1. HOME
  2. 世界のニュース
  3. バックナンバー
  4. フェアウッド・マガジン 世界のニュース 第243号  2024年11月6日

世界のニュース

定期的にメールでお知らせしています。

バックナンバー

フェアウッド・マガジン 世界のニュース 第243号  2024年11月6日

--- フェアな木材を使おう ---     http://www.fairwood.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
バイオマス発電に関して、英国からはその排出量の多さ、日本の主要な燃料供給地カナダと米国からはペレット生産の深刻な環境・社会課題と膨大な数の環境規制違反、インドネシアからは日本向け燃料生産が熱帯林を破壊しているとの報告が届いています。CBD-COP開催地のコロンビアではNGOから生物多様性に「有害な補助金」として大規模バイオマス産業への支援撤廃を求める声明が出されました。
一方、経済産業省の委員会では今年もバイオマス発電の持続可能性が議論されていますが、FIT/FIP支援終了後にバイオマス発電所の化石回帰の防止方法が議論されている状況です。
消費者負担で再エネを支援するこの制度の気候変動対策としての有効性、持続可能性の確保について、改めて考える必要があるのではないでしょうか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【森林減少】
●2024.10.25 Woodcentral:グローバルなゴム業界がEUDRに対応:タイヤサプライチェーンが主要な盲点を埋める
ゴム産業が直面している課題は、森林認証取得を目指す小規模農家に報い、ゴム製品のサプライチェーン全体で流通管理を確実に行うことである。
ベトナム、カンボジア、ラオス各地の数十社のゴム会社(すべてベトナム・ラバー・グループ(VRG)傘下)は、ベトナム森林科学アカデミー(ベトナムのPEFC)および、PEFCアジアパシフィックと協力し、2025年12月に施行される予定のEUDRに先立ち、EUDRコンプライアンス研修を小規模農家に提供している。
タイのゴム農園は主に小規模であるため、大規模農園に比べて、FSC基準を満たすことはより困難だが、すでに、1千ヘクタール以上のゴムの木を管理する225の小規模ゴム農家の協同組合が、タイの国別スタンダードを使用して、PEFC認証ラテックスを世界市場に販売している。
タイは世界最大のゴム生産国および輸出国の一つであり、輸出の11.45%以上がEU市場に向けられている。
なお、ゴム栽培の90%以上はインドネシア、ベトナム、タイで行われており、生産されるゴムの70%以上が自動車産業に供給されている。
原文はこちら(英語)
https://woodcentral.com.au/global-rubber-tackles-eudr-tyre-supply-chains-close-key-blindspot/?utm_campaign=null&utm_medium=null&utm_source=null

●2024.10.28 ロイター:ブラジル鉱山ダム決壊、3社が300億ドル弱の賠償で当局と合意
ブラジル南東部マリアナ市近郊の鉄鉱石鉱山で2015年に起こったダム決壊事故を巡ってブラジル政府は25日、鉱山を運営していたブラジルの資源大手バーレ、オーストラリアの資源大手BHPグループ、両社の合弁会社サマルコが計1700億レアル(298億5000万ドル)の賠償金をブラジル政府などに支払うことで3社と合意し、調印した。
この事故では19人が死亡し、数百人が家を失ったほか森林が破壊され、河川の汚染をもたらした。
詳しくはこちら
https://jp.reuters.com/markets/commodities/EA6K5Q4OXJOC3KFJUODSBDNQ3Y-2024-10-27/

●2024.10.22 AP通信:ブラジル最悪の環境災害 鉱業会社最大手を集団訴訟
ブラジル最悪の環境災害の被害者グループが10月21日、有毒な採掘廃棄物が主要水路に流れ込み、19人が死亡し、地域社会が壊滅的な打撃を受けた事故からほぼ9年後、補償を求めて世界最大の鉱業会社を英国の裁判所に提訴した。
ロンドンの高等法院に提起された集団訴訟は、世界的な鉱山大手BHPに対して推定470億ドルの損害賠償を求めている。
BHPは、鉄鉱石鉱山を運営するブラジルのサマルコ社の株50%を所有している。そのサンマルコ社の鉱滓ダムが2015年11月5日に決壊し、ブラジル南東部のドセ川に大量の鉱滓が流出した。
BHPの代理人は提出書面の中で、この主張には「根拠がない」と述べ、BHPはダムを所有・運営しておらず、「ダムに関する知識は限られており、安定性が損なわれていることなど知らなかった」と述べた。
詳しくはこちら
https://news.yahoo.co.jp/articles/0a1cb06936d06acaafecdefcf468ee8f24d0f381

●2024.10.18 ダイヤモンドオンライン:【森林学者が教える】「森林の保護=手つかずのまま残す」だけが正解ではない。では、ほかにどんな方法があるのか?
「森林の保護」には、人間の手入れが必要
─シマードさんは今年、米・タイム誌の「世界で最も影響力がある100人」に選ばれました。これまで以上に、シマードさんの研究や活動に注目が集まっていると思いますが、今後特に注力していきたいことはありますか?
スザンヌ・シマード(以下、スザンヌ)まず、タイム誌の著名なリストに名を連ねることができたのは、大変名誉なことだと思っています。
生まれてこのかた、私の人生は常に森林とともにありましたし、森林の存在がいつも私を支えてくれました。ですので、今後も引き続き、「森林の保護」を第一に活動していきたいと思っています。
しかし、「森林の保護」といっても、ただ単に手つかずのまま残しておくのではなく、人間が世話・管理をしなくてはならないケースが多いです。なぜなら、急速なペースでの大規模伐採によって、森林が自律的に回復するサイクルを人間が破壊してしまったからです
詳しくはこちら
https://diamond.jp/articles/-/351939

●2024.10.17 CNN:世界の水循環のバランスが崩壊、「人類史上初」 食糧生産半減の恐れも
過去数十年間の破壊的な土地使用、誤った水管理が人間由来の気候危機と重なって、「前例のないストレス」を世界の水循環にもたらしているという。
国際的なリーダーや専門家で構成する団体、「水の経済学に関するグローバル・コミッション」が16日、そうした内容の報告書を発表した。
同コミッションの共同会長で報告書の著者でもあるヨハン・ロックストローム氏は、世界の水循環のバランス崩壊を「人類史上初」の事態と指摘。
「あらゆる淡水の源である降水量はもはや当てにならない」と述べた。水循環の崩壊は気候変動と「深く結びついている」と、報告書は結論する。
土壌や植物に含まれる水を意味する「グリーンウォーター」の安定的な供給は、植生を支える上で極めて重要だ。
植物は温室効果を持つ二酸化炭素を内部にため込むことができる。ところが湿地や森林の破壊などで人間が悪影響を及ぼせば、植物の吸収する二酸化炭素量が減少し、地球温暖化に拍車がかかる。
気候変動による高温は地形を乾燥させ、湿度が失われることで火災のリスクも高まる。
詳しくはこちら
https://www.cnn.co.jp/fringe/35225044.html

