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フェアウッド・マガジン 世界のニュース 第249号 2025年5月2日

--- フェアな木材を使おう ---     http://www.fairwood.jp
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欧州の輸入規制下にあるロシア産のシラカバ合板が欧州市場に流入していたという報道も記憶に新しいですが、今度はブラジルからの違法材の欧州および米国市場への流入も報告されています。気候変動へつながる森林減少リスクが最も高いと言われるブラジル国内の動向と先進諸国による木材調達における環境配慮のあり方に注目が集まっています。
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【森林減少】
●2025.4.17
 SenecaEU委員会は、サプライチェーンに関して新たに導入される森林破壊防止法の下でのコンプライアンス規則を緩和
欧州委員会は、環境目標と経済的実現可能性のバランスを取るため、EU森林破壊防止規則(EUDRの実施に関するガイドラインの改訂版を発行した。これにより、同規則の中核となるESG目標は維持されつつも、企業に課せられるコンプライアンス要件が緩和される。これらの改訂は、競争力と持続可能性を高めるEU全体の取組みと整合しており、長期的なカーボンニュートラル戦略を支えるものとなっている。
2023
6月に施行されたEUDRは、企業に対し、パーム油、牛肉、大豆、カカオ、ゴム、木材などの主要商品のサプライチェーンを検証し、それらの製品が2020年以降の森林破壊の要因となっていないことの確認を義務付けている。企業は製品を原産地まで遡及し、持続可能性基準への準拠を証明する必要がある。同規則は、原材料に対してだけではなく、家具、タイヤ、チョコレートなど、これらの原材料から派生する製品にも適用される。
原文はこちら(英語)
https://senecaesg.com/insights/eu-commission-eases-compliance-rules-under-new-supply-chain-deforestation-law/

●2025.4.16 TheAtlanticトランプ氏の貿易戦争がアマゾンの森林破壊を加速させるか
アマゾンにおける火災は自然現象ではない。しかし、今やその頻度と規模は驚くべきものとなっている。農家は、乾季になると世界最大級の陸上炭素吸収源の一つであるアマゾンの土地を、数十万エーカー、あるいは数百万エーカー単位で切り開き、焼き払っている。牛の牧草地や大豆農園の開発が、ブラジル全土の森林破壊の主な要因となっている。今年1月の報告書によると、近年は特に大豆生産による森林破壊が増加している。
現在、世界的な貿易摩擦が環境破壊をさらに加速させる恐れがある。ドナルド・トランプ大統領による中国からの輸入品への145%関税、そして中国による米国製品への125%の相互関税により、中国による米国産品への需要の相当部分が、他国へ転換する可能性がある。
大豆は米国から中国への主要輸出品の一つであり、中国の需要の約30%を占める。米国産大豆への関税が維持されれば、中国はほぼ確実にブラジルからの輸入を増やすだろう。ブラジルは米国を上回る大豆生産量を誇る唯一の国であり、2018年のトランプ大統領との貿易戦争時と同様に、この傾向は顕著であるだろう。
原文はこちら(英語)
https://www.theatlantic.com/science/archive/2025/04/brazil-amazon-rainforest-trump-china-soybean/682483/

●2025.4.21 Barrons:インドネシアの食糧計画、世界最大規模の森林破壊を引き起こす恐れ
インドネシア軍兵士が、辺境のパプアでコンバインに乗り、水田を横切りながら親指を立てている。同国では、政府による食糧安全保障に関するメガ・プロジェクトが、大規模な森林破壊を引き起こす懸念を引き起こしている。
インドネシアは、米の輸入依存からの脱却を強く望んでおり、不安定である東部地域において、広大な田んぼとバイオ燃料用のサトウキビの栽培を計画している。
これに対し環境団体は、同計画が、絶滅危惧種やインドネシア政府の気候変動対策へのコミットメントを脅かす世界最大の森林破壊プロジェクトとなる可能性があると警告している。
環境活動家たちは、分離独立派の反乱が続くなか、長年にわたり軍による人権侵害の疑惑に悩まされてきたこの同地域において、この計画が人権侵害を助長するのではないかと懸念している。
原文はこちら(英語)
https://www.barrons.com/news/indonesia-food-plan-risks-world-s-largest-deforestation-14202960

