新しい年が明けました。皆様におかれましては良い年を迎えられましたでしょうか。昨年はウクライナ侵攻、物価高騰、円安など世界情勢が大きく変化し、その暮らしへの影響を実感する1年でした。気候変動や生物多様性については年末に開かれた条約の締約国会議で前進も見られましたが、危機的状況を脱することができるかどうかは、今後の実践努力にかかっています。
EUでは森林減少に寄与する製品の輸入規制が合意されました。サプライチェーンの先の合法性確認だけでなく、森林破壊を止めるための取り組みが今後どのように進み、日本はどう取り組むのか、注目されます。
これまで世界のニュースは原則月末発行でしたが、事務局の都合により今後は毎月3日頃の発行となります。
2023年も、フェアウッド世界のニュースをよろしくお願いします。
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【森林保全・森林再生】
●2022.12.19 AFPBB News:COP15、生物多様性の回復目指す歴史的な目標を採択
カナダ・モントリオールで開催中の国連生物多様性条約第15回締約国会議は19日、環境破壊の影響を受けた生物多様性の回復を目指し、歴史的となる目標を採択した。新目標には、2030年までに世界の陸、海の少なくとも30%を生態系保全区域とすることが盛り込まれた。また、富裕国が開発途上国に対して行う環境保全のための資金援助を、2025年までに年200億ドル(約2兆7,000億円)、30年までに年300億ドル(約4兆1,000億円)に引き上げることも目標とされた。
一方で、企業に求める生物多様性への影響報告について、義務付けには至らず推奨にとどまるなど、幾つかの点で不十分さも指摘されている。米国は共和党議員の反対を受け生物多様性条約に参加していない。
原文はこちら
https://bit.ly/3Wrm8o4
●2022.12.6 Mongabay:人間の正義が生物多様性喪失を止める鍵(研究結果)
生物多様性条約COP15開幕直前に公表された論文で、科学者チームは生物多様性喪失に歯止めをかけ、回復させるための努力は、自然と人間の両者をポジティブな方向に進ませるためのものでなければならないと述べた。生物多様性喪失の主要因や、「保全活動の対象となる低所得国」と「自然の恩恵の公正な分け前を過度に消費してきた高所得国」の不平等の問題に取り組む必要があり、この問題に対応しなければ保全に向けた行動の目標やタイムラインを達成できない可能性がある。科学者グループ、地球委員会のメンバーらは、生物多様性喪失の要因に取り組み、すべての人々の福祉の最低水準を引き上げ、過剰消費を減らし、すべてのコミュニティの権利を尊重することで生物多様性を回復させるというロードマップも提供している。
共著者の一人、イギリス・エクセター大学レントン教授(気候変動・地球システム科学)は、生物多様性喪失の主要因は過剰消費、とくに企業による過剰消費であるという。「我々の社会は、欠陥のある政治経済システムとなっており、究極的には我々すべてにとって有害だが、ほとんどの脆弱な人々にとって特に有害な、異様なほどの過剰消費を可能にしている。自然の喪失により最も苦しんでいる人々は通常は裕福ではない」とレントン教授は述べている。
原文はこちら(英語)
https://bit.ly/3C3DpM1
【森林減少】
●2022.12.14 JETROウェブサイト:EU、森林破壊関連品の販売を規制する規則案に暫定合意
EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会は12月6日、森林破壊防止のためのデューデリジェンス義務化に関する規則案について暫定的な政治合意に達した。規則案は、気候変動対策と生物多様性の保護のため、EU域内で販売もしくは輸出する対象品が森林破壊によって開発された農地で生産されていないこと(「森林破壊フリー」)を確認するデューデリジェンスの実施を企業に義務付ける。違反した事業者には、EUでの年間総売上高の少なくとも4%の罰金を科す。デューデリジェンス義務の対象となるのはパーム油、牛肉、木材、コーヒー、カカオ、ゴム、大豆。対象産品を原料とする製品にも適用する。
これらの対象品をEU市場に上市、供給、またはEUから輸出する事業者は事前に、その産品が「森林破壊フリー」で生産国の法令を順守していることを確認するデューディリジェンスを実施し、管轄する加盟国当局への報告が求められる。欧州委員会は規則の発効から2年以内に対象品などの見直しを行う。今回の暫定合意を受けて、EU理事会と欧州議会は今後、それぞれ規則案の正式な採択を行う。規則案はEU官報掲載から20日後に発効するが、一部規定は発効から18カ月後に適用が開始される。
原文はこちら
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/12/79262300dda44aad.html
