、存在感を増しているのがインドネシアだ。同国の木質ペレットの対日輸出量は、4年間で8倍以上に増えた。さらに、インドネシア政府は自国内の石炭火力のバイオマス混焼を進めようとしている。現地NGOはこれらの需要増によって、約1000万ヘクタールの熱帯林が伐採の危機にあると警鐘を鳴らす。日本は経済協力や技術支援を通してペレットの利用拡大を後押ししており、環境破壊に関与する責任は重い。
2024年の輸入先内訳を見るとインドネシアは5%程度(31万5000トン)に過ぎないが、輸入量は21年からの4年間で8倍以上に増えた。
ペレットはトレーサビリティなどの持続可能性を担保する仕組みが十分に確立されておらず、生産のために森林破壊を引き起こす。すでにカナダでは原生林伐採による生態系破壊や森林火災が顕在化しているが、同じ問題がインドネシアでも起きている。
詳しくはこちら
https://x.gd/TxXSf

●2025.5.24 山陰中央新報ニュース:米子バイオマス撤退検討 出資会社 安全対策、燃料費高騰で
2023年9月に爆発を伴う火災が発生し、運転を停止している米子バイオマス発電所(米子市大篠津町)を巡り、運営会社に出資する5社が発電所の撤退を検討していることが23日、分かった。安全対策の工事費用や燃料費高騰で採算性が見通せないことが背景にある。
運営会社の米子バイオマス発電合同会社に出資する中部電力(名古屋市)によると、火災対策の技術的課題は解決しているものの、周辺住民から苦情が出ている騒音対策を含めた工事費や設備の復旧費、木質ペレットなどの燃料費高騰で事業の見通しが立っていないという。
立地する大篠津地区の岡田隆自治連合会会長(68)は「住宅地に隣接するバイオマス発電所は国内には少ない。なぜここに建設したのか疑問だ。撤退すれば地元の人は喜ぶ」と話した。
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/786441

●2025.4.23 電気新聞:木質バイオ向け防火指針、年度内に/火原協が分科会設置
木質バイオマス発電設備の安全対策を強化するため、火力原子力発電技術協会(会長=高西一光・関西電力執行役常務)は防火、防爆の指針作成に乗り出す。FIT(固定価格買取制度)導入によりバイオマス発電が拡大したものの安全対策の知見が現場に広まっておらず、火災事故が頻発している現状を踏まえ対応する。指針では災害事例や火災・爆発のメカニズム、新技術を用いた安全対策を明示する。2025年度内にまとめる計画だ。
詳しくはこちら
https://x.gd/qP0ZM

●2025.3.6 Mongabay:森林バイオマスの成長は2030年まで拡大し、熱帯林に影響を与える
国際的な森林保護団体である環境ペーパーネットワーク(EPN)のバイオマス行動ネットワークによって作成された報告書「地球の生物を焼き尽くす(Burning Up the Biosphere)」によると、森林バイオマス産業(森林を伐採して木質ペレットを製造し、発電所で燃焼させる産業)は、2030年まで急成長を続けるという。その頃には、米国、カナダ、EU、ロシアで製造されるペレットは年間3,100万トンを超え、熱帯諸国で生産されるペレットの年間生産量は1,100万トン以上に急増する可能性がある。
また、英国とEUは、2030年までに年間1,800万トン以上という膨大な量のペレットを燃焼し続けると予測されている。アジアでは、台湾が市場に参入し、日本と韓国がペレットの使用を拡大することで、さらに多く(2,700万トン)のペレットを燃焼するとみられる。
活動家らが皮肉とみている動きだが、国際エネルギー機関(IEA)は2050年までに世界全体でCO2排出ネットゼロを達成するという予測では、木質ペレットの燃焼で発生するCO2排出量を計算に入れていない。これは、明らかな炭素会計の誤りであるが、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)により承認され、 2030年までに石炭の燃焼を停止するという法的義務を必死に守ろうとする欧州やアジアの国々の政策に採用されている。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2025/03/forest-biomass-growth-to-soar-through-2030-impacting-tropical-forests/