●2024.10.7 JETRO:欧州委、森林破壊防止デューディリジェンス規則の適用開始の1年延期を提案
欧州委員会は10月2日、森林破壊防止のためのデューディリジェンス義務化に関する規則の適用開始を1年間延期する改正案を発表した。
EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会が改正案を採択した場合、同規則の適用は、大企業で2025年12月30日から、中小企業は2026年6月30日からに延期される。
今回の適用延期提案の背景には、EU内外での不満の高まりがある
域内の業界団体はデューディリジェンスの実施・報告義務の煩雑さに対して反発を強めており、オーストリアなど7加盟国は2024年3月、同規則の簡略化と適用延期を欧州委に要求。
現地報道によると、9月に入りドイツも適用延期への支持を表明した。このほか、欧州議会の最大会派で中道右派の欧州人民党(EPP)グループは、同規則は膨大な規制対応負担を企業に強いる規制だとして痛烈に批判。
対象産品の主要な輸出国となるブラジルやインドネシアなどからも、同規則に対する懸念の声が上がっている。
詳しくはこちら
https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/10/93cfcf3d3f5114aa.html

●2024.10.3 Mongabay:アグリビジネスからの圧力が高まるなかで、EUは森林破壊防止法適用の延期を検討
EU議会と理事会は、森林破壊防止規則の適用を12カ月延期することを検討している。
この法律は2025年1月1日に適用される予定だったが、輸出国や工業・農業部門からの圧力が高まっていた。
多くの生産者は、規制は複雑で費用がかかると話す。
ブラジルのような国では、牛の放牧は追跡が非常に難しく、偽造された耳標や輸送許可証により、森林が違法に伐採された土地から合法的な土地に何十万頭もの牛を移送することができる。
世界のパーム油の80%以上を生産するマレーシアとインドネシアでは、パーム油はサプライヤーの複雑なネットワークを経て輸出されるため、原産地を知ることは難しい。
欧州木材貿易連盟や欧州家畜食肉貿易業者連合など28の欧州業界団体は先月、「欧州委員会とEU加盟国は、設定されたスケジュールが実現不可能なことを認めることが重要だ」との声明を発表していた。
延期を批判する人々は、延期は1月1日の期限に向けて熱心に準備してきた生産者を不当に取り扱う一方で、最も無責任な生産者をもう1年見逃し、アマゾンの熱帯雨林などでの農地開拓が急速に進む恐れがあると述べている。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/10/eu-considers-postponing-anti-deforestation-law-as-pressure-from-agro-industry-mounts/

●2024.9.27 Mongabay:国際金融における生物多様性への配慮は依然として低い
経済協力開発機構(OECD)の新しい報告書によると、生物多様性関連のプロジェクトは近年、国際的な資金提供が増加しているが他の開発イニシアチブと比較すると優先順位は依然として低い。
報告書によると、こうしたプロジェクトに対する公的開発金融 (ODF) の総額は、2015年の73億ドルから2022年には154億ドルに増加した。
それでも、 2022年12月に「昆明・モントリオール生物多様性枠組 (GBF)」に署名したおよそ200の政府が生物多様性の喪失を食い止めるために必要だと合意した金額(2025年までに少なくとも年間200億ドル、2030年までに年間300億ドル)には及ばない。
また、報告書によると、生物多様性関連の活動への資金提供は、ODFポートフォリオ全体のわずか2~7%に過ぎない。
さらに、ドイツ、フランス、EU、米国、日本など主要な援助国からの開発資金は、近年減少している。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/short-article/2024/09/biodiversity-still-a-low-consideration-in-international-finance-report/

●2024.9.7 Reuters:「持続可能な」伐採が、気候変動対策に重要なカナダの森を皆伐
森林伐採の環境的な健全性を証明する非営利団体によれば、広大な森林を持つカナダは、どの国よりも持続可能な「認証」を受けた伐採事業を行っている。
森林認証は、熱帯雨林の破壊に対する怒りから1990年代に誕生し、今日では、責任を持って生産されたことを保証するためトイレットペーパーやツーバイフォー、その他の木材製品や紙製品に緑の認証マークをつけている。
しかしロイターの調査では、持続可能性認証プログラムが、カナダのほとんどすべての伐採をカバーするようになった一方で、同国の森林は過去20年間、生態学的に重要な原生林や原生林が世界最大規模で減少している。
原文はこちら(英語)
https://www.reuters.com/investigates/special-report/canada-forests-climate/

【バイオマス】
●2024.11.4 Guardian:ドラックス社は2050年代まで炭素排出量を増やし続けるとの調査結果
分析によると、ノースヨークシャーの発電所向け米国産木質ペレットの需要は、森林の炭素蓄積を減少させる。
科学的な調査によると、ドラックス社は炭素回収技術を使っているにもかかわらず、2050年代まで大気中の炭素排出レベルを上げ続けるという。
ノース・ヨークシャーにある同社の大規模発電所は、英国にとって重要な発電所だが、米国とカナダの森林から調達した木質ペレットを燃やすというビジネスモデルに対する批判に繰り返し直面してきた。
新しい研究では、燃料として燃やすために毎年700万トンの木質ペレットをアメリカの森林から調達するために必要な森林伐採は、少なくとも25年間はこれらのマツ林の生態系に蓄積された炭素を損なうことがわかった。
原文はこちら(英語)
https://www.theguardian.com/business/2024/nov/04/drax-will-keep-raising-carbon-emission-levels-until-2050s-study-says

●2024.11.3 The Times:英国の発電所に供給する米国のペレット工場で11,000回の環境規制違反
英国最大の発電企業であるドラックス社は、11,000回以上も環境規制に違反しているアメリカの木質ペレット工場から燃料を調達していることが、タイムズ紙に提供された調査で判明した。
違反があったのは、ドラックス・グループが所有する6つの工場で、そこで生産された木質ペレットをノース・ヨークシャーの発電所に輸出している。
同社は、ノース・ヨークシャー州セルビーにある発電所に供給している米国の木質ペレット工場での環境違反により、2019年以降610万ドルの罰金を科せられた。
アラバマ州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、ワシントン州にわたり、有害大気汚染物質の許容基準超過、水路の汚染、汚染を制限する重要な装置の不使用などの違反があった。
原文はこちら(英語、要会員登録)
https://www.thetimes.com/article/1760e786-c0d1-47cd-b2a7-a10e45499378
調査レポートはこちら(英語)
https://www.landclimate.org/drax-usa-11000/

