山の日記念セミナー:
これでわかる木材デューデリジェンス~違法リスクの調べ方
セミナーで対応できなかった質問票への回答
※セミナーでは対応できなかった質問票に回答しています。
講師に対する質問も含めて開催団体による回答となります。
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Q1. | (マイクさんへ)「リスク」という言葉が何度もでてきますが、これはどういうリスクを指しているのか? 具体的にご説明ください。「取り扱う材に違法なものが混入してしまうリスク」という意味でしょうか? |
A1. | EU木材規則(EUTR)では、第4条の事業者の義務において、違法伐採木材のEU市場への出荷を禁じ、出荷するリスクを最低限に抑えるための対策・手続き=デューデリジェンス(DD)を行うことを規定しています。(代理回答) |
Q2. | (キップさんへ)「リスク特徴づけ」(スライド29)で説明された「情報源のリスト」はどのような情報に基づいて作成されているのか? |
A2. | HPVAマニュアルの付属書にある情報源のリストは、インターポールや国連環境計画(UNEP)、世銀など公的機関、チャタムハウス(英国王立国際問題研究所)等の研究機関、Forestry Legality Alliance、Illegal-Logging.infoなど幅広い情報源から構成されています。(代理回答) |
Q3. | (キップさんへ)米国レイシー法の最近の罰則状況を教えてほしい。罰則適用件数や厳しい罰則を受けた事例等具体的なものがあればお願いします。 |
A3. |
レイシー法が執行された事案はこれまでに3件。 2010年のハーランクローチ&ココボロ社の事例ではペルー産木材が没収されています。 2012年のギブソンギター社の事例では、マダガスカル産木材の取引で罰金30万ドル、社会奉仕活動への寄付5万ドル、26万ドル相当の木材の没収に同社が合意しています(詳しくはセミナー「世界の違法伐採対策と日本の取組」における米国司法省首席弁護士 トム・スウィーゲル氏の発表を参照 )。 2015年10月には広葉樹床材流通の米国大手のランバーリクイデーター社(LL社)が、改正レイシー法のもとの重罪判決を受けました。1,300万ドルの罰金と5年間にわたるデューデリジェンス(DD)を行う環境遵守計画の実施がLL社に義務づけられています(詳しくは US Department of Justice, Feb. 1 2016. Lumber Liquidators Inc. Sentenced for Illegal Importation of Hardwood and Related Environmental Crimes.)。(代理回答) |
Q4. | EU木材規則(EUTR)ではDDが免除される条件はありますか? そうした実例はありますか? |
A4. | EU木材規則(EUTR)では第3条においてFLEGTライセンス材及びCITES(ワシントン条約)を遵守している木材について合法的に伐採されたものとみなされるため、DDは不要となる。 |
Q5. | EU木材規則(EUTR)ではtrader(取引業者)の責務が規定されていますが、①事業者(operator)と取引業者(trader)は、業種や企業名でどのようなものがそれぞれに該当するのか?具体的な例示と説明②traderはEUTRの責務としてどのような事務や運用を行っているのか? |
A5. |
Operator(事業者)、Trader(取引業者)、及び「市場に出荷する」についての定義は、EUTR第2条において以下のように定められており、業種などは特定されていない。 (c)「事業者」とは、木材または木材製品を市場に出荷する一切の自然人または法人を指す。 (d)「取引業者」とは、商業活動の一環として、すでに域内市場に出荷された木材または木材製品を 域内市場にて販売または購入する一切の自然人または法人を意味する。 (b)「市場に出荷する」とは商業活動の中で流通または使用を意図して木材または木材製品を 最初に域内市場に供給すること。 上記に加えて、EUTRの理解を促すための参考文書である「ガイダンス文書(GUIDANCE DOCUMENT FOR THE EU TIMBER REGULATION)」には「市場に出荷する」の定義について詳しい解説がされており、EU域内市場に、最初に、商業活動として、木材製品等を供給する企業・個人は「事業者」に、それ以降のサプライチェーンに位置する企業等は「取引業者」に当てはまることが解説されている。 詳しくは、EUTRについて解説をしているEUのウェブサイト(http://ec.europa.eu/environment/eutr2013/faq/index_en.htm)を参照。 |
Q6. | 違法伐採が世界的な森林減少の主要な原因であることを示す根拠あるデータはありませんか? |
A6. |