●2025.2.19 Mongabay:気候変動抑制に不可欠な泥炭地、保護されているのはわずか17パーセントであることが研究で判明
世界中の泥炭地は世界のすべての森林より多くの炭素を貯蔵しているが、新たな研究により、他の生態系と比較すると保護されている割合がはるかに低いことが明らかになった。212日にコンサベーション・レターズ誌に掲載された研究によると、世界の湿地帯のうち、既存の保護区と重なっているのはわずか17パーセント、対照的に、熱帯林では保護区はその38パーセント、マングローブ林ではその42パーセントを占めていた。
泥炭地は北半球から赤道熱帯にかけて広く分布しているが、その面積は世界の陸地のわずか3パーセントを占めるに過ぎない。しかし、泥炭地をより適切に保護すれば、気候変動と地球規模の種の減少という課題に人類が取組む上で、泥炭地は大きな役割を果たし得るだろう。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2025/02/only-17-of-peatlands-vital-to-curbing-climate-change-are-protected-study-finds/

【違法伐採問題】
●2025.4.4
 EcoWatch:ブラジル・アマゾンの違法伐採木材が米国と欧州の市場で発見される:レポート
国際的なNGOである環境調査エージェンシー(EIAによる新たな調査報告書「トリックス、トレーダーズ、&ツリーズ(Tricks, Traders and Trees)」は、ブラジル・アマゾンにおける違法伐採、汚職、詐欺蔓延の実態を明らかにしている。
この調査では、違法木材の輸入を禁止し、企業にデューデリジェンスを義務付ける法律があるにもかかわらず米国と欧州連合(EU)へ、ブラジル・パラー州の5つの伐採現場からの違法木材が流入していることが分かった。
「私たちの調査は、違法木材の取引を禁止する法律があるにもかかわらず、アマゾンからの違法な木材が、EUと米国の市場で溢れ返り、合法的に操業する企業にとって不公平な競争を煽っていることを示している。欧州と米国の消費者も、地元の海辺の遊歩道を散歩する際に、違法に伐採された熱帯雨林の木材で作られたものの上を歩きたくはないだろう」と、EIA米国シニア政策マネージャーのリック・ヤコブセン氏は、同NGOのプレスリリースで述べている。
原文はこちら(英語)
https://www.ecowatch.com/timber-illegal-logging-amazon-rainforest.html

●2025.3.4 Mongabay:昨年のブラジル・アマゾンの森林伐採のうち91パーセントは違法だったことが報告書で判明
NGO
であるICVの分析によると、20238月から20247月の間に伐採された、アマゾンの森林のうちわずか9パーセント、セラードの森林のうち49パーセントのみが許可を得ていた。また、これらのバイオームに属する16州のうち、連邦政府のデータベースであるSinaflorに許可データを完全に統合しているのは8州のみであることも判明した。このため、合法的な森林伐採の追跡が困難になっている。
ICV
の「透明性と気候正義プログラム」コーディネーターであるマルコンデス・コエーリョ氏は、分断された許可制度は監視を制限し、不正行為の機会を生み出していると述べた。「そうなると不正行為の抜け穴が生じ、環境法の適用が妨げられる。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/short-article/2025/03/91-of-brazilian-amazon-deforestation-last-year-was-illegal-report-finds/

●2025.4.7 ISA:違法伐採が急増し、ブラジル・シングー盆地の森林と地域社会を脅かす
違法伐採が、シングー盆地、特に先住民族の居住地およびコリドーを構成すると保護区における社会・環境的な整合性にとっての主要な脅威の一つとなっていることが、シングープラスネットワークの報告書「シングー盆地における保護の課題-2025年の展望」において明らかになった。
デ・オルホ・ノ・シングー・オブザーバトリー(De Olho no Xingu Observatory)が作成したこの報告書は、現連邦政府の最初の2年間を分析したものである。
同報告書によると、2024年だけで、イペ、ジャトバ、セドロなどの高級木材を輸送するために、620km以上の秘密の道路が敷設されている。これは、採掘や土地収奪といった他の環境犯罪の流入を助長する要因にもなっている。その影響は壊滅的で、森林荒廃、河川の堰き止め、魚類の死滅をもたらし、地域社会は危機に瀕している。
原文はこちら(英語)
https://www.socioambiental.org/en/socio-environmental-news/Illegal-logging-is-skyrocketing-and-threatening-forests-and-communities-in