●2024.10.28 Mongabay:日本と韓国のエネルギー需要により、インドネシアのバイオマス生産地でスラウェシの熱帯雨林を伐採
2022年、当時のインドネシア大統領ジョコ・ウィドドは、新たな鉱山やプランテーション開発用に区分されていた数百万ヘクタールの土地に影響を与える数百の事業許可を取り消した。
その後、この土地の一部は「エネルギー植林」として再区分され、早成樹を植えて育成し、それを伐採・チップ化して発電所で燃焼する石炭の一部を代替する計画が進められている。
スラウェシ島では、インドネシア企業が、2022年の政策変更前にアブラヤシの許可を得ていた2つの企業から調達した木質ペレットを日本と韓国向けに輸出している。
バイオマス混焼は再生可能エネルギーの一種と見なされているが、環境保護活動家は石炭からの排出を相殺するために森林を伐採する手法に反対している。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/10/indonesia-biomass-zone-for-japan-and-s-korea-energy-razes-rainforest-in-sulawesi/

●2024.10.27 AP通信:世界的なバイオマスエネルギー需要の高まりにより、インドネシアの森林がその代償を払わされている
多くの国々にとって、よりクリーンなエネルギーへの移行に不可欠とされるバイオマスに対する国際的な需要の高まりを受け、インドネシア全土で広大な原生林が伐採されている。
2021年以降、木質ペレット生産のために破壊された森林由来のバイオマスのほぼすべてが、韓国と日本に輸出されていることが、AP通信が衛星画像、企業文書、インドネシアの輸出データを調査した結果、明らかになった。
両国はインドネシアにおけるバイオマス生産と利用の開発を支援するために、数百万ドルを拠出している。
インドネシアの国営公益企業も、発電に使用するバイオマスの量を大幅に増やす計画を持っている。
専門家や環境保護活動家は、国内外の需要の高まりと国内の規制の緩さが相まって、森林破壊が加速し、同時に大気汚染の激しい化石燃料の使用が長引くことを懸念する。
原文はこちら(英語)
https://apnews.com/article/indonesia-biomass-deforestation-energy-coal-japan-south-korea-22d17f5a00abbccb59960438590ab31c

●2024.10.25 The Canary:CBD COP16は有害なバイオマスエネルギーへの助成金を停止できる。その意志さえあれば
森林バイオマスを利用した大規模集中型エネルギー生産に対する補助金は、2022年の「生物多様性枠組(GBF)」の目標18(下記参照)で各国が合意したとおり、来年から早急に段階的に廃止されなければならない。
これは、コロンビアのカリで開催されたCBD COP16に参加しているバイオマス・アクション・ネットワークの主張である。
バイオマス・アクション・ネットワークは、CBD COP16の代表者たちに、以下のことを呼びかけている。
・GBF目標18に従い、2025年までに森林バイオマスに対する直接および間接的な補助金が生物多様性にとって最も有害なインセンティブであると指定し、2030年までに大幅に段階的に廃止。
・一次林から採取した木質バイオマス、森林やその他の生態系のエネルギー用植林への転換、石炭とバイオマスの混焼など、バイオマス産業に対するすべての補助金を緊急に廃止。
・各国の生物多様性国家戦略および行動計画(NBSAP)を更新し、期限付きの計画で有害な補助金すべてを撤廃。これにより、浮いた資金を生物多様性への積極的な行動に充てることができる。
原文はこちら(英語)
https://www.thecanary.co/global/world-news/2024/10/25/cbd-cop16-biomass/

●2024.10.24 Mongabay:新しい調査により、米国の木質ペレット工場による汚染の人間への影響が明らかに
米国南東部の木質ペレット工場の近隣住民が直面する汚染と生活の質への影響について、画期的な調査が行われた。
非政府組織(NGO)の連合が、世界最大級のペレット製造企業であるDrax社とEnviva社が運営する工場の近隣に位置する、貧困層、農村部、少数派が多数を占める5つのコミュニティで、312世帯を対象に戸別訪問によるインタビューを実施した。
新たに調査対象となった5つのコミュニティのうち4つでは、86%の世帯が、ペレット工場の汚染に関連する、またはそれによって悪化したと考えられる疾病や不調を家族の誰かが抱えていると報告した。
2023年の研究では、ペレット工場が55種類の有害汚染物質を排出しており、主に環境正義の問題を抱えるコミュニティに影響を及ぼしていることが明らかになってる。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/10/new-survey-puts-human-face-on-pollution-caused-by-u-s-wood-pellet-mills/

NGOによる調査 “Pellet Mill Community Impact Survey”(「ペレット工場立地地域の影響調査」)はこちら(英語)
https://www.southernenvironment.org/news/pellet-plants-saddle-southerners-with-nonstop-noise-pollution/

●2024.10.23 Sustainable Carbon:新しい報告書は東南アジアの森林に対するバイオマスの「脅威」を強調
「無視された警告:インドネシアと東南アジアの熱帯林に対する森林バイオマスの脅威」と題された報告書は、インドネシア、日本、韓国のエネルギー政策が推進している、いわゆる「誤った気候解決策」を検証している。
この報告書は、アース・インサイト、アウリガ・ヌサンタラ、フォレスト・ウォッチ・インドネシアなどの組織が共同で発行した。
報告書によると、インドネシアの手つかずの熱帯林1,000万ヘクタール以上が危険に晒されている。
これは、バイオマス工場向けの木材チップやペレットの需要によるものだ。アウリガ・ヌサンタラによると、日本と韓国がバイオマス植林の拡大のための市場を牽引しているという。
原文はこちら(英語)
https://www.sustainable-carbon.org/new-report-highlights-biomass-threat-to-southeast-asian-forests/

