インドネシアの環境法医学専門家バンバン・ヘロ・サハルジョ氏は、スズ・ロンダリング事件での違反容疑者に不利な証言を行ったが、そのバンバン氏が訴訟を起こされる可能性がある。
検察側の証人としてバンバン氏は、バンカ・ブリトゥン諸島の錫産地での違法採掘をめぐる汚職事件により、環境被害総額は271兆ルピア(約166億ドル)に達したと法廷で証言した。これに対し、バンカ・ブリトゥン地域全体の代表と主張する弁都市のアンディ・クスマ氏は、バンバン氏の査定が地元の錫鉱山産業に悪影響を及ぼしたと主張する被害届を警察に提出した。
この錫採掘事件は、環境被害の評価額という点では、これまでで最大の事件である。検察は、インドネシアの最大の採掘業者である国営ティマ社の元CEOを含む幹部らが民間組織と結託し、一連のダミー会社を通じて違法に採掘された錫をロンダリングしたとしている。
バンバン氏の評価によると、2015年から2022年にかけてティマ社の採掘権内で行われた違法採掘は、広範囲にわたる環境破壊を招き、保護林や海洋生態系に影響を及ぼした。同産業の環境被害は深刻であることが長年の研究で示されており、森林破壊、生物多様性の喪失、水系の劣化がバンカ・ブリトゥンの生態系と伝統的な生活、特に漁師の生活に損害を与えている。
活動家らは、バンバン氏に対する被害届を、スラップ(司法制度を利用して批判者を脅迫し、沈黙させる行為)の典型的な例だとしている。
環境NGOのアウリガ・ヌサンタラは、インドネシアで2014年から2023年の間に環境保護活動家に対するスラップ訴訟が少なくとも133件発生したと記録している。活動家らは、このような事件は将来の内部告発を抑止する可能性があると警告している。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2025/01/indonesian-scientist-under-fire-for-revealing-extent-of-illegal-tin-mining/