【バイオマス】
●2025.5.1
 The Guardian:ドラックス社、環境活動家と対立し年次総会を中止
ドラックス発電所の所有者は、発電のために樹木を燃やすことに抗議した活動家と対立し、年次株主総会を断念した。ガーディアン紙によると、10人から20人の活動家が、ドラックス社のノース・ヨークシャーの施設における木質バイオマスの使用について取締役会に異議を唱えた後、ロンドンの会場から強制的に排除された。
ドラックス社は、木質ペレットを燃やして発電するために何十億ドルもの再生可能エネルギー補助金を要求しているとして、環境保護団体から激しい批判にさらされている。同社は、木材は持続可能な方法で調達していると主張しているが、昨年、Drax社がペレットの調達に関する不正確なデータを提出したことが発覚し、規制当局に2500万ポンドの支払いを求められた。
取締役会は木曜日の午前1130分頃、多くの株主が取締役に質問をする前に、活動家たちの「脅迫的な行動」を非難し、会議の終了を宣言した。出席していた株主は、「活動家たちが何度も積極的に会議を妨害した」とする同社の主張に異議を唱え、この取り締まりは反対意見を封じるためのものだと主張した。
原文はこちら(英語)
https://the-guardian.livejournal.com/228341455.html

●2025.4.15 BalkanGreenEnergyNews:セルビア、木質ペレットの基準に関する初のルールブックを採択
セルビアは、木質バイオマス由来の固形燃料に関するルールブックを採択した。このルールブックは、国内市場で販売されるペレットとブリケットの品質を規制する初めてのものです。
セルビア市場で販売される木質バイオマス由来の固形燃料に関する技術要件およびその他の要件に関するルールブックは、3ヶ月後に発効する。発効までの期間で、新要件に対応するために必要な管理、遵守、是正措置のための諸機関が設立される必要がある。
同ルールブックでは、技術基準と義務的な試験分析が導入され、遵守状況の評価と製品ラベル表示に関する規則が定められている。鉱業エネルギー省によると、ルールブックでは、健康と環境に影響を与える物質の含有量の監視も想定されている。
原文はこちら(英語)
https://balkangreenenergynews.com/serbia-adopts-first-ever-rulebook-on-standards-for-wood-pellets/

●2025.3.17 住友商事:JAL、エアバス、日本製紙、住友商事、GEIが国産材由来のバイオエタノールを用いた持続可能な航空燃料(SAFの実現に向けた協業に関する覚書を締結
日本航空(JAL)、エアバス、日本製紙、住友商事、そしてグリーン・アース・インスティテュート(GEI)は、国産材由来のバイオエタノールを用いた持続可能な航空燃料(SAF)の実現に向けた協業に関する覚書(MOU)を締結しました。
日本製紙、住友商事、GEIは、20232月に「MORISORAプロジェクト」を立ち上げた。また、20252月には、木質バイオマス由来のバイオエタノールの製造・販売を行う合弁会社を設立することで合意している。この度、JALとエアバスが本プロジェクトに参画し、SAFの需給に関わる事業者と連携することで、国産SAFの活用・普及を推進していく。
この5社は、原料調達・製造時の温室効果ガス排出量削減に加え、LCAかつCORSIAに適合した国産木質バイオエタノールの製造・販売を通じて、木を「切る・使う・植える・育てる」という循環型社会の実現、雇用創出を含む地方創生、国産SAF活用などを通じて、低炭素社会の実現を目指す。
原文はこちら(英語)
https://www.sumitomocorp.com/en/mideast-africa/news/topics/2025/group/20250317

●2025.4.24 日本経済新聞:三重県松阪市のバイオマス発電所が竣工 FIT依存せず
パワーエイド三重合同会社(三重県松阪市)が運営を担う「パワーエイド三重シン・バイオマス松阪発電所」(同)の竣工式が24日開かれた。きのこ大手ホクトの三重きのこセンター(三重県多気町)の使用済み培地などを燃料として活用し、同社が電気を買い取って使用する。年間発電量は約1647万キロワット時を想定する。総事業費は約26億円。
固定価格買い取り制度(FIT)を使わず、国民負担に依存しないのが特徴だ。使用できる燃料の自由度が高く、中部圏から排出されるリサイクル木材チップやプラスチック系廃棄物も燃料として活用する。
詳しくはこちら
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC245XW0U5A420C2000000/