●2024.10.21 Mongabay:怪しい「グリーン」エネルギーのためにボルネオの熱帯雨林を皆伐するバイオマス企業
インドネシアの再生可能エネルギー拡大戦略によって、先住民族コミュニティの森林がバイオマス向けの植林に奪われる可能性がある
Mongabayは、ボルネオ島でそのようなプロジェクトが計画されている場所を訪ねた。そこでは、3つの村が少なくとも5,000ヘクタールの土地をバイオマス企業に譲渡する契約を交わしている。
この地域の多くは熱帯雨林に覆われており、おそらくこのプロジェクトのために伐採されるだろうと地元の人々は言う。
持続可能という宣伝文句とは裏腹に、木質バイオマスの燃焼は、発電量あたりで石炭よりも多くのCO2を排出するという研究結果が出ている。
さらにボルネオの企業は、植林地で生産される木質ペレットを輸出する計画だという。
私たちが話を聞いた村人たちは、企業による不公正な取引ー不十分な補償から、支払いも同意もない土地収奪までーに不満を抱いていた。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/10/revealed-biomass-company-poised-to-clear-bornean-rainforest-for-dubious-green-energy/

●2024.10.18 The Times:英国・保守党、Draxの炭素回収計画の支持を撤回
クレア・コウチーニョ(影の内閣、ネット・ゼロ担当大臣)は、この計画は詳細に検討すると 「単純に破綻している 」と述べた。
英国で最も汚染度の高い発電所に環境に優しい技術を導入する計画は、樹木の大量伐採に依存しているとの懸念から、保守党によって反対されている。
ドラックス社は現在、自社のバイオマス発電所にBECCS技術を導入しようとしており、この計画では、木を燃やして発電し、排出されたCO2を回収して地下に貯蔵する。
燃やされた木の代わりに育った木がCO2を吸収するため、この発電所は理論上、大気から炭素を除去することになる。
しかし現在、保守党は環境破壊と政府補助金の規模が利益を上回ると主張している。
原文はこちら(英語、要会員登録)
https://www.thetimes.com/uk/politics/article/tories-withdraw-support-for-drax-carbon-capture-plan-vs9s5rxr2

●2024.10.17 Mongabay:EU森林破壊防止規則の延期は法律を骨抜きにするための口実になると活動家らが懸念
欧州委員会は10月1日、森林破壊防止規則(EUDR)の12か月の延期を求めた。
ブラジル、インドネシア、米国など木材・農産品産業や輸出国は、煩わしい認証要件と遵守の準備時間が足りないとしてEUDRを非難している。
木質ペレット業界は24か月の延期を要求していた。
オーストリアの世界バイオエネルギー協会会長、クリスチャン・ラコス氏は、ヨーロッパでもアメリカでも、木質ペレット生産のための伐採による森林破壊は起こっていないと述べた。
同氏はさらに「米国のペレット生産の半分以上を占める製材所の副産物のトレーサビリティ(EUDRの要件)は極めて困難だ。
おがくずが複数の製材所から集められてペレット化される場合、ペレットがどの森林区画から来たのかをどうやって見分けることができるのか?」と述べた。
モンガベイを含む独立系メディアの報道は、木質ペレットの原料のほぼすべてが、業界が強く主張しているような木材廃棄物や残渣からではなく、米国などの森林で伐採された木材であることを明らかにしている。
もしそうだとすれば、EUDRの規制の下で、それらのペレットは欧州への輸入が禁止される可能性がある。
サンフランシスコの自然資源保護協議会の森林バイオマス専門家、デビー・ハメル氏は、モンガベイに対し、この業界は18カ月近く前からこの法律が施行されることを知っていたが、業界は法の遵守に向けて努力するどころか、激しい政治的反対運動を展開してきたと語った。
欧州議会による延期の承認(11月13日~14日の総会で採決が行われる予定)を見越して、ペレット業界、その他の関連企業、輸出国はより緩い修正を求め、森林活動家はEUDRのより厳しい規制を求めてロビー活動を行う戦略を立てている。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/10/delay-of-eu-deforestation-regulation-may-be-excuse-to-gut-law-activists-fear/

●2024.10.15 Wedge Online:〈日本の再エネ支えるベトナム林業〉森林回復と両立させる意外な経営手法と、背後に潜む問題点
実はバイオマス燃料の自給率は2割程度に過ぎず、多くを輸入に頼る。
この5年間で輸入量は約6倍に膨らんだが、その多くは海外産の木質ペレットやパーム椰子殻(PKS)だ。国産燃料の場合はチップにして燃焼させるが、輸入燃料は木質ペレットが増えつつある。
含水率が低く燃焼効率が高いうえに、形状がそろい輸送や貯蔵がしやすい、さらに自動運転が可能で扱いやすいからだ。
そして輸入木質ペレットの55%が、ベトナムからなのである。もし輸入が止まれば、バイオマス発電所の多くが稼働できなくなる。
木質ペレットのほか製紙用チップや木工品などベトナム産に依存するものは多い。それなのに、日本ではベトナムの林業に対する認識が薄い。
詳しくはこちら
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/35400

●2024.10.10 日経新聞:イーレックス、ベトナムでバイオマス2基着工 27年稼働
新電力のイーレックスは10日、ベトナムでバイオマス発電所2基を着工したと発表した。
1基あたりの出力は5万キロワットで、2027年の稼働を見込む。30年までに同国でバイオマス発電所を18基建設する。
ベトナム北部のイエンバイ省とトゥエンクアン省で工事を始めた。発電には現地の木質残渣などを使い、生み出した電気は固定価格買い取り制度(FIT)を使って売る。
詳しくはこちら
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1073H0Q4A011C2000000/

●2024.10.10 Earth Insight:レポート「無視された警告:インドネシアと東南アジアの熱帯林を脅かす森林バイオマス」
新しい地図と分析によると、インドネシアにある1,000万ヘクタール以上の手付かずの熱帯林(FIFAサッカーコート800万面分以上)が、エネルギーのために木を燃やすという誤った気候変動対策の拡大によって脅かされている。
東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の開催中に発表されたこの報告書(Earth Insight, Auriga Nusantara, Forest Watch Indonesia, Trend Asia, Solutions for Our Climate, and Mighty Earthの共同発行)は、特に日本、韓国、インドネシアにおける木質バイオマス発電所によるペレットやチップの需要が、熱帯林を脅かしていることを示している。
主な調査結果
・木質チップ工場・混焼プラントの運搬区域内にある1,000万ヘクタール以上の手つかずの熱帯林が危険にさらされている。
これには、400万ヘクタール以上に及ぶ127の生物多様性重要地域(KBA)が含まれる。
・エネルギー用植林地内の120万ヘクタール以上の森林のうち、40万ヘクタールが手つかずの森林であり、これには危険にさらされている14以上の生物多様性重要地域(KBA)が含まれる。
詳しくはこちら(英語、日本語レスリリースあり)
https://earth-insight.org/press-release/wood-energy-threatens-asia/
レポートの日本語要約はこちら
https://x.gd/CFWL7