【違法伐採問題】
●2025.5.13 malaysiakini:違法伐採:FSCの調査結果は決定的ではないとサムリンは説明
世界的な認証機関は、サラワク州における違法伐採と保護価値の高い(HCV)森林の破壊を認定していない、とサムリン社は述べた。サムリン社によると、森林管理協議会(FSC)が発表した調査結果は決定的なものではなく、同社による違反の可能性を発見したに過ぎないと述べている。
(サムリン社によると)FSCの意思決定パネルは、衛星画像と地理情報システム(GIS)分析により、懸念される地域が特定されたことは認めたが、これらの調査結果は、サムリン社の違法行為を断定するには不十分であると結論づけ、同パネルは違反の規模と影響を評価するため、独立した評価によるさらなる調査を勧告している、としている。
原文はこちら(英語)
https://www.malaysiakini.com/news/743125

【森林保全】
●2025.3.11 Mongabay:「生態学的共感」は、人間が自然と再びつながり、より良い世界を形作るためにどう役立つか(ポッドキャスト)
人間がシステムを設計する際、「人間以外の世界」が必要としているものを考慮するための有用な枠組みが「生態学的共感(ecological empathy)」である。サステナビリティコンサルティング会社、Future Nowの創設者であるローレン・ランバート氏は、これを重視している。
ランバート氏のフレームワークと現実世界への応用には、前例がないわけではない。道路上の野生動物横断歩道は、生態学的共感に基づき、他者を理解し、そのニーズに配慮して人間のインフラを設計した例である。
ランバート氏は、生態学的共感の概念が太古の昔から先住民族社会に存在していたと考えている。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/podcast/2025/03/how-ecological-empathy-can-help-humans-reconnect-with-nature-and-shape-a-better-world/

●2025.3.7 Mongabay:15年間のREDD+政策研究から何を学んだのか?(分析)
この分析は、国際林業研究センター(CIFOR)が10年以上にわたって主導したREDD+の比較研究に基づき、REDD+に関与する多様なアクターの間に大きな力関係の差があることを明らかにしている。著者らは、これらのグループ間の力関係の不均衡が、熱帯地域において「保全等の特段の対策をしない場合に生じる」森林破壊からの脱却に向けた進展を阻害していると主張している。
REDD+は、インドネシア、ベトナムなどの国でいくつかの重要な政策改革につながっている。たとえばインドネシアでは、2007年以来REDD+に取り組んできた結果、ワンマップ政策(一つの地図政策:各省庁が空間データを共有)に支えられた森林地帯でのプランテーション拡大のモラトリアム、国家政策による伝統的な土地権利の承認、気候変動総局の設立、MRV(測定・報告・検証)システムの改善を含むREDD+実施の規制、多様なガバナンスシステムにおける調整の強化につながっている。
しかし、そうした改革は森林の保全に目に見える効果や持続的な効果をほとんどもたらしておらず、また、先住民族や地域コミュニティの懸念が認識されたにもかかわらず、森林や土地に対する権利の移転には至っていない。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2025/03/what-have-we-learned-from-15-years-of-redd-policy-research-analysis/

●2025.3.5 Mongabay:COP16生物多様性サミット、ローマにおいて資金調達の道筋を承認。だが大きな障害が迫る
2025年2月にローマで開催された生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)の再開会合において、2030年までに年間2,000億ドルを調達するための包括的な恒久計画が策定された。資金は、国、慈善団体、銀行、企業から提供される可能性がある。
しかし一方で、二大国が財政目標に打撃を与えた。米国は、USAIDによる海外での環境保全への財政支援を放棄し、英国は気候変動と生物多様性への対外援助の優先順位を軍事費へと転換すると発表した。
また、2030年までの23の世界目標のうちのターゲット18(有害補助金の特定・見直し)から、2025年という期限が削除された。環境志向の企業および組織の国際連携組織であるビジネス・フォー・ネイチャーによれば、世界的にみると化石燃料業界は少なくとも年間6,400億ドルの補助金を、工業型農業は5,200億ドル、林業(森林バイオマス生産および木質ペレットの燃焼の支援を含む)は1,550億ドルの補助金を受け取っている。
各国は、環境に最も大きな損害を与えている産業への支援を削減する意思も能力もないことが明らかになった。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2025/03/cop16-biodiversity-summit-in-rome-oks-finance-pathway-big-obstacles-loom/