●2022.12.8 Mongabay:森林破壊由来の輸入品に関するEUの法律、ブラジルのセラード保全は対象外
生物多様性条約COP15開幕の前日、EUは森林破壊地域由来の大豆・ココア・パーム油などの産品の輸入を禁止する法律案に合意した。制定されれば、この種の法律としては世界初となるが、活動家はこの法律が対象としているのは森林のみで、生物多様性の高いブラジルのセラードなどの「樹木が茂る森林以外の土地」は対象となっていないと述べている。ブラジルのセラードの半分は、ほとんどが中国やEU向け大豆の栽培地として開発されている。また先住民族の権利・人権に関する国際法の尊重を企業に要請する提案も、最終法案に盛り込まれなかった。
この法律により、ゴム、木炭、印刷物、いくつかのパーム油関連品についても対象となった。しかし、鶏の飼料としてEUにしばしば輸入され、アマゾンの森林減少と関連があるトウモロコシは対象外。産品生産者に融資する金融機関も適用外となった。この法律は来年、正式に採択され、施行される予定である。ブラジルのセラードは、8つの主要河川流域が人々の生活と水力発電を支えており、水のゆりかごとも呼ばれる。雨水はサバンナの植物の地下深くにある根に集まり、8カ月にわたって続く乾期のあいだも川の水を保持する。ブラジルのNGO、ISPNが支援した研究によると、近年、森林破壊、灌漑、地球規模の気温上昇により川の流量は15.4%減少している。
原文はこちら(英語)
https://bit.ly/3WJq7Mn
●2022.11.28 Sustainable Japan:食品大手38社と農業産業連盟、大豆での森林破壊ゼロ保証で協働。行動計画も(イギリス)
英食品関連大手38社と英農業業界団体の農業産業連盟(AIC)は11月17日、英国で使用する飼料大豆が森林破壊を伴わないことを保証するための協働について発表した。38社とAICは、英国の輸入大豆に関する四半期毎の森林破壊リスクレジスターを作成し、森林破壊・転換のない大豆輸入の進捗モニタリングを実施。専門家の支援を受け、サプライチェーン横断的なガバナンスグループが、リスクと責任を共有する共同移行計画の策定も進める。AICは、独立した第三者機関が検証した英国向けの新たな森林破壊・転換防止基準の開発にもコミットし、森林破壊や土地転換のない大豆使用への移行について、署名企業の野心的なアクションを促す。
原文はこちら(一部有料記事)
shorturl.at/osLVY
●2022.11.16 Mongabay:高級チョコレート会社はコンゴの森林を救えるか?
チョコレートの普及は、コンゴ民主共和国(以下、DRC)でカカオブームを巻き起こし、紛争で貧困に陥った人々による原生林破壊を深刻化させた。DRCの森林減少は過去5年間で悪化している。マイティ・アースの元キャンペーン・マネジャーによると、DRCのカカオ産業はまだ規模が小さいが、コンゴもコートジボアールのように広い面積の原生林を失う可能性が非常に高い、という。DRC東部での紛争から北部に避難してきた人々が北部の原生林の土地を購入し、追加の収入を得るためカカオ生産を始めている。
高級食品会社・オリジナルビーンズは、地元NGO、IDADとともに、ヴィルンガ国立公園近隣で、アグロフォレストリーで有機カカオを栽培し、村の女性達に持続的な収入形態を提供しつつ森林減少に歯止めをかけようとしている。同社は、高級チョコレートの生産が、地域の生産者への公平な支払いを確保しながら、大量生産することなく十分なお金を生み出せる解決策であると述べている。これまで30万本近くの木を植え、1ha当たり1,111本のカカオの木を植栽した。しかしアグロフォレストリーの専門家は、このプロジェクトが外来の樹種を国立公園の緩衝地帯に植栽し、すべての持続可能性の推奨事項には従っていない、としている。プロジェクトの活動報告によると、IDADは隣国ウガンダで侵入種として知られている樹種のみを植栽している。
原文はこちら(英語)
shorturl.at/FTX02
【バイオマスエネルギー】
●2022.12.26 NNA ASIA:EFBペレット燃料を生産へ TESSグループ、年産20万トン
省エネや環境対策エンジニアリングを手がけるTESSグループ(大阪市)は、インドネシアでパーム由来のバイオマス燃料「EFB(空果房)ペレット」の生産に乗り出す。スマトラ島北部に年産能力20万トンの工場を建設し、2025年に生産を開始する計画だ。EFBペレットは、パーム油を搾油する際に副産物として発生する空果房をペレット化した固形燃料。
EFBペレットは、日本の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)でバイオマス燃料として認められていないため、日本ではまだ使用事例がないが、TESSグループの関係者は「新しいバイオマス燃料の原料として、EFBペレットの先行きは明るい」とみる。「(EFBペレットについては)日本の資源エネルギー庁でも具体的な議論が進められており、新規燃料として認証される日は近い」との見方を示す。