●2024.8.22 読売新聞:バイオ炭に温室ガス削減効果、草木が取り込んだ炭素を貯留…農業や建設で活用広がる
木材や草などの生物資源(バイオマス)を低酸素状態で加熱して作る「バイオ炭」。
取り込んだ炭素を放出せずに貯留できるため、日本政府は脱炭素の政策の一環として、温室効果ガスの「削減量(クレジット)取引」制度の対象と認めている。
企業の関心も高まっており、農業だけでなく建設分野にも活用が広がってきた。
長野県上田市に広がるワイン用のブドウ畑。キリンホールディングス傘下のメルシャンが運営する「 椀子(まりこ)ヴィンヤード」で3月、バイオ炭を作り、畑にまく研究が始まった。
農業・食品産業技術総合研究機構が協力し、 剪定したブドウの枝を焼却せずに、バイオ炭にする。
ホクレン農業協同組合連合会(札幌市)とJAきたみらい(北海道北見市)は、タマネギ栽培で、バイオ炭を活用して脱炭素化を目指している。
両者は、タマネギの畑51ヘクタールでバイオ炭を使用し、23年に収穫を行った。CO2換算で約17トンを貯留した計算になるという。
建設業界では環境に配慮したコンクリートを導入する動きが進んでいる中で、バイオ炭に注目したのが清水建設だ。
コンクリートは供用期間が長いため、長期的に安定して貯留が可能になる。
コンクリートは主に水、セメント、砂、砂利で作るが、砂の一部をバイオ炭で代替した。
強度や耐久性などは通常のコンクリートと同等な上、特殊な設備が不要なので現場で使いやすいという。
すでに高速道路の工事現場の仮舗装などに使用されている。
詳しくはこちら
https://www.yomiuri.co.jp/science/20240823-OYT1T50035/

【違法伐採問題】
●2024.10.21 Mongabay:カンボジアの伐採シンジケートは、米国の大手木材フローリングサプライチェーンと結びついていた
モンガベイは1年かけて、ネイチャーフローリング社が取り扱う製品中の合板の多くが、カンボジアの熱帯雨林保護区から違法に伐採された可能性があることを示唆する証拠を収集した。
ネイチャーフローリング社は、2019年5月にシアヌークビル経済特区に設立された中国資本の企業で、複数の米国企業と提携している。
カンボジアの木材産業関係者によると、フローリングについては、木材の種類や原産地を特定するための検査はほとんど行われていないという。
モンガベイの調査の結果、ネイチャーフローリング社のカンボジアの工場で製造されていたエンジニアードハードウッドフローリングの芯材は、アンコール・プライウッド社から調達されていた。
2011年に設立されたアンコール・プライウッド社は、木材の密輸に関わりのある有力者、チューン・ソフィアップ氏が所有するカンボジアのコングロマリット、フィアピメックスで出世したチア・ポブ氏が率いている。
ポブ氏のビジネスパートナー、ルー・チュー・チャン氏は台湾人で、シンク・バイオテック社(現:ホーリープランテーション)も率いている。
2023年、モンガベイは、ホーリープランテーションが、植林木の加工よりも、隣接するプレイラング保護区の天然林の伐採とロンダリングに大きく依存していることを示す膨大な証拠を加えた。
グローバル・フォレスト・ウォッチのデータでは、チャン氏がシンク・バイオテック社を買収した2018年12月以降、プレイラングの原生林の急速な減少が示されている。
その後数年間、シンク・バイオテック社はプレイラングの保護林を違法に伐採し、その木材をロンダリングして、プランテーションで育てたアカシアやユーカリなどの木材として姉妹会社のアンコール・プライウッド社に販売していたと、繰り返し非難されてきた。
カンボジア人ジャーナリスト数名が匿名で調査への協力要請に応じた。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/10/cambodian-logging-syndicate-tied-to-major-u-s-wood-flooring-supply-chains/?fbclid=IwY2xjawGICBFleHRuA2FlbQIxMAABHS-GXWoMKol4YeZxpXB1Uq4Eq5uNLGkw1IVCKo-fyxPIgNK2OjpTAiNYVQ_aem_ooCxjFHME_faIxno0wBiBA

【カーボンクレジット】
●2024.9.25 Mongabay:メタが物議を醸している植林地から390万カーボンクレジットを購入
フェイスブックとインスタグラムを所有するメタ社は最近、ラテンアメリカの植林地から130万カーボンリムーバルクレジットを購入する契約を締結した。
これには2038年までに追加で260万クレジットを購入するオプションもついている。
この種のものとしては最大規模と言われるこの契約は、ラテンアメリカ最大の投資銀行であるBTGパクチュアル(BTG)と締結された。
森林破壊と結びついた牛肉およびパルプ会社に数十億ドルが投資していることでBTGの環境政策は、森林と金融政策評価プラットフォームにより10点満点中0.9点と評価されている。
メタ社とBTGの契約は、BTGの森林プロジェクトであるティンバーランド・インベストメント・グループ(TIG)を通じて締結された。
TIGが事務所を開設したブラジルのセラードは紙パルプ産業の中心地で、ユーカリ栽培が拡大している地域である。
カーボンクレジットによる森林再生プロジェクトのなかには、このセラードの広大な牧草地を買い取り、ユーカリのプランテーションに転換するプロジェクトも含まれている。
セラードは現在、過去700年間で最悪の干ばつに直面している。ユーカリの単一栽培では、1本あたり1日30~60リットルの水を消費し、干ばつが悪化することになる。
原文はこちら(英語)
https://x.gd/sC0Qv

【パーム油問題】
●2024.9.24 Mongabay:米国の消費者は乳製品を通じて森林破壊に関与したパーム油に晒されている恐れがある
米国を拠点とするレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)のあらたな報告書によると、マース、ネスレ、モンデリーズを含む米国の乳製品加工・消費財企業14社のうち13社が、乳製品サプライチェーンにおいて、家畜飼料、特に乳牛飼料へのパーム油使用量の情報を提供していないことがわかった。
RANは、サプライチェーンに埋め込まれたパーム油について十分説明しない場合、消費財ブランドは自社製品が森林破壊フリーだと保証できないと述べた。
たとえばネスレは、2023年のパーム油一次サプライチェーンはその96%が森林破壊ゼロだったと述べているが、埋め込まれたパーム油について言及していない数字である。
RANの調査によると、この埋め込まれたパーム油を考慮すれば、森林破壊ゼロのサプライチェーンは72%に低下するという。
同報告書は、世界最大の消費財ブランドのネットワーク、コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)に対し、会員企業が埋め込まれたパーム油をNDPE方針に含める働きかけを行うよう求めた
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/09/us-consumers-may-be-exposed-to-deforestation-linked-palm-oil-via-dairy-report/

