南米ブラジル・アマゾン川の流域では今年9~10月、大規模な干ばつに見舞われた。米海洋大気局(NOAA)などによると、支流のネグロ川の水位はアマゾナス州都マナウス付近で10月下旬、観測記録が公開されている1903年以降で最も低い12.7メートルを記録した。
ロイター通信によると、テフェ川では、平年よりも10度以上高い39度に達する日があった。干ばつで川の流量が減り、水が温まりやすくなったとみられる。
干ばつによって、人々の暮らしや生態系にも影響が出ている。水位が下がったことで輸送用の船の往来が難しくなり、食料や燃料の供給が滞った。
水環境の悪化から、感染症などの流行も懸念されている。米紙ニューヨーク・タイムズは、テフェ川で、ピンク色のイルカとして有名な「アマゾンカワイルカ」が少なくとも125頭が死んだと伝えた。魚の死骸も大量に見つかったという。
地球温暖化を背景にした山火事が世界全体で相次いでいる。カナダ政府によると、2023年の山火事による同国内の焼失面積は、過去最大の1800万ヘクタール超を記録した。
山火事による健康被害も懸念されている。豪州などの研究チームは、山火事が引き起こす大気汚染によって、世界で年間約3万3000人が亡くなっていると推計する。
国連環境計画の報告では、山火事が大規模化するリスクは30年までに14%、50年までに30%増加する。日本は湿潤な気候のためリスクは低いとされてきたが、日本大の串田圭司教授(地球環境学)は「温暖化が進んで極端な干ばつが起こるようになれば、日本でも山火事のリスクは高まる可能性がある」と警鐘を鳴らす。
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