●2025.3.6 Mongabay:インドネシアの裁判所、アブラヤシ農園の拡大を阻止、しかし先住民の土地の権利は宙に浮いたまま
インドネシアの最高裁判所は、2024年12月2日の判決で、パプア州のタナメラ・アブラヤシ・プロジェクトの一部である2つのプランテーション会社、メガカリヤ・ジャヤ・ラヤ(MJR)社とカルティカ・チプタ・プラタマ(KCP)社が起こした訴訟を却下した。この判決により、2社のコンセッションにおける65,415ヘクタールの熱帯雨林(ジャカルタの面積に相当)が伐採から守られることになる。
タナメラ・プロジェクトは7つのコンセッションに分かれており、南パプア州の28万ヘクタールの広大な原生林(ニューヨーク市のほぼ2倍の面積)のなかにある。これらの森林地帯では、アウユ族を含む多くの先住民族が生計を立てている。全面的に開発されれば、インドネシアにおいて、最大の単一パーム農園となる。
タナメラ・プロジェクトのもと、MJRとKCPのコンセッションを含む、いくつかのコンセッションでの開発が始まっている。
MJRとKCPは、プランテーション造成のために8,828ヘクタールの熱帯林を伐採したが、そこでの生産の痕跡はほとんど見られなかったことから、環境林業省は2022年に両社の森林伐採権を取り消し、残りの65,415ヘクタールの熱帯林を保護するよう命じていた。両社は、環境林業省を提訴、ジャカルタ高等行政裁判所(PTTUN)に上訴して、2024年2月に彼らに有利な判決が下されていた。
その結果を受けて環境林業省とアウユ族は、最高裁判所に上訴していた。2024年12月、最高裁判所はPTTUNの判決を覆し、森林利用を規制する環境林業省の権限を支持、企業がアブラヤシ農園造成のためにこれ以上の森林伐採を行うことを禁止じたのである。
この判決により、さらなる伐採は阻止されるものの、アウユ族に土地の権利が付与されることはなく、将来的に強制移住させられる危険性が残っている。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2025/03/indonesian-court-blocks-palm-oil-expansion-but-leaves-indigenous-land-rights-in-limbo/