●2025.3.10 Reuters:新石器時代からヒトと生きるスペインの野生馬たち、森林火災抑制にも貢献
スペイン北西部、ガリシア州バーロ村の北にある森では、夏になると毎年のように森林火災が発生していた。だが、ルチア・ペレスさん(37)が野生馬の世話を始めて以来、ほぼ起きなくなった。
「私たちがここに来るようになった2019年以来、1年目の年に小さな火事があっただけで、その後は全く起きていない」とルチアさんは言う。馬たちが木々の間の下草を食べることで、発火や延焼を防いでいるというのだ。
ガリシア州北西部の脆弱な生態系を保護する上で、野生馬は複数の役割を担っており、火災の予防もその1つだと科学者らは言う。だが、この欧州最大の野生馬の群れは、1970年代には2万2000頭が山々や森林、荒れ地を歩き回っていたが、いまではその半分以下に減ってしまった。
バーロ村から南西に80キロメートルの、セラ・ダ・グロバの荒れ地では、野生馬たちがハリエニシダの黄色い花を食んでいる。この植物は特に燃えやすいため、ア・コルーニャ大学の研究者ローラ・ラゴス氏によれば、野生馬に食べてもらうのが「選択的除草」になるという。
ガリシア地方では、気候変動により乾燥と気温上昇が進んでおり、原野火災の頻度が上がっている。グローバル・フォレスト・ウォッチによると、同州では2001―23年の間に9万6900ヘクタールの森林が火災で失われた。
詳しくはこちら
https://www.reuters.com/graphics/SPECIAL-REPORT/SPAIN-WILDHORSES/egpbljwwopq/

【パーム油問題】
●2025.5.14 DayakDaily:ベラガ川上流のプナン、ケニャのコミュニティが違法開墾でプランテーション会社を告発
ベラガ川上流の先住民族、プナン族とケニア族のコミュニティが、プランテーション会社に対し、マレーシア持続可能なパーム油(MSPO)基準に違反したとして正式な苦情を申し立てた。
セーブ・リバーズ・ネットワークは本日の声明で、詳細な証拠に裏付けられたこの苦情は、土地の権利侵害、自由意思による事前の十分な情報に基づく同意(FPIC)の欠如、および同社のアブラヤシ事業に関連する環境悪化について深刻な懸念を引き起こしていると主張した。
訴状によれば一部の村の指導者はプロジェクトへの支持を表明しているものの、影響を受ける15村のうち9村の住民の大多数が農園の拡張に強く反対していると主張している。住民たちは、彼らの慣習地を同プランテーション会社の植林地から除外するよう求め、道路を封鎖(ブロッケード)した。しかし住民たちは、それらのブロッケードは警察の支援を受けて撤去され、数人が逮捕されたと主張している。
原文はこちら(英語)
https://dayakdaily.com/upper-belagas-penan-kenyah-communities-accuse-plantation-firm-of-illegal-land-clearing/

●2025.3.21 Mongabay:「持続可能な」パーム油企業は、許可取り消しにもかかわらず、泥炭地での違法伐採を継続
地元の環境NGO、パンタウ・ガンブットとカオエム・テラパックの新たな報告書は、中部カリマンタン州で操業するアグリンド・グリーン・レスタリ(AGL)、シトラ・アグロ・アバディ(CAA)、バングン・チプタ・ミトラ・ペルカサ(BCMP)の3社の調査で、3社すべてが泥炭地の違法な転用、森林破壊、繰り返される火災に関与していることを明らかにした。
3社のうち2社、AGLとCAAは、中部カリマンタン州に12万ヘクタールの土地を保有する非上場プランテーション会社、シリアンドリ・アンキ・アバディの子会社である。シリアンドリ・アンキ・アバディは、2023年にインドネシアで最大の森林伐採を行うパーム油会社として認定されている。
AGLとCAAのコンセッションは、プランピサウ地区の、合わせて18,224ヘクタールをカバーしており、保護された泥炭地および保護価値の高い(HCV)地域と重複している。2015年から2023年までの衛星画像から、CAAのコンセッション内にある保護された泥炭地のほとんどがアブラヤシ農園に転換されていることが分かった。
こうした違反にもかかわらず、AGLとCAAは、企業に自然林と泥炭地の保護を求めている、インドネシアの持続可能なパーム油(ISPO)の認証を取得している。
また、AGLとCAAは2022年に環境林業省によって森林伐採許可を取り消されていた。しかし、同省が取り消しを執行したかどうかは依然として不明である。
報告書は、伐採許可違反にもかかわらず操業を続ける企業の永久閉鎖を含む、より厳格な法執行や、高リスクの泥炭地での経済活動を禁止する「立ち入り禁止区域」政策の確立を政府に求めている。さらに報告書は、ISPO認証制度についても改革し、保護泥炭地へのアブラヤシ栽培の拡大を明確に禁止し、違反者にはより厳しい罰則を科すべきだと指摘している。そして、欧州連合(EU)は森林破壊規則(EUDR)を泥炭地にも対象を拡大すべきだとしている。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2025/03/sustainable-palm-oil-firms-continue-illegal-peatland-clearing-despite-permit-revocation/