原文はこちら
https://bit.ly/3VElYbT
●2022.12.15 The Guardian:オーストラリアの天然林の木材を燃やして発電した電気は、再生可能エネルギーとして分類されない
アルバネーゼ政権が採用した規制の変更により、原生林由来の木材の廃棄物を燃やして得られる電気は、再生可能エネルギーとして分類することができなくなる。この決定は、2015年のアボット政権の動きを覆すものである。
気候変動・エネルギー相は、この変更が2900以上の提案書が集まった意見聴取プロセスでの「説得力があり、長年にわたるコミュニティの意見」に沿ったものであるとし、「我々はコミュニティの声に耳を傾け、彼らの懸念に取り組むために行動した」と述べた。
自然保護活動家らはこの発表を歓迎しているが、オーストラリア林産物協会は、政府は「林産業に反対するグループからの圧力に屈した」と述べた。同協会の最高責任者は、「オーストラリアは、より多くの再生可能エネルギー源を必要としている時に、世界中で広く容易に使われている再生可能エネルギー源への扉を閉ざすべきではない」と述べている。
原文はこちら(英語)
https://bit.ly/3C1mvxd
●2022.12.15 ヤフーニュース:今冬、バイオマス発電所が軒並み稼働停止!(田中淳夫)
カーボンニュートラルでCO2を出さないとされる木材を燃料にするバイオマス発電への注目が増しているが……実は、急速にブレーキがかかっている。バイオマス発電所の稼働停止態が各地で頻出している。兵庫県朝来市のバイオマス発電所は、今年年内いっぱいで停止。木材が高騰したウッドショックや、ウクライナ侵攻の影響で輸入禁止となり調達が難しくなったからだ。燃料を海外に依存するバイオマス発電所も燃料価格が跳ね上がり、とくにパーム油を燃やす発電所は8カ所すべて止まった。東南アジアやカナダなどの木質ペレットも、円安と世界的な品薄で価格が暴騰。日本がもっとも輸入しているベトナム産木質ペレットの一部は、合法性や環境配慮を示す森林認証の偽装がばれて認証を剥奪された。認証されていないものは使えない。
ヨーロッパの環境NGOや研究者らは、森林破壊を助長しかねず、CO2排出量の削減にもならない木質バイオマス発電は再生可能エネルギーの枠組から除外すべきと訴え始めた。日本のバイオマス発電は、木質燃料の多くを輸入しその時点でCO2の総排出量は石炭を燃やすより多いという指摘もある。国内でも、伐採跡地の再造林は約3割しかなく、建材になる木材まで燃料にし、発電だけで熱利用をしないため5割以上のエネルギーが無駄になる。
もはやバイオマス発電は、燃料価格だけでなく脱炭素の意味からも破綻している。経済的な理由による稼働停止は、むしろ僥倖かもしれない。
原文はこちら
https://bit.ly/3C6fv2t
●2022.12.8 WFAE:環境正義の懸念が浮上するなか、ペレット工場の承認を延期
米国ノースカロライナ州環境品質局は、アホスキーにあるエンビバ社の木質ペレット工場の拡張に対する大気質許可の発行を延期し、「環境正義および公平諮問委員会」で提起された懸念-工場が環境や近隣の有色人種コミュニティに与える影響を検討している。
諮問委員会では、粉塵、他の汚染物質、騒音、交通が有色人種の低所得者に不釣り合いに影響を与える点について言及されていた。工場の拡張が承認されると、生産量が31%増加する。エンビバ社は承認により粉塵その他排出物を処理する装置を新設する必要があると述べている。エンビバ社はノースカロライナ州に4つの工場を持ち、地元の木材を原料に木質ペレットを生産し、電力生産のため欧州に輸出している。
原文はこちら(英語)
https://bit.ly/3jwzFvW
●2022.12.05 The Guardian:生物多様性条約COP15開幕前、650人の科学者が「エネルギー生産のための木材燃焼を止めよ」と訴え
650人以上の科学者が、野生生物の貴重な生息地を守るため、木材を燃やしてエネルギーを生産するのをやめるよう世界の指導者たちに促している。指導者達宛の書簡によると、ネットゼロ目標のため森林バイオマスへの依存が進んでいるが、バイオエネルギーがカーボンニュートラルというのは誤りで、「気候と生物多様性にとって最善なのは、森林をそのままの状態で保全することで、バイオマスエネルギーはその逆である」という。また、「COP15で2030年までの陸と海の30%保全に合意するならば、バイオマスエネルギーへの依存に終止符を打たなければならない」と述べている。
書簡の筆頭著者で英国キュー王立植物園科学部長のアントネリ教授は、「エネルギー安全保障の確保は重要な社会課題だが、答えは貴重な森林を燃やすことではない。これをグリーンエネルギーと呼ぶことは誤解を招き、世界的な生物多様性の危機を加速させる恐れがある」と言っている。国際エネルギー機関(IEA)のレポートでは2030年までにバイオエネルギーは「低炭素」エネルギーの3分の1を構成することになるとみられている。英国は木質ペレットの最大の輸入国であり、2019年には500万トン以上を米国から輸入した。バイオマス燃焼は英国のネットゼロ戦略の重要部分であり、この10年間で56億ポンドの助成を受けている。