●2024.9.5 Mongabay:インドネシアのアブラヤシ栽培農家にとって、EU森林破壊防止法はトップダウンの押し付けである
専門家は、EUの森林破壊防止法(EUDR)の施行により、土地の明確な所有権を持たない小規模農家に悪影響を与える可能性があると指摘している。
アブラヤシの小規模農家は「森林破壊の加害者として非難されることが多い」と、インドネシアの小規模アブラヤシ農家組合SPKSの事務局長マンスエトゥス・ダルト氏は、2022年にEU宛ての書簡の中で、法律に小規模農家の意見を取り入れるよう要請した。
インドネシアでは、小規模農家の土地所有面積を25ヘクタール未満と定義しているが、典型的な小規模農家が管理する土地は2ヘクタールである。
コンサルティング会社Daemeterは、土地を分割して登録することで「小規模農家」に分類されている「新興地主」層がいることを明らかにしている。
SPKSは、EUDRが「小規模農家」を、「10ヘクタール以下の土地を所有し、農村部に住み、農園を直接管理する農家」と定義するよう望むとダルト氏は言う。
インドネシアの森林破壊に対する小規模農家の正確な寄与については、議論の余地がある。
スイスとインドネシアの研究者による2013年の調査では、2000年から2010年にかけて小規模農家(25ヘクタール未満)がスマトラでアブラヤシに起因する森林破壊を引き起こしたのはわずか10.7%に過ぎなかったと判明した。
しかし、小規模農家が森林破壊の主役だという誤解は、パーム油業界では依然として根強く残っている。
国際的な研究者チームが実施した調査は、ISPO、RSPO、そしてEUDRが小規模農家を除外していることを浮き彫りにしている。
女性の権利と天然資源の保護を訴えるNGO「サハラ」の環境活動家フスナ氏は、農民は自分たちの住む土地について深い知識を
持っているが、自分たちに影響が及ぶ政策の立案に関与することはほとんどないと言う。
「小規模農民に対話に加わってもらい、考えや意見を聞く必要がある。これまでの方法は常にトップダウンで、農民は運命を受け入れるしかなかった。」
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/09/for-indonesian-oil-palm-farmers-eus-deforestation-law-is-another-top-down-imposition/

【日本は今!】
●2024.10.28 日経新聞:サントリー、生物由来の新ボトル普及へ三井化とも連携
サントリーホールディングス(HD)は28日、バイオマス(生物資源)由来のペットボトルの量産で三井化学や岩谷産業と連携すると発表した。
既存の連携に両社を含む3社が参加する。プラスチック容器に使う石油を減らし環境負荷を抑えるための協力が業種の垣根を越えて広がっている。
原文はこちら(一部会員限定記事)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC259RD0V21C24A0000000/

●2024.10.23 日経新聞:北都銀行、秋田・横手のバイオマス発電に50億円事業融資
北都銀行は23日、秋田県横手市に建設する木質バイオマス発電事業にプロジェクトファイナンス(事業融資)を組成したと発表した。
組成総額は約50億円。すでに着工し、2026年12月の運転開始を目指す。
同発電所は横手市内の東部環境保全センター跡地に建設し、合計出力は7100キロワットを計画している。燃料にはこれまで利用価値が低かった林地の残材や間伐材、樹皮などを使う。
原文はこちら
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC239ER0T21C24A0000000/

●2024.10.22 産経新聞:木材利用ビルの建設拡大 耐震性、耐火性の技術進歩 脱炭素や林業活性化へ国も後押し
壁や床などの建材に木材を活用したビルが各地で建設されている。
これまで耐火性や耐震性に課題があったが、脱炭素化が求められる中で技術開発が進み、弱点を克服しつつある。
国は林業の活性化に向けて国産木材の使用拡大を目指しており、ビルへの活用は有力な用途とみて後押しする。
原文はこちら
https://www.sankei.com/article/20241022-6EPP6A6RLNIHNO7KVSATVXUQNY/

●2024.10.21 Yahoo Japan News:森林健康経営~脱炭素と生物多様性の認証が誕生(田中淳夫)
森林健康経営認証をご存じだろうか。これは静岡県浜松市にある森林健康経営協会の浅沼宏和氏が発案したものだ。
協会メンバーには、環境・生態系の専門家や林業専門家、社会起業家、経営コンサルタントがいる。
森林経営に脱炭素面から支援する制度としては、炭素の排出権を取引するJクレジットはあるが、実質的に大面積所有者でなければ不可能である。
そこで主に小規模な森林を認証しようと考えた。
浅沼氏は、森林はCO2以外にも防災や土壌、そして生物多様性の保全など多くの機能があり、世界的なネイチャーポジティブの動きも捉える。
そこで協会は「健康的な森づくり」に目を向けて、森にとって良い取り組みを認定し、街とのつながりを作っていく認証を考える。
それが森林健康経営認証(FHM認証)である。
今年9月には第1号の認証を誕生させた。浜松市天竜区の林業家・前田剛志氏の「Kicoro(きころ)の森」2ヘクタールを自動車部品メーカーの
ソミックマネージメントホールディングス(静岡県磐田市)が森林管理に関わる事例を認証したのだ。
協会の認証が発表されると各地から反応があったが、意外にも大規模森林所有者からの問い合わせが多いという。
また企業のCSRからも興味を示された。
いずれも、現在の行政や森林関連の制度に不満が見られるそうだ。
詳しくはこちら
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/64caaf4d77afa488eacc727636a7a8ae02b92db2

●2024.10.20 中日新聞:林業の担い手、長野で4年連続増加中 平均年齢も10歳以上若返り
長野県内の林業の担い手が4年連続で増加し、若年層に厚みが出ている。木々の「少子高齢化」にともない森林整備の需要が増えているほか、
林業のイメージアップを図る官民の取り組みが奏功し始めている。
原文はこちら(有料会員記事)
https://www.chunichi.co.jp/article/974311

