中国の森林(1)
中国の森林(1)
中国はロシア、カナダ、アメリカに次ぐ世界で4番目に国土面積の広い国で(1)、土地資源のタイプも多様です。しかし、山地が多く平地が少ないため、国土全体のうち、森林の占める割合は高くはありません。さらにその分布は均一ではなく、多くは東北地区と西南地区の山間地帯に集中しています。
東北森林区
大興安嶺、小興安嶺、名山の長白山などを含む中国最大の天然林地帯。森林面積は全国の 26.9 %、森林蓄積量は全国の 32 %、森林被覆率は
37.6 %。 カラマツやチョウセンマツなどの 針葉樹林のほか、シラカバ、ヤチダモ、などの広葉樹林がある、針広混交林です。伐採による更新及び人工的な植林により、この森林区内の人工林の割合はさらに増加しています。
西南森林区
青蔵高原の東南部に位置する中国第2の重要な天然林区。区内の海抜の高低差は大きく、森林は主に海抜 4000m 以下の山の中下部に分布しています。森林面積は全国の
19.5 %、森林蓄積量は全国の 39.7 %、森林被覆率は 28.3 %。針広混交林で、多種の冷杉や雲杉、落葉松、などのほか、チークやマホガニーなど希少な樹種もあります。また、森林区内には多くの希少動物も生息しています。この森林区は長江支流の上流に位置しているため、森林の水源としての機能も重視しなければなりません。
1977年以来、「全国森林資源清査」(2)が実施されており、
1999年から2003年までに第6次の調査が完了しました。その結果によると、中国の森林総面積は 1 億 7500 万 ha。世界の森林面積の
4.5 %に相当し、ロシア、ブラジル、カナダ、アメリカに次いで世界第 5 位の広さです。森林蓄積量は 124 億 5600 万 m3で、森林被覆率は
18.21%(3)。前回の第 5 次( 1994 - 1998
年)の結果と比較すると、森林面積は 1596 万 ha増え、被覆率は 1.66%上昇しました(4)。また、人工林の定着面積は
5325 万 7300 haで世界トップです。
そして環境保護と経済発展の必要性から、大規模な植樹造林が継続的に行われており、 2001 年以降では新たな人工林が年間 800 万ヘクタール以上のペースで増えています(5)。しかし、手つかずの森林については、国内の森林資源全体のわずか
2 %程度( 5 億 5448 平方キロメートル)とも言われており (6)、今後の天然林資源の厳格な保護が求められています。
(2) 5 年ごとに省、区、市単位で実施される全国的な森林資源調査。調査の目的は、全国および省、(区、市)の森林資源の現状およびその増減変化の状況を把握し、森林資源の変化の趨勢をマクロ的に分析し、全国的な林業政策を策定し、各種の林業規則・計画を策定・調整し、科学的方策の根拠となる森林資源の発展状況を予測することである。
(3) 香港、マカオ行政区及び台湾省の森林資源データを含む。さらに、国家特別規定の灌木林を含む。
(4) 国家林業局, 「第6次全国森林資源清査主要結果」
(5) 2005 年 1 月国家林業局雷加富副局長による「第 6 次全国森林資源清査結果」に関する記者会見での発言(
http://www.people.com.cn/GB/huanbao/1072/3127533.html )
(6) 国際環境 NGO グリーンピース中国, 「中国森林」