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2024.12.20 Mongabay:アマゾンの沸騰する川により、科学者たちは熱帯林の未来を覗くことができる

ペルーにある「沸騰する川」は、地中から湧き出る熱水が周囲の森林のなかに異なる温度帯を作り出すことからその名が付けられた。この自然のホットスポットは何千年も前から存在しており、科学者にとっては気温上昇が熱帯樹木にどのような影響を与えるかを研究する自然の実験室となっている。
「グローバル・チェンジ・バイオロジー」に掲載された研究で、マイアミ大学の研究者らは気温が1度上昇するごとに、その地域の樹木種が11パーセント減少することを発見した。科学者らは、この地域は2100年までに36度温暖化する可能性があると予測しており、気温が樹木の多様性に与える影響は大きいと著者らは述べている。
しかし、「この研究結果をアマゾンの森林全体に一般化するには、慎重に考慮する必要がある」と、この研究には関与していない米国パデュー大学のジンジン・リャン教授は述べた。アマゾン川流域の多くの地域では、気温ではなく水があるかどうかということの方が、樹木の多様性にとってより重要かもしれない。
アマゾン川流域では季節的な降雨パターンや干ばつによるストレスによって、どの種が生き残れるかが決まることが多いからだ。「沸騰する川」の調査地は、暑い地域でも湿度が高いという点が珍しい。一方、アマゾンのほとんどの地域は、気温が上がるにつれて乾燥する傾向がある。論文の研究者はこの点について認めつつも、「平均気温の1度上昇につき多様性が11パーセント減少するという観測結果が熱だけで出ていることを考えると、これはかなり厳しい警告と言える」と述べている。
熱帯雨林は、樹木が水蒸気を大気中に放出する蒸散作用を通じて、降雨の多くを樹木自身に頼っている。この自立的なサイクルは、森林伐採、火災、気温上昇によって脅かされている。樹木が伐採されたり枯れたりすると、大気中に放出される水分が減少する。その結果、残った森林は乾燥し、火災が発生しやすくなり、さらに多くの樹木が枯死する。
科学者たちは、このサイクルが続けば、アマゾンの一部地域がティッピング・ポイント(転換点)に達し、森林の生物種が失われ、地域がより劣化したサバンナのような環境に変化する可能性があると警告している。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2024/12/amazons-boiling-river-gives-scientists-a-window-into-the-rainforests-future/