原文はこちら(英語)
https://bit.ly/3GkX904
●2022.12.01 The Guardian:カナダは地球環境より木材貿易を優先と非難される
森林破壊ゼロの貿易に関する世界で最も野心的なEU規制の効果がカナダ政府により弱められようとしていたことがリークされ、カナダ政府は地球環境よりも国内の木材産業を優先していると非難されている。生物多様性条約COP15がモントリオールで開催される数週間前、カナダ政府は欧州委員会に書簡を送り、EUが提案中の規則案にある、手間のかかるトレーサビリティ要件を再考するよう、要請していた。カナダのEU駐在大使キャンベル氏からの書簡もまた、実施を遅らせる段階的アプローチを要求し、リスクとみなす地域に劣化した森林を含める計画の再考を要求していた。米国を拠点とする環境保護団体、マイティ・アースは、「今回のEUの規則案はあらたな世界標準になると考えられ、森林保全の転換点になり得る。そうしたなか、カナダ政府がこれを骨抜きにしようとしているのは大変遺憾である」と述べている。
原文はこちら(英語)
https://bit.ly/3vjvCWn
●2022.11.9 日経新聞:国際農研、第2号VB設立 パーム油バイオマスを再資源化
国際農林水産業研究センターは9日、同センター発のベンチャー企業第2号を設立したと発表した。これまで未利用だったオイルパームバイオマスを原料とする燃料や資材製造のための事業化コンサルティングなどを手がける。
パーム油製造に伴い、大量に発生する残さや古木を再資源化し、環境負荷低減に役立てる。
原文はこちら(一部有料記事)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC09AUH0Z01C22A1000000/
【コミュニティ】
●2022.12.19 TBS News:「ひとりで食べることもできない」ブラジルのアマゾンで先住民の子どもたちに広がる健康被害
アマゾン川の支流をボートで5時間ほど遡った奥地に、先住民ムンドゥルク族の集落がある。8歳のアレックスくんは成長とともに障がいが明らかになってきた。父アオド・カロさん「物をつかめず、ひとりで食べることも座ることもできません、少ししか話すことができません。(医師の診療でも)どこに問題があるのか、答えが出ないのです」。異変が起きているのは彼だけではない。州立病院ジェニングス医師は「最も懸念しているのが、脳の異常とともに生まれてくる子どもです。この地域では多くの子どもがこのような症状を持っています」「地域全体で100人以上が神経系の異常で亡くなっています、そのほとんどが子どもでした」という。国立の研究機関による検査は、アレックスくんの毛髪から検出されたのは国際基準を大きく上回る高濃度の「水銀」だとしている。「水銀は母親の胎盤を通して胎児の脳に異常を引き起こします。先住民地域には、歩けない子どもや脳性麻痺の子どももいます。水銀中毒によるものと考えられ、体系的に研究することが必要です」(ジェニングス医師)
記者は報告する「あちらに停泊している船が金の違法採掘船です。作業の過程で水銀を大量に使用すると指摘されています」。拡大を続ける金の違法採掘で使われる水銀が川に流入し、汚染された魚を食べることで健康被害が起きているのではと指摘されている。
「水銀は使ってはいるが、外部に流さない仕組みにしている」(金の違法採掘業者)。これに対し、ムンドゥルク族首長は「金の採掘業者が言っていることは事実ではない。川に捨てられる水銀の量も増えています。先住民族は自分たちの健康をとても心配しています」と訴えている。
原文はこちら
http://bitly.ws/yv3V
●2022.12.1 Mongabay:インドネシア政府、パプア州先住民の慣習林を初めて認める
インドネシア政府は10月24日、政府として初めて、パプア州東部の森林(ニューヨーク市の半分の広さ、39,911ha)の管理を放棄し、7つの先住民コミュニティの慣習林を認めた。公式に承認された慣習林は、西パプア州のオゴニの森とパプア州のジャヤプラにある。パプア州では、プランテーション・伐採・鉱山採掘が拡大し、先住民グループはこれらの開発から法的に守られていない。そのなかでパプア州の慣習林が政府に認められたことは、意義深い、と専門家は述べている。今回の公式承認により、当該地域ではいかなる商業活動のライセンスも発行されなくなる。承認は、慣習林は国有林に分類されないとする2013年の最高裁判決からほぼ10年後に行われた。この判決以前は、インドネシアの全ての森林1億2,000万haが国の管理下に置かれていた。最高裁判決を受けて憲法裁判所は、政府の森林と重複する慣習林の管理を先住民に手渡すよう政府に命じていた。しかし、それ以後2022年10月までに政府が放棄した森林は10万8,577haに過ぎず、これまでパプア州では政府が放棄した森林はなかった。活動家達は今回の動きを歓迎しているが、パプア州で公式承認を待つ先祖代々の森は数百万haにのぼる。