●2024.10.17 日経新聞:東京都多摩地域の森林におけるボランタリークレジット創出に向けた実証事業を産学6者で共同実施
ヤマハ発動機株式会社は、アイフォレスト株式会社などの企業・研究機関5者と共同で、東京都多摩地域の森林を対象に、超高精度なCO2吸収量、および生物多様性の定量的価値の算定方法を開発する実証実験を行う。これにより、東京を舞台に、世界に先駆けた、新たな吸収・除去系
カーボンクレジットの創出を目指す。
原文はこちら
https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP680285_X11C24A0000000/

●2024.10.17 Yahoo Japan News:石木ダムの計画の根拠となる複数の数字に疑問(橋本淳司)
10月14日、佐世保市内(アルカス佐世保)で「石木ダムの不思議」という勉強会が開かれ、佐世保市民など約300人が参加した
講師の宮本博司氏(元国土交通省河川局防災課長)は、長崎県の説明資料を示しながら、ダム計画の根拠となる複数の数字に
疑問を投げかけた。1つ目が計画雨量の算出についての疑問、2つ目が流出計算結果への疑問、3つ目は、佐世保市の水需要の予測が、今後急増すると示されている点である。
今回示された流域平均雨量の測定、流出計算結果、水需要予測等は、ダム計画の基礎となるものだ。
ダム建設の論点について議論する場合の前提になるので、正確なものでなくてはならないし、どうしてその数字を採用したのかという説明も必要だ。
これらの数字について、市民委員会は県に疑問点を明示した意見書を提出したが、現在までに十分な説明はなされていない。
詳しくはこちら
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/e5ddda7778b1cb86979e6629a69de1bbad3bc3e9

●2024.10.15 Housing Tribune Online:大東建託、CLT使用量を4年で8倍へ
大東建託は、CLT使用量を2028年までに現在の8倍に増加させる目標を策定した。
同社は19年に日本初のCLT賃貸住宅を発売し、23年には、LCCMのCLT戸建賃貸住宅を都内に完成させた。
今後、CLTの使用量を増やす取り組みとして、新商品・新仕様の開発に取り組むほか、安定した施工体制構築に向けた大工教育などを実施していく予定。
詳しくはこちら
https://htonline.sohjusha.co.jp/20241015-2/

●2024.10.15 農村ニュース:木材も新需要開拓急げ
先ごろ公表された令和5年木材需給表によると、木材自給率は42.9%で、前年から2.2ポイント増加した。木材自給率は着実に上昇を続けているが、
木材需要という視点で見ると、近年は横ばいが続いている。このため、今後の課題として「新たな木材需要を生み出すこと」が極めて重要といえる。
原文はこちら
https://www.nouson-n.com/media/2024/10/15/9889

●2024.10.11 JBpress:【能登二次災害】見えぬ未来「ゴーストタウンか」…放置された山林が崩れ壊滅的被害、限界集落の区長が訴える窮
石川県輪島市門前町浦上地区は、約210世帯・430人が居住する26の集落からなる。元日の地震で住宅が全半壊し、現在は150世帯ほどに減った。
道路の多くは寸断されたままで、山間部から平野部への集団移住も検討されている。9月には豪雨が襲い、多くの流木が流れ込んだ。
「二次災害」により復興は極めて困難な状況に陥っている。
10月6日、同地区を取りまとめる喜田充・区長会長(75)に現地でインタビューした。
喜田:なぜこれほど多くの流木があったのか。山林の間伐が行き届いておらず、山の保水力が低下しているからでしょう。
私が子どもの頃、浦上地区の大人は林業を生業にしている人たちが多かったものです。当時は県木の「アテ」(編集注:ヒノキアスナロ)やスギの値段が高く、公務員など現金収入の仕事と間伐や木の伐採をしていれば十分に生活ができました。
ところが過去40年ほどで、林業で全く生活が成り立たなくなりました。昔は家屋の柱が1本2万円ほどで取引されていたのに、現在は1000円ほどです。
浦上地区の主力産業だった林業が廃れたことで、集落を出た若者は帰ってこなくなり、高齢化と人口減が進みます。さらに山も放置されていることから間伐が進まず、災害に脆弱になってしまったのです。
・・・もちろん、国や県にはやむにやまれぬ事情もあるのでしょう
ただ、「国土強靭化」を国として標榜しているのであれば、目に見える形で林業政策を打ち出してほしかった。
住民の生命・生活を守る姿勢を見せてほしかったですよ。
きちんと林業に予算をつけて、持続可能なものにする姿勢を見せてほしかった。現実問題、今回の浦上地区で発生した水害は、全国の山間部のどこでも起こりうる可能性があるでしょう。
山の所有者が責任を持って治山治水し、それで生活できるようにしなければなりません。
さもないと、山林の保水力は落ちていく一方です。
詳しくはこちら
https://news.yahoo.co.jp/articles/06956209bf8a808423c19717bd297d4fa41b791f

【中国情報】
●2024.11.4 Woodcentral:世界最大の人工林が北京を砂嵐から守る
北京、天津など中国北部の都市でかつて猛威を振るっていた砂嵐が、200平方キロメートルを超える世界最大の人工林により、80%減少した。
この森林は中国北部のサイハンバ国立森林公園にある。
60年間にわたり、3世代にわたるフォレスターが400年続いた森林破壊を食い止めるために植林に取り組んできた。
その結果、砂漠(森林被覆率11%)は、深い森林に覆われた緩衝地帯(森林被覆率は80%以上)となった。
北京は 過去10年間で森林被覆率が38.6%から少なくとも44.9%に上昇し、現在では世界で最も「緑豊かな」首都の一つとなっている。
原文はこちら(英語)
https://woodcentral.com.au/worlds-largest-man-made-forest-protects-beijing-from-sandstorms/?utm_campaign=null&utm_medium=null&utm_source=null
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆11/11, 18 ウェビナー:「脱炭素」で加速するインドネシアの森林減少~日本の関与の実態は?
https://foejapan.org/issue/20241023/20873/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
経済成長著しいグローバルサウスの一角を占めるインドネシア。その電力需要は主に石炭火力で賄われています。既存の石炭火力発電所には日本の公的支援が多く使われてきました。
そしてパリ協定に基づくインドネシアの脱炭素政策には、石炭火力のバイオマス混焼や専焼化が含まれており、「公正な移行」支援の名目で、日本からの資金援助も行われようとしています。さらにバイオマス燃料の一つには木質ペレットの供給体制を整備すべく、エネルギー用産業造林(HTE)という新たな制度が創設されました。今、このHTEの面積拡大は、インドネシアの貴重な天然林の新たな脅威になると懸念されています。
本ウェビナーは、新たな天然林減少の危機に晒されているインドネシアの状況について、インドネシアのNGOスタッフを講師に迎え、二回に分けてエネルギーの視点からと、木材製品の視点から紹介し、日本の関与によってその危機が一層助長されることのないよう、私たちはどう対応すべきか考えたいと思います。
※インドネシア語から日本語の逐次通訳が入ります。
■開催概要
日時:
【第一回】2024年11月11日(月) 14:00~15:30
インドネシア「脱炭素」政策の実態と森林減少リスク
【第二回】2024年11月18日(月) 14:00~15:30
インドネシアの森林減少の実態と日本との関わり