●2025.3.6 Mongabay:インドネシアの裁判所、アブラヤシ農園の拡大を阻止、しかし先住民の土地の権利は宙に浮いたまま
インドネシアの最高裁判所は、2024年12月2日の判決で、パプア州のタナメラ・アブラヤシ・プロジェクトの一部である2つのプランテーション会社、メガカリヤ・ジャヤ・ラヤ(MJR)社とカルティカ・チプタ・プラタマ(KCP)社が起こした訴訟を却下した。この判決により、2社のコンセッションにおける65,415ヘクタールの熱帯雨林(ジャカルタの面積に相当)が伐採から守られることになる。
タナメラ・プロジェクトは7つのコンセッションに分かれており、南パプア州の28万ヘクタールの広大な原生林(ニューヨーク市のほぼ2倍の面積)のなかにある。これらの森林地帯では、アウユ族を含む多くの先住民族が生計を立てている。全面的に開発されれば、インドネシアにおいて、最大の単一パーム農園となる。
タナメラ・プロジェクトのもと、MJRとKCPのコンセッションを含む、いくつかのコンセッションでの開発が始まっている。
MJRとKCPは、プランテーション造成のために8,828ヘクタールの熱帯林を伐採したが、そこでの生産の痕跡はほとんど見られなかったことから、環境林業省は2022年に両社の森林伐採権を取り消し、残りの65,415ヘクタールの熱帯林を保護するよう命じていた。両社は、環境林業省を提訴、ジャカルタ高等行政裁判所(PTTUN)に上訴して、2024年2月に彼らに有利な判決が下されていた。
その結果を受けて環境林業省とアウユ族は、最高裁判所に上訴していた。2024年12月、最高裁判所はPTTUNの判決を覆し、森林利用を規制する環境林業省の権限を支持、企業がアブラヤシ農園造成のためにこれ以上の森林伐採を行うことを禁止じたのである。
この判決により、さらなる伐採は阻止されるものの、アウユ族に土地の権利が付与されることはなく、将来的に強制移住させられる危険性が残っている。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2025/03/indonesian-court-blocks-palm-oil-expansion-but-leaves-indigenous-land-rights-in-limbo/

【コミュニティ】
●2025.5.5 ビジネス&人権リソースセンター:活動家と地域コミュニティ、日本の銀行3行を含む金融機関に、土地収奪や環境汚染が疑われるJSWスチールの石炭事業への融資をやめるよう要請(インド)
インド・オディシャ州で、インドの鉄鋼大手のJSWスチールが大規模な製鉄所と石炭火力発電所の建設事業を計画している。
この事業への融資をめぐり、「アンチ・ジンダル・アンチ・ポスコ運動(JPPSS)」のコミュニティメンバーは三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)と、オーストラリアのANZ銀行の4金融機関に人権侵害について申し立てを行った。
金融機関の環境・配慮行動をウォッチする国際NGOネットワークのBankTrackは、これらの金融機関に直接問い合わせ、その後正式な申し立ての作成と提出を支援した。
提出書類によると、JSWスチールのディンキア・プロジェクトは、主に森林地帯である2,600エーカー以上の土地を、自由意思による事前の十分な情報に基づく同意なしに強制的に移転させ、警察による取り締まりと、平和的な抗議活動や人権擁護活動の犯罪化を助長し、インドの総合環境汚染指数(CEPI)で既に「深刻な汚染」と評価されている地域で、汚染を深刻化させる恐れがあるとのことだ。
詳しくはこちら
https://x.gd/wMFxd

