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2.FSC森林認証の取り組み ~岩手県住田町

佐々木 伸也さん/岩手県住田町産業振興課

~ フェアウッド建築セミナー2006 in仙台 講演録 その2 ~

 住田町は岩手県の東南部に位置し、北上山系の東斜面です。岩手というと雪深いというイメージがあります、東南部は平均積雪量が10cmで、比較的積雪量も少ない地域です。住田町は基幹産業が農業、林業です。昭和30年代の合併から、林業の町ということを主眼に置いて、この50年来、林業でのまちづくりを進めてきました。

 住田町の取り組みというのは、民間とともに行政も一緒にどれだけ汗を流せるかというところで、「町としての取り組み姿勢を示そう」というのが町長の方針です。木材価格の低迷が続いている中で、なんとか地域材を世に出していこうと、川下、つまりお客様に近いところからの施設ということで、製材工場、集成材工場、プレカット工場などのある木工団地を整備しています。この団地が年間約40億円弱の売り上げがあります。町の林業・木材産業の中核を担っていると言っても過言ではありません。こういった加工工場を整備しながら地域材をどんどん流していこうと取り組んでいるのですが、木材確保が難しい状況です。

木質バイオマス・エネルギーの活用
図1 システムの夢(未来)
(佐々木氏発表資料から)
 最近では、木材の付加価値を高め、コストの削減のために木質バイオマス・エネルギー利用に取り組んでいます。木質ペレットの製造とペレットストーブ・ボイラの導入を積極的に進めています。木工団地内に建設中のコージェネレーション施設が完成すれば、木質資源のゼロエミッションが可能になります。

 これはバイオマスのシステムのフロー図です(図1)。林業の部分だけで完結するというのではなく、基幹産業である農業への熱供給も行いながら木質資源を活かしながら特色ある地域づくりを目指しています。

 町内には現在、約50台のペレットストーブが導入されており、今年度さらに20台の導入を予定しています。木質ペレット製造工場は、団地内のプレカット工場の空きスペースを利用して、工場から出る端材を活用しています。

 これまで3年で約450トンを製造・販売をしました。木くずを燃料にしたボイラーから出る1時間あたり8トンの蒸気で、団地内にある木材乾燥機22基のいくつかをまかなっています。これで重油の使用量が年間6,500万リットル節減できています。二酸化炭素(CO2)の排出量が減り、環境的にもコスト的にも削減につながっています。現時点ではこのコスト削減分を森林所有者への還元までは残念ながら至ってはいません。

森林への理解を深めてもらうために   
図2 地球温暖化を考える校外学習
(有住中学校)

(佐々木氏発表資料から)

もう一つは、「森林環境学習」を町内で進めています。住田の山だけということではなく森林を理解してもらうことを狙いに、山に入って「木材というものはこういう所から切り出されるのだよ」ということを実体験してもらいます。保育園児から一般まで各世代を通じて行っています。「体験」「発見」「理解」「行動」の4つのステップを想定しています。

例えば中学校では、バイオマス・エネルギーをテーマに勉強を実施しました(写真)。ペレットはどこから切り出されたもので、どういう風にして作られるのかを実地を交えて勉強してもらいます。中学生の間では「山から木を切るのは悪だ」というイメージが非常に強く、実際に山から木を切って木材として使用することが次の植林につながることを学んでもらいました。                      
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