【森林保全】

●2025.4.10 ボルネオ・ポスト:サラワク州森林局長、伐採ではなく収益のための保全に軸足を移すと語る
マレーシア・サラワク州は現在、木材伐採から森林保護と環境に基づく収入源の開発に重点を移していると、サラワク州森林局長ダトゥ・ハムデン・モハマド氏が語った。同氏は、サラワク州がポストコロナ開発戦略2030に沿って、より持続可能で、技術主導型の方法により林業部門を変革しようとしており、この移行は極めて重要であると述べた。したがって、サラワク州はもはや主な収入源として伐採に依存することはない。
ハムデン氏は、総面積1,240万ヘクタールのサラワク州は62パーセントの森林被覆率を維持しており、保全活動の一環として、600万ヘクタールを永久森林保護区、100万ヘクタールを保護地域(TPAsとして公示することを目指していると明らかにした。
また同氏は、持続可能な森林管理を支援するために、同省は高度なモニタリング技術にも投資しており、その重要な取り組みの一つとして、2024年に締結された覚書に基づく日本の国立環境研究所(NIES)との協力を挙げた。「気候変動や自然災害を早期に検知できる衛星モニタリングなど、日本の技術をサラワク州で活用する研究が進められている。」と彼は述べている。
原文はこちら(英語)
https://www.theborneopost.com/2025/04/10/pivot-towards-conservation-for-revenue-instead-of-logging-says-swak-forest-director/
(参考)https://www.linkedin.com/pulse/mou-moa-sarawak-forestry-department-vhfyc/

●2025.3.5 Mongabayローマで再開された国連生物多様性会議に先住民リーダーらは楽観
2025
228日、ローマでの3日間の最終交渉を終え閉幕した国連生物多様性条約第16回締約国会議(COP16において、先住民族と地域コミュニティはおそらく最も目に見える進歩を遂げた。これにより、202410月中旬にコロンビアのカリで始まった2週間の会議が完了する。
生物多様性に関する国際先住民フォーラムのグローバル技術コーディネーター、ビビアナ・フィゲロア氏は、ローマからモンガベイに語った。「カリでは、伝統的知識に関する新たな活動計画の採択と交渉への直接参加という大きな成果があった。そしてここローマでは、カリ基金を通じた資金動員が行われる予定である。」
この新たな基金は、カリにおいてその設立が合意され、225にローマで設立された。正式名称は「遺伝資源に関するデジタル配列情報(DSIの利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分のためのカリ基金」で、自然由来の遺伝情報を商品に利用する製薬業界やバイオ・アグリカルチャー業界などからの寄付を受け付ける。調達された資金の50パーセントは、先住民族および地域コミュニティ自らが必要とする分野に充てられる。
COP16
の代表団は、自然の遺伝子から利益を得る企業は、生物多様性の保護に使われる国連の管理基金に拠出「すべき」とする文言を承認した。拠出額は、 DSIの使用に関連する企業利益の1パーセント、または売上高の0.1パーセントである。業界ロビイストは拠出金を任意とするよう強く求め、形の上では任意となっている。しかし、カリ基金の「業界は拠出すべき」という表現は、ロビイストが好む「拠出できる」という表現よりも強い。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2025/03/indigenous-leaders-optimistic-after-resumed-u-n-biodiversity-conference-in-rome/

【気候変動】
●2025.2.11 Mongabay
:ブラジルで1990年代以降、気候関連災害が460%増加
地球の気温上昇と気候関連の災害件数が比例関係にあるのは証明された事実である。
1991
年から2023年にかけて、世界の平均気温が0.1℃昇するごとに、ブラジルでは深刻な干ばつ、洪水、暴風雨など気候関連の災害があらたに360件発生し、経済損失は97000万ドルにのぼることが判明した。この傾向はここ10年間で加速しており、ブラジルでは年間平均4,077件の災害が記録されている。1990年代にはわずか725件だったため、それ以降460%増加したことになる。
これらのデータは、「2024年:史上最も暑い年」と題された調査から得られたもので、海洋リテラシー同盟(「国連海洋科学の10年」に関する活動に重点を置く複数の組織からなるグループ)が実施した。同プロジェクトは、ブラジル・サンパウロ連邦大学(UNIFESP)の科学海洋プログラム、ブラジル科学技術革新省、そしてユネスコによって組織されている。
研究者らが調査した32年間に、ブラジルの5,117自治体(全自治体の92%)で64,280件の気候関連災害が発生した。災害の半数は干ばつで、洪水・集中豪雨・高水位が27%暴風雨は19%を占めた。21,900万人以上が死亡・避難・家屋喪失・病気などの影響を受けた。
2024
年は記録上最も暑い年となった。欧州連合(EUのコペルニクス気候変動サービスが20251月初旬に発表した2024年世界気候ハイライト報告書によると、昨年の平均気温は史上初めて産業革命以前の水準を1.6℃上回った。なお、パリ協定では、(産業革命以前に比べて)世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えるよう努めるという目標を設定している。
このように災害の件数と被害が増加しているにもかかわらず、ブラジルのリスクおよび災害管理に関する連邦予算は、2012から2023年まで毎年平均3,460万ドル削減されている。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2025/02/brazil-has-seen-a-460-increase-in-climate-related-disasters-since-the-1990s/

