畑や田んぼで農作物を育てながら、同じ土地で発電もするソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)は、平地の少ない日本で再生可能エネルギーを拡大するための「突破口」の一つとして注目されています。
元々は地域の活性化を目指し、耕作放棄地を利用して地元・小田原の名産品であるミカンを栽培する活動に取り組んでいた小山田社長。全国的に再生可能エネルギー導入の機運が高まるなか、2016年に勤めていた郵便局を退職して小田原かなごてファームを設立。市内にある約100坪の耕作放棄地を利用して最初のソーラーシェアリング(1号機。設備容量15.12kW)を建設しました。
小山田社長は現在の経営状況についてこう語ります。
「収穫したミカンを加工したジュースの売上など農作物からの収入約500万円と合わせると、年間1000万円以上になります。会社は私一人で運営しているので、融資の返済分を差し引いても家族で生活していくのに十分な収入は確保できています。」
作物の成長速度や収穫量は、小山田社長の観測では太陽光パネルの下でも通常の農地と差はないといいます。それどころか、猛暑が続いたことで全国各地の果樹などに被害が出た昨年は、思わぬ発見があったそうです。
「周辺の山地の斜面にもミカンの苗木を植えていたのですが、昨年の猛暑でそれらはほぼ枯れてしまいました。ところが、ソーラーシェアリングの下の苗木だけは枯れなかったんです。このまま気候変動が激化して猛暑が続くようになってくると、作物に適度な日陰を提供できるソーラーシェアリングの利点に注目が集まるかもしれません」
FITにより太陽光発電の導入が急速に進んだ今、日本ではメガソーラー(大規模太陽光発電)建設のための森林伐採や景観への悪影響に対して地域住民から反対運動が起きるなど、様々な軋轢(あつれき)が生じるようになっています。小山田社長は、ソーラーシェアリングがこうした問題の一つの解決策になると訴えます。
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