違法伐採と森林減少を直接に結び付ける統計などは存在しないが、違法伐採は森林劣化・減少を引き起こす要因の一つであると認識されている。 英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)は違法伐採の影響についてウェブサイト(http://www.illegal-logging.info/topics/major-impacts)で解説しているが、違法伐採が森林に与える影響は環境、社会、経済の多方面にわたる。 2004年にAmerican Forest & Paper Associationによる委託調査(Seneca Creek Associates, 2004, Illegal Logging and Global Wood Markets: The Competetive Imapacts on the U.S. Wood Procustc Industry)によれば、違法伐採は世界の林業産出額を7~16パーセント押し下げるとされ、持続可能な森林経営を脅かしていると言われている。 また違法伐採は汚職行為を助長し、国際犯罪ネットワークの大きな収入源にもなっている。 |
Q7. | 国産材(日本)の製品をサプライチェーンでつなげた場合、すべての会社がDDをするのですか?輸入材を日本で流通させる場合、どこでDDをするのですか? |
A7. |
EUTRではDD実施の義務は「EU域内市場に最初に出荷する企業・個人」(Operator)に課されており、それ以降の川下側の企業等(Trader)はトレーサビリティの確認のみをすればよいということになっている。 もし日本でも同じような仕組みが導入されれば、国産材の場合は、森林を伐採し販売する森林所有者(や伐採等を委託等された素材生産事業者等)またはその直接の買い手が、輸入材の場合は商社等海外との取引を直接にする企業等がDDを実施すれば、それ以降のサプライチェーンに位置する企業等は取引相手がどのようなDDを実施したのか確認すればよいと考えられる。 しかし、日本の新法ではEUTRのようにOperatorとTraderの区分けができるかどうかは現時点では明らかになっていない。私たち日本のNGOとしては全体のコストを適切なレベルに抑えるためには、日本の新法においてもこのような区分けが必要だと考えている。 |
Q8. | DDを実行して、リスク大と判定した場合、アメリカやイギリスでは使用しないのですか? その場合、商品を返品する等のトラブルは発生しませんか? |
A8. | DDはリスクを評価・判断し、その結果を購入するかどうかの判断に反映させるものなので、基本的には返品トラブル等はないと考えられる。 |
Q9. | 製紙会社のDDSを策定しようとしています。業界ごとに柔軟にDDSをつくっていかねばならないと思うのですが、「企業の良いDDSの例」にアクセスできるウェブサイトなどはありますか?(他業種でもかまいません) |
A9. |
セミナーでお話しいただいた上河氏の所属団体である日本製紙連合会ではDDマニュアルを開発しているので参考にしていただきたい。同マニュアルは報告書「H27年度海外植林におけるナショナルリスクアセスメント手法の開発報告書」に含まれており、以下よりダウンロードできる。 http://www.jopp.or.jp/research_project/industrialplantation/2016/pdf/20160629‐001.pdf |
Q10. | 植林木(ラジアータパインやユーカリ)は違法伐採の対象になりますか? |
A10. | 植林木の場合も違法性が問題になるケースはある。例えば植林地として使われている土地について、政府が企業に植林地としての許可を出す過程で、地域住民等の土地利用権・所有権を侵害している事例はインドネシアなどで見られている。 |
Q11. | 竹や藤等の材料は合法伐採の対象としている国と対象外の国があり、グレーゾーンになっていますが、アメリカやEUではどのようになっていますか? DDが必要ですか? |
A11. | 竹やラタンを原料とする製品の大部分はEUTRの対象とはなっていない。EUTRの対象製品はEUTR付則に関税コードで定められている。対象製品は改正される可能性もあるので随時確認する必要がある。 |
Q12. | 汚職など国のリスクをだれが評価するのか? 先進国による後進国の評価はフェアではない気がする。 |
A12. |
腐敗認識指数(Corruption Perception Index)が最も使われている国ごとの汚職・腐敗の状態を示すもの。 トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)というNGOが毎年更新をしているが、指数の算出方法も公開されている。TIでは腐敗を「与えられた権限を濫用して私的利益を得ること」と定義し、各国の公務員や政治家などが賄賂などの不正行為に応じるかどうか、つまり公的部門と民間との関係における腐敗度を調査と評価により数値化してランキングしている。 |