原文はこちら(英語)
https://bit.ly/3WLFzry
【パーム油問題】
●2022.11.17 Mongabay:パーム油アライアンスの調査結果:規制違反および刑罰について
ラテンアメリカの6か国(コロンビア、エクアドル、グアテマラ、ホンジュラス、コスタリカ・ブラジル)での、2010~2021年のパーム油生産者の環境違反への罰則情報収集のため、ジャーナリストらが各国に開示を要請した。内訳は2021年に70件開示要請、2022年に121件、計191件。開示情報をまとめたデータベースは昨年公開され、現在170社と個人に対する298件の情報が掲載されている。最も多いのはコロンビアの176件、グアテマラ60件、ブラジル44件。環境違反の内容は、環境規制違反141件、森林伐採61件、用水の流用等51件など。約80件はパーム油生産者が罰則を科され、なんらかの賠償金の支払い、生産プロセスの改善、あるいは最終的に罰則を適用されなかったことが確認された。
しかし多くのケースでは、政府当局は問題が発生した年(102事例)や企業名等(17事例)といった基本情報さえ提供していなかった。こうした情報を政府当局が把握していないということは、パーム油産業の環境への影響について政府当局による管理や監視が弱いことの反映である。ラテンアメリカでのパーム油産業は今後成長が予測されているため、今後数年のあいだに生産の悪影響は増大する可能性がある。
原文はこちら(英語)
https://bit.ly/3vAANRZ
【日本は今】
●2022.12.26 日経クロステック:枠組壁工法で国産材の活用へ、協議会立ち上げ
2022年11月、輸入材に頼りがちだった枠組壁工法で国産材を活用しようと、建築・製材事業者が協議会を立ち上げた。協議会の名称は「ツーバイフォー建築における国産木材活用協議会」。発足人は協和木材(東京都江東区)、三井ホーム(東京都新宿区)、三菱地所住宅加工センター(千葉市)など、サプライチェーンの「川中」にあたる製材事業者、「川下」にあたる建築事業者、計8社・1団体。会員は2022年12月時点で、正会員と賛助会員合わせて34社・3団体に上る。
原文はこちら
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00461/121200059/
●2022.12.23 読売新聞オンライン:狙いは中小企業や農林水産・介護の人材育成…経費の半分、自治体に特別交付税で支援
総務省は地域の中小企業や農林水産業、介護などで必要な人材を確保するため、来年度から新規に地方自治体の取り組みに係る経費の5割を特別交付税で支援を推進する、地方財政措置を創設する方針を固めた。全国知事会から地方独自の取組に対する支援の要望が出ており、それに応える形となる。林業・木材産業分野では、宮城県がデジタル人材育成に向けた研修を実施するなどしている。
原文はこちら
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20221223-OYT1T50147/
●2022.12.18 NHK:「生態系破壊」野生のシカ 昨年度72万頭捕獲も食害が深刻化
日本国内ではいま、野生のシカが増え、森林や山岳の生態系が脅かされる被害が深刻化している。環境省によると、全国のニホンジカの生息数はおよそ200万頭と推計されており、昨年度は過去最多の約72万5000頭が捕獲されたが、適正な生態系に戻すために管理が追いついていない状況となっている。
原文はこちら
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221218/k10013927001000.html
●2022.12.1 時事ドットコムニュース:環境配慮型住宅の特別優遇対象商品追加について
住信SBIネット銀行株式会社は、SDGsの達成に向けた住宅の脱炭素化への取組みの
一環として、2022年12月1日(木)より一般社団法人日本木造分譲住宅協会が発行する「国産材使用割合証明書」にて国産材を95%以上使用していることが確認できる住宅の新規購入を資金使途としたフラット35(保証型)の融資事務取扱手数料を引き下げる。
原文はこちら
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000158.000037968&g=prt
【中国情報】
●2022.12.20 国家林業草原局政府ネット:2021年の中国の集成材輸出量はここ10年で最高
