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02. 世界の森林事情

中国

中国の森林(2)

中国

中国の森林(2)

2009年5月掲載

中国の森林資源保護における課題
中国における森林資源の管理は中華人民共和国森林法(1984年制定、98年改正)を根拠法規として実施されています。中国の森林資源保護については、主に以下の3つの課題が挙げられます:

1.森林資源の全体的な不足
中国の森林被覆率は世界平均の 61 %程度で世界第 130 位です。人口一人当たりの森林面積も 0.132 ヘクタールで、世界平均の
4 分の 1 にも達していません。このように、中国は森林面積、蓄積量ともに世界有数であるものの、広大な国土面積に比べると、相対的には森林資源の乏しい国であると言えます。中国政府は
2010 年には、森林被覆率を 19 %以上、 2050 年には 26 %以上に高めることを目標にしています (1)

2.森林分布の不均衡
地域別に見ると、森林分布は東北、西南地区に偏っており、黒竜江省、吉林省、内モンゴル自治区、四川省、雲南省、チベット自治区の6省・自治区だけで、全国の森林面積の約半分を占めています。一方、華北、西北地区の森林資源は非常に少なく、西北5省および自治区(陝西省、甘粛省、青海省、寧夏回族自治区、新疆ウィグル自治区)については国土面積の
32 %を占めるにもかかわらず、森林被覆率はわずか 6 %、特に新疆ウィグル自治区はわずか 2.94% です。 甘粛省などの乾燥地域では近年砂漠化が急速に進んでいます。

3.低い森林経営水準
人工林についてその面積は世界トップを誇っていますが、経営水準は決して高くはありません。樹種は単一で、中幼齢林の割合が多く、また植林後の管理能力も高いとは言えません。

林地の所有形態
中国では森林の個人所有は認められておらず、 森林資源は憲法の規定に基づき、すべて国家所有に属します (2)。経営主体等により国有林と集団所有林「集体林」の2種類に分けられます。
2005 年現在の面積は 、国有林は 7,334 万 3,300 ha、集体林は 9,944 万 3,700 ha(3)、集体林が全体の
6 割近くを占めます。 国有林は国による統一的な管理・経営が行われていて、主に東北・西南地区に分布しています。

一方、集体林は、農民が共同で所有し集団で管理・経営している森林を指します。 所有権は県レベル以下の地方人民政府と自治体に属しています。近年は改革・開放下での市場経済の導入で経営合理主義が取り入れられ、経営方式も多種に渡っています。
集体林が多く分布しているのは、「南部集体林地域」(4)や海岸沿いの地域です。中国の森林の約
6 割を占める集体林は国内の木材生産および非木材林産品の多くを供給していて、所有者および国家双方の生活・利益において重要な役割を果たしています。

林木の所有については、農民や都市住民が住居周辺に植栽した林木はその所有が認められているほか、荒廃林で造林を行った場合には、その林木は作業を行った者の所有となります
(5)。林木や林地について林権に関する認識と管理が不十分なため、所有権や利用権をめぐる問題も生じています。中央政府は使用権と経営権の自由化、収益権を確保するため、近年は林地所有権の改革を進めています。

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(1) 2007年 6月「世界生態保護フォーラム」における国家林業局李育材副局長の発言
(2) 森林資源には森林・林木・林地、及び森林・林木・林地に依拠して生きる野生動物、 植物、微生物が含まれる。
(3) 国家林業局, 「2005 中国林業基本状況」
(4) 長江周辺の 10 の省・自治体(広東、海南、湖南、湖北、江西、福建、貴州、浙江、広西、安徽)
(5) 中華人民共和国森林法第 27 条