【パーム油問題】
●2025.3.3 Mongabay
:国連、インドネシア第2位のパーム油企業を人権侵害と環境破壊で告発
国連の特別報告者は、インドネシア第2位のパーム油会社アストラ・アグロ・レスタリ(AAL)を、人権侵害と環境悪化の疑いで名指しした。業界全体ではなく特定の企業を標的にしたのは今回が初めてであるAALとその子会社は、適切な許可なしに事業を営み、先住民や農民の土地を同意なしに奪い、しばしば警察や治安部隊の支援を受けて暴力や脅迫、逮捕によって抗議活動を鎮圧したとして告発されている。
国連のウェブサイトに掲載された回答の中で、インドネシア政府はAAL社を概ね擁護し、同社の事業は法的基準を遵守していると述べた。この主張の鍵となるのは、AALが、農園造成の開始前に必要な一連の許可証のうち、最終段階となる耕作権(HGU)を取得している点である。政府の論拠は、紛争がない場合、またはすべての紛争が解決されている場合にのみHGUが発行できるという点である。しかし、FoE USとワルヒは、AALの子会社のうち、ANAなど少なくとも3社がHGUなしで操業していると指摘している。
インドネシア政府はANAがまだHGUライセンスを取得していないことを認めたが、取得に向けて積極的に取り組んでいると述べた。
HGU
許可がない状態での操業は、2014年プランテーション法など、インドネシアの複数の法律に違反すると一般的にみなされており、ANAの活動は事実上違法となる。しかし、ANAは警察の保護の下、紛争地からパームの実を収穫し続けているという。政府はこの矛盾について説明していない。政府は、なぜこれら3に未だ罰金を科さないのか、その理由も不明だ。
ワルヒの森林・植林キャンペーン・マネージャー、ウリ・アルタ・シアギアン氏は、既にその地域にコミュニティが住んでいたにもかかわらず、AALにライセンスを発行した政府は、問題の解決に責任があることを忘れてはならないと述べた。だからこそ、政府は紛争を解決し、コミュニティが長年待ち望んでいた正義を実現するためのタスクフォースを設立すべきだと彼女は述べた。
ケロッグ、ハーシー、モンデリーズなどの大手ブランドはAALらのパーム油の調達を停止したが、ADM、ブンゲ、カーギルなどの世界的なアグリビジネス大手は、人権侵害の申し立てが続いているにもかかわらず、依然として同社と関係する工場からパーム油を調達している。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2025/03/un-accuses-indonesias-no-2-palm-oil-firm-of-rights-environmental-abuses/

【コミュニティ】
●2025.2.19 Mongabay
:ランディ・ボーマン(1955-2025):アマゾン熱帯雨林の稀有な守護者
エクアドル・アマゾンのコファン族リーダー、ランディ・ボーマン氏が217日に亡くなった。
彼はアマゾンのアメリカ人宣教師の家庭に生まれ、コファン族の中で育てられ、生涯にわたって彼らの土地と権利を擁護する者となった。
コファン族は数世紀もの間、アグアリコ川沿いで狩りや漁をしながら暮らしていたが、1960年代後半にテキサコが進出し、それに続いて道路が出来、入植者が流入したことで、コファンの故郷は黒く染まった川と倒木により荒れ地と化した。
ランディは、18歳でミシガン州立大学に進学したが、エクアドルに戻り、自分を育ててくれた人々や、一つの油井から土地を一度に吸い取られた人々のために闘うことを決意した。彼は法律を学び、しばしばコファン族として会議に出席し、先住民の土地の権利を強く訴えた。長年のロビー活動により、彼は1992年までにコファン族の約20万エーカーの領土を初めて法的に認めさせた。その後数年の間に、彼はコファン族の管理する土地を100万エーカー以上に拡大することに貢献した。
彼の体は、これまでの闘いの重荷を背負っていた。40代で脳炎を患い、また、扁平上皮癌の切除手術を何度も受けた。彼だけが苦しんだわけではない。コファンのコミュニティでは、多くの人々がこの病気で亡くなり、彼もこの病気で亡くなった。
それでも、彼が守るために闘った森は今も健在だ。かつて瀬戸際にいたコファン族は、今やアマゾンで最も成功した先住民の土地の管理者となっている。息子のフェリペは、自らもリーダーとなり、闘いを続けている。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2025/02/randy-borman-1955-2025-an-unlikely-guardian-of-the-amazon-rainforest/