中国林産工業協会と国家林業草原局産業発展計画院が作成した『中国集成材産業報国2022』が公表された。『報告』では、2021年の中国の集成材及び接着剤の生産、消費、分布、国際取引、技術装備、標準品質、環境保護、安全な生産及び最近の業界の政策や争点等について紹介・分析し、今後の発展に関する評価も行っている。2021年は、中国の集成材類製品の輸出量は昨年同期比37.8%増という大幅増加の1646.36万立方メートル、輸出額は72.25億米ドル(同44.2%増)で、最近10年の最高を達成した。さらに中国の集成材の生産量も3.37億立方メートル(同8.3%増)で史上最高であったことを示している。そして消費量は約3.18億立方メートルで、前年同期比7.5%の増加であった。
原文はこちら(中国語)
http://www.forestry.gov.cn/main/586/20221220/081305455968511.html
●2022.12.14 ウルムチ税関:ロシア税関による違法な中国向け輸出木材の摘発は昨年の8倍に
ロシア連邦税関の発表によると、2022年初めからロシア側で摘発された違法に輸出された木材は3.35万立方メートルにのぼり、これは昨年一年間の摘発量(3,965.9立方メートル)の8倍以上である。ロシア極東、シベリア及び西北部の税関当局による摘発量が最も多い。
原文はこちら(中国語)
https://bit.ly/3QfqeNM
●2022.12.13 界面新聞:ロシア林業の巨頭Segezhaが欧州向けの輸出を停止し、アジア、エジプトに転換
12月9日付のロシアの通信社スプートニクによると、ロシアAFKシステム社傘下の林業企業Segezhaグループは、すでに欧州向けの輸出を停止し、大部分をアジアおよびエジプトに転換することを表明した。これまで同社は主に欧州向けに合板その他の木材を供給してきた。
原文はこちら(中国語)
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1751726249046337083&wfr=spider&for=pc
●2022.12.12 中国木材網:カザフスタンが木材輸出禁止令を公布
カザフスタンは12月9日から一部の分類の木材に対する輸出禁止令を公布した。この禁止令は木材産業の発展及び木材の違法な再輸出の防止のために実施された。禁止令はカザフスタン共和国産業インフラ発展省によって2022年12月7日に公布された690号『木材輸出問題に関する法令』に基づいて実施され、12月9日に発効した。
原文はこちら(中国語)
http://www.chinatimber.org/news/80530.html
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☆クリーンウッド法第一種登録事業者対象アンケート(第4回)を開始
(締め切り:1月23日)
https://fairwood.jp/topics/221213cwaquestionnaire04/
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クリーンウッド法のより効果的な運用の寄与するため、フェアウッド・パートナーズでは国等への提言活動や事業者向けの情報提供を行っています。同法の目的達成のカギとなる事業者による合法性確認(デューデリジェンス)の実態を把握することを目的に、第一種事業登録事業者を対象としたアンケートを12月13日から開始しました(回答締め切りは2023年1月23日)。アンケート対象は、2022年9月末日現在でクリーンウッド法の第1種事業登録をしている事業者232社です。12月13日づけの郵送にて依頼状を発送しておりますので、ご回答にご協力いただけますようお願いします。
アンケートの詳細は以下からご覧ください。
https://fairwood.jp/document/221213cwaquestionnaire04/
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☆第68回フェアウッド研究部会
『森林飽和』と現代社会~今、改めて考える私たちにとっての「森林の価値」
2023年1月25日(水)18:00~20:00@オンライン
https://fairwood.jp/event/230125/
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長く輸入材に大きく依存し、18.2%(2002年)まで低下した木材自給率も昨年は41.1%まで回復してきました。そのような状況にある国内森林資源を背景に、積極的な国産材の利活用に関する議論が活発です。
一方、昨今の気候変動・地球温暖化対策への関心の高まりや頻発する豪雨災害を受け、森林の炭素固定機能や防災・減災の観点から、多様な分野・業界から「森林」への関心が高まりつつあります。SDGsの時代、「森林は私たちの生活にとって大切なもの」という共通認識も醸成されつつあります。しかし生活者としての私たちは、どこまで実感として「森林の価値」を理解しているのでしょうか?