形式:オンライン開催(ウェビナー)Zoom
申込み:ウェビナー登録
【第一回(11/11)】 https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_mJu3St11RrOE0NRxsQt0vQ#/registration
【第二回(11/18)】
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_YBDibJ7MR9CVL-mT8fjUQw#/registration
※恐れ入りますが、第一回と第二回は別々にご登録ください。

言語:日本語、インドネシア語(逐次通訳あり)
参加費:無料/ご寄付歓迎
主催:国際環境NGO FoE Japan
プログラム
【第一回】インドネシア「脱炭素」政策の実態と森林減少リスク
講演:インドネシアのエネルギー政策に基づくエネルギー用産業植林(HTE)の拡大と森林減少リスク
講師:Agung Ady Setyawan/Forest Watch Indonesia(FWI)
(コメント)日本との関わりについて 満田夏花/FoE Japan
【第二回】インドネシアの森林減少の実態と日本との関わり
講演:インドネシアの天然林減少の実態~中央カリマンタンの事例
講師:Deden Pramudiana/Indendent Forest Monitoring Fund(IFM)
(コメント)日本の木材製品輸入とインドネシアの森林減少リスク 三柴淳一/FoE Japan
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆11/21 第83回フェアウッド研究部会「考える森林業~人・社会・環境に優しい経営を目指して」
https://fairwood.jp/event/241121
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
国の資料(林野庁, 2024)によれば、現在の林業は丸太販売収入に補助金収入を加えても、伐採、造林、保育経費がその収入を上回り34万円/haの赤字経営となっています。
また2020年の林業経営体数は2015年比で39%減少しており、森林・林業経営を継続することすら難しくなっている状況です
今回は、そうした森林・林業の冬の時代を、農林兼業経営、林福連携、非木材林産物販売など多角経営で活路を見出している福山農林合同会社代表社員の福山寛人さんを講師にお招きします。
福山さんが取り組まれているのは「森林業」。有機農業にも取り組まれていることから、その本質である「生態学的な健全さと公正さ」を軸に、「森」、「人」に対しても真摯に向き合うことで、人・社会・環境に優しい経営を目指しています。
その「考える森林業」とはどのようなものなのか、熱い想いとともにお話いただきます。

【開催概要】
日時:2024年11月21日(木)18:00~19:30(開場:会場は15分前、オンラインは5分前)
場所:ハイブリッド(zoom×地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)東京都渋谷区神宮前 5-53-70国連大学ビル1F)
参加費:1,500円(懇親会費別)
定員:会場25名、オンライン90名

※懇親会は会場参加者のみご参加いただけます。当日の受付の際にお申込み・お支払いを承ります。
※会議URL:お申込みいただいた方に後日ご案内いたします。
※お申込みいただいた方で希望のある場合は、当日の録画アーカイブを後日、期間限定でご覧いただくことが可能です。

【プログラム】(敬称略、内容は予告なく変更することがあります
第1部:講演(18:00~19:30 質疑含む)
講師:福山 寛人(ふくやま ひろと)/福山農林合同会社 代表社員

第2部:懇親会(会場参加者の希望者のみ、別会場にて開催予定)

お申込み、イベント詳細はこちら https://fairwood.jp/event/241121

【主催】国際環境 NGO FoE Japan、地球・人間環境フォーラム、佐藤岳利事務所
【後援】ワイス・ワイス
【助成】緑と水の森林ファンド
【問い合わせ】
FoE Japan(担当:佐々木)
http://www.foejapan.orginfo@foejapan.org
地球・人間環境フォーラム(担当:坂本)
http://www.fairwood.jpinfo@fairwood.jp
※テレワーク推進中のため、メールにてお問合せお願いします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆改正クリーンウッド法の適正な施行・運用に向けた提言
https://fairwood.jp/document/241001proposalcwa
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
近年、国際社会では気候変動対策や生物多様性保全の観点から包括的な森林減少・劣化対策の必要性への認識が定着しています。2024年12月から施行される欧州森林減少防止規則(EUDR)も、違法伐採対策に主眼を置いていた前身の欧州木材規則(EUTR)を大幅に刷新しました。
日本の違法伐採対策法であるクリーンウッド法も改正され、2025年4月に施行されますが、違法伐採対策から森林減少対策へ推移した国際社会との課題認識の乖離が見られます。
日本政府による違法伐採対策によって日本の木材市場から違法リスクおよび森林減少リスクの高い木材が取り除かれ、世界の森林保全に寄与することを期待し、責任ある木材利用の実現に向けて提言します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆かわさきFM "TO THE NATURE"で紹介されました!
https://www.youtube.com/watch?v=NOxPsgWUXcQ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
フェアウッド・パートナーズの事務局団体の一つである地球・人間環境フォーラム活動がFMかわさきの"TO THE NATURE"で紹介されました。
「カナダの原生林を燃やす日本の木質バイオマス 本当に二酸化炭素削減になるのだろうか?森の役割、豊かな生態系の価値。みんなで考えよう!」と題して、8月16日に放送されました。
Youtubeで視聴可能です。ぜひお聞きください。
https://www.youtube.com/watch?v=NOxPsgWUXcQ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・みなさんの知人、友人、ご家族の方にもこのメールマガジンをお知らせしてください。メールマガジンの登録、バックナンバーはこちらです。
http://www.fairwood.jp/news/newsbk.html
・本メールマガジンの記事について、無断転載はご遠慮ください。
ただし、転載許可の表記のある場合を除きます。
・本メールマガジンに関するご意見・ご感想などは下記のEmailにお寄せください。お待ちしております。e-mail: info@fairwood.jp

発 行 : フェアウッド・パートナーズ http://www.fairwood.jp
編 集 : 坂本 有希/三柴 淳一