インドネシアの現在のバイオ燃料戦略は、バイオディーゼル規制B40および近々導入されるB50を満たすためにアブラヤシ農園の拡大に大きく依存しており、環境および社会に最大47億2000万ドルの損害をもたらす可能性があると、環境NGOマダニ・ベルケランジュタンの新たな分析が警告している。
インドネシアでは、今年1月より、ガソリンスタンドで販売されるすべての軽油に、パーム油由来のバイオディーゼルを40パーセント配合すること(B40)が義務付けられている。政府は来年、この比率をB50に引き上げる計画で、これは世界で最も野心的なバイオディーゼル移行プログラムの一つとなっている。
現行のB40の義務だけでも、1,420万トンのパーム原油(CPO)の供給が必要で、B50計画では、この供給量が1,800万トンに増加し、パーム油産業の環境負荷の大きさに対する懸念が高まっている。
マダニは分析の中で、この義務を果たすため、アブラヤシ農園の開発を続けるという現状のシナリオ(BAU)と、既存の農園からの産出量を増やし、各コミュニティがアブラヤシ以外のバイオディーゼル作物を自ら生産する機会を与えられる、という代替シナリオとを比較した。
その結果、代替シナリオは、森林破壊と社会紛争を回避し、地域経済を支え、現状のシナリオ(BAU)での313.6億ドルと比較して、371億ドルと、より高い利益を生み出す可能性があるという。
研究者らは、インドネシアのアブラヤシ農園は生態学的限界に近づいていると警告し、取り返しのつかない環境被害を防ぐために、農園の造成規制と既存の農園での生産性向上、バイオ燃料原料の多様化へと転換するよう主張している。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2025/05/community-based-biofuels-offer-sensible-alternative-to-palm-oil-for-indonesia-analysis-shows/