今回は『森林飽和』の著者、太田猛彦氏をお迎えし、有史以来もっとも蓄積量は充実していると言われ国内森林資源がある「今」だからこそ、改めて歴史を振り返りながら、私たちと森林との関係性における「森林の価値」について、より深く考えます。
【開催概要】
日 時:2023年1月25日(水)18:00~20:00(開場:開始の5分前)
会議URL:お申込みいただいた方に後日ご案内いたします(ZOOM利用を予定)
参加費: 1,000円
※お申込みいただいた方で希望のある場合は、当日の録画アーカイブを後日、期間限定でご覧いただくことが可能です。
【プログラム】(敬称略、内容は予告なく変更することがあります)
第1部:講演(18:00~19:30 質疑含む)
講師:太田猛彦/東京大学名誉教授
第2部:懇親会(19:30~20:00)
(希望者のみ、お飲み物等はご自身で準備ください)
●お申込サイト(peatix):https://fwkenkyu68.peatix.com/
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☆プレスリリース:クリーンウッド法見直し、判断基準の明確化とDDレベルの向上が必須
~ルーマニアから輸入される木材製品に対するDD実態アンケート調査結果を公表
https://fairwood.jp/topics/220428release/
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フェアウッド・パートナーズではルーマニア材調達に関するアンケート結果などから、商社などが行っている木材調達デューデリジェンス(DD)の実態の分析を行い、クリーンウッド法の課題を指摘するプレスリリースを公表しました。2022年に予定されている同法の見直しにおいて、リスクという考え方を取り入れたうえで、情報へのアクセス、リスク評価、リスク緩和措置に関する詳細なDD実施方法や実施のために必要なリスク情報を示すことを、フェアウッド・パートナーズでは関係政府機関に働きかけていきます。プレスリリースとアンケート調査結果は、以下をご覧ください。
https://fairwood.jp/topics/220428release/
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☆動画「ホント?ウソ? バイオマスはカーボンニュートラル?」を公開!
https://www.youtube.com/watch?v=3zsA48bGmUQ
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国際環境NGO FoE Japanでは、バイオマス発電を問う動画を作成しました。
バイオマス発電は、カーボンニュートラルと言われますが、本当でしょうか?森林は、樹木、地上に落ちた枝や葉、土の中にたくさんの炭素を蓄えています。特に、長い年月をかけて形成された天然林や、湿地や泥炭地に生えている森林は、地上部だけではなくて、地下にも大量の炭素を蓄えているのです。伐採して森林がなくなってしまうと、蓄えられていた炭素は、やがてCO2の形で空気中に排出されます。森林が元通りになれば、伐採のあと、放出されたCO2は、森林が回復する過程で吸収され、再び固定されます。しかし、それまでの間、大気中のCO2は伐採された森林の分だけ「増えている」状態が続いているのです。
森林がもとの状態に戻るとは限りません。この場合、森林に蓄えられた炭素は、CO2として大気中に放出されたままです。こうした状況をわかりやすい6分ほどの動画にまとめました。ぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=3zsA48bGmUQ
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☆パーム油のワークショップ教材
「パーム油のはなし」2/『知る・考える・やってみる!熱帯林とわたしたち』
https://plantation-watch.org/palmtextbook/
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地球・人間環境フォーラムもメンバーであるプランテーション・ウォッチと、開発教育協会(DEAR)が共同でワークショップ教材を制作・販売しています。シンプルで使いやすい10の授業案(アクティビティ)と専門家による11つのコラムを収録しています。今年の新聞記事を使いながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と熱帯林のつながりを考える授業案も収録しています。森林減少、生物多様性、気候変動、そして、消費に焦点を当て、「持続可能な社会」と「アクション(行動)」を学ぶことができます。知って、考えて、動き出す。世界にはパーム油以外にもたくさんの問題がありますが、私たちが動くことで状況を変えていけるはず!