●2025.5.4 ヒューマン・ライツ・ウォッチ:マレーシア:人権侵害と森林破壊にまみれた木材製品 政府と輸入業者は、サラワク州先住民族の権利を保護すべき
ヒューマン・ライツ・ウォッチが本日発表した報告書『ブルドーザーに立ち向かう:マレーシア・サラワク州で木材産業に抵抗するイバン先住民族』は、木材コングロマリット「シン・ヤン・グループ」(Shin Yang Group)傘下のマレーシア企業 Zedtee社 が、イバン族のコミュニティ「ルマ・ジェフリー(Rumah Jeffery)」の先祖伝来地を、同意なしに伐採した詳しい経緯を明らかにしたものだ。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、Zedtee社 の行為はサラワク州の法律や政策のほか、マレーシア木材認証制度(MTCS)が定める条件を満たしていないことを明らかにした。しかし、サラワク州政府は、Zedtee社に責任追及を行うのではなく、抗議者を逮捕し、ルマ・ジェフリーの村を破壊すると脅迫した。
サラワク州森林局がこのコミュニティを退去させることがあれば、国際的な人権の規範がマレーシアに禁じる強制立ち退きにあたると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。
サラワクの木材の主要輸入国であるフランス、オランダ、日本、米国は、木材製品の取引を規制する既存の法律を厳格に執行すべきだ。具体的には、EU木材規則、EU森林破壊フリー製品規則(EUDR)、日本のクリーンウッド法、および米国の2008年改正レイシー法だ。
詳しくはこちら
https://www.hrw.org/ja/news/2025/05/04/malaysia-wood-products-tainted-abuse-deforestation

【日本は今!】
●2025.6.2 日本経済新聞:四国電力などのバイオマス発電所が稼働 香川県で17万世帯分供給
四国電力や東京ガスなど6社は2日、香川県坂出市に建設していたバイオマス発電所が営業運転を始めたと発表した。東南アジアから調達する年約32万トンの木質ペレットで発電する。年間発電量は一般家庭約17万世帯分に当たる約5億3千万キロワット時で、二酸化炭素(CO2)の排出量を年約22万トン削減する。
四国電力、安藤ハザマ、東京ガス、イーレックス、新光電装(香川県丸亀市)、坂出郵船組(同坂出市)の6社は共同出資した「坂出バイオマスパワー合同会社」を通じて、「坂出バイオマス発電所」を運営する。出資比率は四国電力が36%、安藤ハザマが20%、東京ガスが15%、イーレックスが14%、新光電装が10%、坂出郵船組が5%。発電出力は7万4950キロワット。
2022年11月に着工し、約2年半かけて運転開始した。当面は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)に基づき、四国電力の送配電子会社に1キロワット時当たり24円で売電する。
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https://x.gd/JtU6x

●2025.5.26 埼玉新聞:豊かな森林を未来へ 埼玉で植樹祭 天皇陛下が苗木をお手植え
第75回全国植樹祭が25日、秩父ミューズパーク(秩父市、小鹿野町)で開かれた。天皇陛下をはじめ全国から4558人が参加し、「人・森・川 つなげ未来へ 彩の国」をテーマに、健全で豊かな森林を未来へ引き継いでいくことを誓い合った。県内での開催は1959年に寄居町金尾山で行われた第10回以来66年ぶり。
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https://www.saitama-np.co.jp/articles/139858/postDetail

●2025.5.24 佐賀新聞:バイオマス発電所、完成祝う ヤシ殻燃料で8万世帯分 伊万里市黒川町 関係者が事業の安全祈願
伊万里市黒川町の七ツ島地区にある「佐賀伊万里バイオマス発電所」の竣工式が23日に開かれ、関係者約120人が施設の完成を祝い、事業の安全を祈願した。発電所は4月から営業運転を始めている。
再生可能エネルギー事業を手がけるテスホールディングス(大阪市)の連結子会社の伊万里グリーンパワー(伊万里市)が事業を担う。発電所の出力は4・6万キロワット。インドネシア産のヤシ殻(PKS)を燃料にして一般家庭約8万世帯分の電気をつくり、九州電力送配電に販売する。
式で伊万里グリーンパワーの平倉正章社長は「地域と共に歩み、持続可能な社会の創成に向けて尽力していく」とあいさつ。深浦弘信市長は「発電所が持続可能なエネルギー供給の一翼を担い、地域経済の活性化や雇用創出、市民の環境意識の向上につながることを期待している」と述べた。
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https://www.saga-s.co.jp/articles/-/1470345#goog_rewarded