●2025.2.17 Mongabay:違法な森林利用に対する軍事的な取り締まりは人権問題を引き起こす(インドネシア)
プラボウォ・スビアント大統領は、1月に公布された規則に基づき森林地帯で行われるアブラヤシ栽培や採掘等の違法行為の取り締まり強化を目指すと述べている。違法なアブラヤシ農園だけでも337万ヘクタールにのぼり、これはベルギーの面積よりも広い。
しかし活動家たちは、この大統領規則は森林に依存する先住民とコミュニティの苦境をさらに悪化させるだけであり、プランテーション企業はこの規則を恐れる必要はほとんどないと指摘する。
インドネシアの環境NGO、インドネシア環境フォーラム(Walhi)の森林・プランテーション担当責任者、ウリ・アルタ・シアギアン氏は次のように述べている。「この規則は、大規模な企業活動と、歴史上、森林地域として一方的に指定されたことにより土地保有権をめぐる紛争に直面してきた先住民、地元コミュニティの生業とを区別していないようだ。」この方法は、森林で自給自足の生活をしているコミュニティを犯罪者扱いするリスクをさらに高めると彼女は述べた。
活動家らは、1945年のインドネシア独立以前からコミュニティは居住していたにもかかわらず、彼ら先住民の土地権が法的に認められていないことが、リスクをさらに悪化させていると指摘する。
この大統領規則は、違法な森林活動と闘う軍の役割を監視するためのタスクフォースを設置することを定めている。同タスクフォースは軍、警察、情報機関の将校で構成され、元陸軍司令官のシャフリー・シャムスディン国防大臣が指揮を執る。これは、同じく元陸軍司令官のプラボウォ氏が森林管理を軍事化しようとしていることを示唆していると活動家らは指摘する。
民間機関による森林管理の枠組みから軍事的なアプローチへの移行は、不法侵入者とみなされるコミュニティを軍隊や警察の介入によって排除するといった人権侵害につながる可能性があると、活動家らは警告している。というのも、新規則には、不法占拠とみなされる森林地を政府が接収することが明示的に認められているのである。
原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2025/02/indonesias-militarized-crackdown-on-illegal-forest-use-sparks-human-rights-concerns/

【日本は今!】
●2025.4.11
 朝日新聞:大阪・関西万博の大屋根リング、4割は県産材を使用 高知県が試算
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日に開幕する大阪・関西万博のシンボル・大屋根リング。その約4割に高知県産木材が使われていると、県が試算した。(中略)
県木材産業振興課によると、万博向けの建材として202224年度、県内からヒノキやスギの板、約2万立方メートルを愛媛県と岡山県の集成材メーカーに出荷した。集成材やCLT直交集成板)に加工され、大屋根リングの柱やはり、屋根の回廊に使われた。
詳しくはこちら
https://www.asahi.com/articles/AST4B41F4T4BPLPB005M.html

●2025.4.14 京都新聞:「山林相続」戸惑う人続々「売るに売れない山、これだけ金かかるとは」高額な登記費用、放置林がさらに増える恐れも
親が亡くなり、山を受け継ぐことを突然迫られた山林の相続で戸惑う人が増えている。先祖が代々守ってきた山と生活が離れ、どれぐらい山を持っているのか、知らされていなかったり、登記への費用が高額になったりするケースもある。国も打開策を示すが、このままでは所有者不明で放置林がさらに増える恐れがある。
詳しくはこちら
https://news.yahoo.co.jp/articles/7a7dc06757b7313949977dc59dd6ee6d2a2ec6dd