▼概要
・編集・発行:開発教育協会、プランテーション・ウォッチ
・2020年7月、A4版48ページ
・ダウンロード資料:写真9枚(A4カラー)
・一般価格:本体¥2,000+税(図書館価格¥4,000+税)
・対象:小学校高学年以上
▼お問合せ・ご購入申込
認定NPO法人 開発教育協会(DEAR)
Tel: 03-5844-3630 Fax: 03-3818-5940
〒112-0002 東京都文京区小石川2-17-41TCC2号館3階
http://www.dear.or.jp/books/book01/5190/
※本体価格のほか送料・手数料がかかります(1冊の場合税込550円~)
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フェアウッドカフェ ショッピングサイト
https://www.fairwood.jp/cafe/
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森や作り手の見える木製品がみつかるフェアウッドカフェのショッピングサ
イトでは、お買い物の際、カード決済、銀行振り込み、コンビニ
決済がお選びいただけます。
何の木なのか、どこで育った木なのか、誰の手で生まれ変わったのか、ひと
つひとつ物語や想いのつまった商品をご紹介していきます。フェアウッド
カフェは、使ってくださるあなたや、あなたの大切な人にフェアウッドな
暮らしを提案します。
ぜひご利用ください。
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☆フェアウッド・パートナーズのWEBサイト
「クリーンウッド法に対応する木材DDのための実践情報」
https://www.fairwood.jp/consultation/howto_dd.html
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2017年5月20日施行された「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(通称「クリーンウッド法」)」に対応するのに望ましい木材DD(デューデリジェンス)を行うための実践的な情報をお届けします。
■合法性確認とデューデリジェンス
■合法性確認のための木材DDのステップ
■国別リスク情報
問合せ 「木の流れから、未来をつくる」フェアウッド・パートナーズ
Eメール:info@fairwood.jp
国際環境NGO FoE Japan(三柴、佐々木、TEL:03-6909-5983)
地球・人間環境フォーラム(坂本、飯沼、TEL:03-5825-9735)
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☆パーム油について知るためのWEBサイト紹介
『あぶない油の話』パーム油のことを知るサイト
http://plantation-watch.org/abunaiabura/
「パーム油調達ガイド」
http://palmoilguide.info
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プランテーション・ウォッチでは、パーム油の消費者向けと企業向けのウェブサイトを立ち上げています。
一般消費者向けには、『あぶない油の話』パーム油のことを知るサイトを通じて、パーム油が身の回りの多くの食品に多く含まれていること、そのパーム油の生産のためのプランテーション 開発が引き起こしている環境問題や社会問題について伝え、情報を発信しています。
パーム油を調達している企業向けには、パーム油の調達リスクに対処し、サプライチェーン管理を実践するための情報や手順をまとめた情報提供サイト「パーム油調達ガイド(http://palmoilguide.info)」があります。
是非、サイトをご覧いただき、ご活用ください。
『あぶない油の話』パーム油のことを知るサイト
http://plantation-watch.org/abunaiabura/
「パーム油調達ガイド」
http://palmoilguide.info
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☆森林と私たちの暮らしのつながりについて学ぶ教材
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世界の森林問題について学んでもらうための映像教材をフェアウッド・パートナーズが関わり作成しています。社内や地域での環境・森林をテーマとした勉強会等の企画に活用ください!
■映像資料
「人と木」(無料)
http://www.gef.or.jp/activity/forest/hitotoki/
「木の来た道」(定価3,000円/図書館価格:12,000円)(税別・送付料込)
http://www.fairwood.jp/news/pr_ev/2009/pr090623_publish_woew.html
「森の慟哭」(詳細下記参照)
http://www.foejapan.org/forest/palm/dvd_01.html
■お問合せ
FoE Japan(三柴) Tel: 03-6909-5983
地球・人間環境フォーラム(坂本) Tel: 03-5825-9735
E-mail: info@fairwood.org
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さい。お待ちしております。e-mail: info@fairwood.jp
発 行 : フェアウッド・パートナーズ http://www.fairwood.jp
編 集 : 坂本 有希/三柴 淳一