●2025.5.23 林政ニュース:改正森林経営管理法・森林法が可決・成立
林野庁が今国会に提出していた森林経営管理法及び森林法の一部改正案が今日(5月23日)の参議院本会議で賛成多数で可決され、成立した。森林の集積・集約化を進める「新たな仕組み」の創設などを盛り込んでおり、来年(2026年)4月1日に施行する予定。
詳しくはこちら
https://rinseinews.com/news/10053/

●2025.5.13 農業協同組合新聞:大阪・関西万博に出展 日本の林業の今と未来を感じる体験型展示 林野庁
林野庁は6月8日~15日、大阪・関西万博のテーマウィークプログラム「食と暮らしの未来ウィーク」の一環で、日本の林業について学び、未来の林業のイメージを感じられるよう、先進技術を活用した日本のスマート林業技術の体験型展示を実施する。
詳しくはこちら
https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2025/05/250513-81554.php

●2025.4.8 日本経済新聞:バイオマス発電普及に木材不足の壁 打開の要は住宅市場 生かせ国産木材(下)
バイオマス発電所で燃料に使う木質チップの原料となる丸太の出材は最近5〜6年で半減。丸太の調達価格は3〜5割跳ね上がった。
資源エネルギー庁によると、木質燃料を使う木質バイオマス発電所は近年急増し、24年9月時点で全国で300カ所を超えた。国の固定価格買い取り制度(FIT)の対象で、風力や太陽光に比べ天候に左右されず運営できる点などから、大手企業などの参入が相次いでいる。木質バイオマス発電の運営に影を落としているのが、燃料となる木質チップの不足と価格の高騰だ。燃料材の利用量は10年で8倍となった。
日本木質バイオマスエネルギー協会(東京・台東)の調査で、2024年9月時点の燃料用チップの調達価格(含水率0%)は1トンあたり2万3042円。遡れる17年6月から16%上がった。
詳しくはこちら(一部会員限定記事)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB27ARN0X20C24A8000000/

【中国情報】
●2025.5.13 木材網:中国はロシアの木材輸出量の70パーセント以上を占める
ロシアの鉄道輸送業者TransLes社の分析データによると、2024年には中国がロシアの原木輸出の主要輸出先となり、全体の75パーセントを占めるようになる。 同年、ロシアの原木の対外輸出量は160万トンで、その大半が中国市場向けであった。さらに、ロシアは930万トンの製材を輸出し、そのうち670万トンは中国へ輸出され、中国におけるロシア製材の需要の大きさを示しており、全体の約72パーセントを占めた。
2024年に中国がロシア産木材の需要が前年比5パーセント減少したにもかかわらず、専門家は2025年に中国のロシア産木材需要は伸びると予測している。このことは、中国がロシア産木材輸出にとって重要な市場であることに変わりはなく、需要は今後さらに増えると予想されることを示唆している。
より広い視点から見ると、ロシアの木材産業は輸出のターゲットを再び急速に中国に向けている。世界最大の木材輸入国の一つである中国は、ロシア産木材に対する需要がずっと高く、それがロシア産木材輸出の成長を後押ししている。
原文はこちら(中国語)
https://www.chinatimber.org/news/detail.html?id=84999

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☆改正クリーンウッド法の適正な施行・運用に向けた提言
https://fairwood.jp/document/241001proposalcwa
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近年、国際社会では気候変動対策や生物多様性保全の観点から包括的な森林減少・劣化対策の必要性への認識が定着しています。2025年12月から施行される欧州森林減少防止規則(EUDR)も、違法伐採対策に主眼を置いていた前身の欧州木材規則(EUTR)を大幅に刷新しました。

日本の違法伐採対策法であるクリーンウッド法も改正され、2025年4月に施行されますが、違法伐採対策から森林減少対策へ推移した国際社会との課題認識の乖離が見られます。

日本政府による違法伐採対策によって日本の木材市場から違法リスクおよび森林減少リスクの高い木材が取り除かれ、世界の森林保全に寄与することを期待し、責任ある木材利用の実現に向けて提言します。
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発 行 : フェアウッド・パートナーズ http://www.fairwood.jp
編 集 : 坂本 有希/三柴 淳一
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