●2025.4.9 PRTimesRP加工木材の本格利用開始~RP加工ウッドデッキを藤沢市某住宅に納入~
バイオマスパワーテクノロジーズ株式会社(三重県松阪市)は、本来であれば市場価値の低いBD材のスギ・ヒノキ材や広葉樹材(ナラ枯れ材など)を使用した新たな取り組みを始めました。
私たちはこれらの低質材を高付加価値化するため、RP加工に注目し、RP加工の先進企業である株式会社e2m(神奈川県藤沢市)と共同し、販路の拡大と経営の多角化を目指しています。
RPL
木材活用の第一歩として、20251月、当社の所有山林(松阪市)の材木をRP加工し、藤沢市某住宅にウッドデッキ(36m2)を納品いたしました。自然素材を生かしながらも耐久性に優れ、木目のデザインで温かみのある美しい仕上がりとなりました。
また、RP加工木材の強度は通常のスギ材フローリングの1.7であるため、机や椅子のほか、フローリング材にも使用できると期待されております。
詳しくはこちら
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000114663.html

●2025.4.4 共同通信:畠山重篤さん死去 海の環境保護へ植林活動
海の環境を守ろうと植林活動に取り組むNPO法人「森は海の恋人」理事長の畠山重篤(はたけやま・しげあつ)さんが、3日午後1028分、肺血栓塞栓症のため埼玉県所沢市の病院で死去した。81歳。中国・上海出身。葬儀・告別式は7日午前11時から宮城県気仙沼市田中前431、アーバンメモリアルホール田中前で。喪主は長男の哲(てつ)さん。後日、お別れの会を行う予定。
詳しくはこちら
https://nordot.app/1280850418548359772

【中露情報】
●2025.4.2
 木材網:2024年の中国の木・竹製品の輸出額は404.5億米ドル
2024
年の中国の年間木材生産量は約1.37億立法メートルで、前年同期比8.2%増であった。木材加工産業の年間生産額は3兆元を超え、緩やかな増加傾向を示した。
年間貨物輸出額は約3.6兆米ドルで、前年同期比5.9の増加であったが、そのうち木、竹製品の輸出額は前年同期比1.4%増の404.5億米ドルであった。
原文はこちら(中国語)
https://www.chinatimber.org/news/detail.html?id=84939

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☆2025年526日開催インドネシアNGO来日セミナー
インドネシアの熱帯林を脅かす日本のバイオマス発電
https://www.gef.or.jp/news/event/250526indonesia_forest_bioenergy/
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再生可能エネルギーの一つとして支援され、急速に拡大してきた木質バイオマス発電。製材の残材や間伐材を燃料とすると言われていたバイオマス発電の7割は、海外から輸入される木質ペレットやパーム核殻(PKS)を燃やしています。木質ペレットの輸入元として急成長しているのがインドネシアです

現地NGOらが発表したレポート『無視された警告:インドネシアと東南アジアの熱帯林を脅かす森林バイオマス』によると、日本向けの輸出は2021-2023年の間に54ンから5t以上に伸び、日本は同国の総輸出量の約4割を購入しています。

このセミナーでは、本レポートの執筆に携わった現地NGO アウリガ・ヌサンタラの代表に、バイオマス燃料生産と熱帯林伐採について最新の状況を発表いただきます。

気候変動対策の一環として推進されている日本のバイオマス発電が生物多様性と炭素蓄積の両面で極めて重要な熱帯林の伐採とどう関わっているのか、日本の再エネ政策が抱える課題、今後日本に求められる行動について考えます。

■開催概要
日時:2025526日(月)15:00-16:30
開催方法:対面とオンラインのハイブリッド形式
対面参加:航空会館ビジネスフォーラム9F 901号室(東京都港区新橋 1-18-1 航空会館)
オンライン参加:Zoomウェビナー
参加費:無料(要事前申込)
申込:https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_8dGdk8pzQICTqol5AAFJJA
プログラム(予定、日英同時通訳付き):
・「日本の輸入木質バイオマス発電の現状」 鈴嶋克太(地球・人間環境フォーラム)
・「バイオエネルギーとインドネシアの森林破壊:日本の市場はその状況をいかに止められるか?」ティママヌルン氏(アウリガ・ヌサンタラ代表)
・質疑応答

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発 行 : フェアウッド・パートナーズ http://www.fairwood.jp
編 集 : 坂本 有希/三柴 淳一
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