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フェアウッド研究部会

第37回ワークショップ「メンバーによるフェアウッドな取り組み紹介」その2(2019.4.17)

2019.3.20掲載
2019.08.08更新

フェアウッド研究部会は4年目を迎え、メンバーは136名(団体・個人)、のべ参加者もおよそ1,500名になっています。様々な立場・業種の皆さまが、森林・林業、木材利用に対して、ご自身の関心と目的をもって参加されることで、生産的かつ楽しい話し合いが行われてきたと感じています。

このような流れをさらに加速させるべく、今回の研究部会では前回に引き続き、メンバー企業のフェアウッドな取り組みとして製品・サービスをご紹介いただくワークショップを企画しました。フェアウッドのメンバー同士の将来的な連携・協業の可能性を探る機会として、多くのメンバーのご参加をお待ちしております。

開催報告

(成田 陸/フェアウッド・パートナーズ インターン)

第37回は、前回に引き続きフェアウッド研究部会会員によるワークショップを行いました。今回は(株)シオンの藤田さん、(株)パスコの州濱さん、(株)北海道ポットラックの前田さんに話題提供をいただきました。

はじめは(株)シオンの藤田さんよりお話いただきました。同社は岩手県柴波郡矢巾町に16年前から本社を構える、自然塗料メーカーです。まず自然塗料について。自然塗料とは植物油をベースにした塗料に乾燥剤などの添加剤を入れ構成したものだそうです。ただこれに明確な定義があるわけではなく、植物油をベースにしていれば何でも良いというのが自然塗料とのこと。そのため自然塗料の毎に性能のバラつきがあり、ケミカル由来の物が良いという声もあるそうです。そうしたバラつきの根拠を示しクリアな情報にし、お客様のニーズにこたえて開発したのが、国産材に合う国産塗料U-OILだそうです。

U-OILの特徴として4つのフリーがあげられます。一つはシンナーフリーで原材料にシンナーを用いません。そのためあのツンとした鼻を刺すような臭いはないそうです。二つ目はストレスフリーで乾燥が速く、色がしっかり入るそうです。三つ目はカラバリフリーで、U-OILは全66色ありとても多色です。またオーダーメイドも可能であり、色はもちろん樹種に合わせたものを調色することができるのが、同社のセールスポイントで少量多品種(0.75L×1缶から調色可能)を揃えているとのこと。四つ目はメンテナンスフリーで、屋外でも3~4年毎のメンテナンスで大丈夫だそうです。この他にも木守り専科という、塗るだけで燃焼を防ぐ防炎塗料を開発したそうです。開発した経緯として、木製椅子を使用される場面でU-OILを提案したものも、木は燃えるものとしての危機意識が高く、難しかったそうです。それなら塗るだけで燃えない塗料、そしてメンテナンス期間が長い木守り専科を開発したそうです。

次に自然塗料メーカーである同社がなぜ木育を行うかをお話いただきました。それは木材が売れなければ塗料も売れないという、シンプルな理由でした。またシオンさんが林業側と建設業側をつなげていることが、とても効果が高いものだと感じました。

最後に同社の課題は塗料メーカーとして認知度が低いことだそうです。それは30年前にドイツの塗料メーカーが入り、現在シェア8割を超えている塗料業界において後発のため認知度が低いことだそうです。全66色、小ロットから生産できるオーダーメイドの自然塗料、まずフェアウッド・パートナーズで塗ってみるのはいかがでしょうか。

次に(株)パスコの州濱さんからお話をいただきました。同社は東京都目黒区に本拠地を構え、全国57箇所に事業所を展開する創業66年を迎える企業です。同社のアイデンティティは様々なことを測ることゆえ、フェアウッド・パートナーズにおいて“異業種”とのご発言もありました。森林を宇宙からは人口衛生を用いて、上空からは航空機、ヘリコプター、ドローンを用い、地上からは車両を用い測量できるそうです。人工衛星は毎日北海道から沖縄県まで取り続けており、計測された森林資源の情報は各都道府県が保有しており、都道府県に申請し許可が受理されれば閲覧可能とのことでした。

今回は数ある測量方法の中で航空レーザー計測と衛生画像を事例として紹介いただき、「(株)パスコができること」についてお話いただきました。航空レーザー測量で取得できるデータは、計測した林分の各立木の頂点と樹高がレーザーの反射時間によって求めることができます。他に衛生画像を用いて様々なゾーニングが可能です。これらを応用して森林クラウドという、市町村が管理している森林資源情報と林業事業体の情報を一体化することで経営管理に役立てるシステムを開発しているそうです。

様々なことに応用、活用することができる森林資源の測量情報。フェアウッド・パートナーズが目指す、伐採地の森林環境や地域社会に配慮した木材・木材製品の調達をよりハイレベルなものにすることが可能かもしれません。

最後に(株)北海道ポットラックの前田さんより、北海道で最も蓄積量のあるトドマツについてお話いただきました。北海道における針葉樹の樹種別蓄積量は以下の通りです。トドマツ230,094千m3、カラマツ91,362千m3、エゾマツ49,860千m3、アカエゾマツ23,941千m3、スギ9,702千m3。この中で蓄積量が一番多くまた北海道にもっとも適しているトドマツの活用方法を考えることになったそうです。また北海道の齢級構成と同様に45年から55年生が多いそうです。そしてトドマツは50年生あたりから水腐れ病が入りトドマツ林を活用し循環しなければ、森林が傷んでいくそうです。しかし前田さんがお店を構えている高級家具の生産地である旭川では、トドマツを利用するどころか、敬遠されていました。その理由として、一つ目は乾燥が難しく、製品にするための製材品が流通しないこと。二つ目はパイン材に色が近く、高級品になりづらいこと。三つ目は強度が低く、ナラ材と比べ6割の強度しか持たなかったこと。四つ目は前の三つの理由を背景に今まで利用されてこなかったので、加工技術が未発達であることだそうです。

このような逆風の中で前田さんが初めに取り組んだのはトドマツを捉えなおすことでした。白さは軽快で着色容易なこと、軽さは運搬性に優れている、柔らかさはやさしい手触り、手軽に加工が可能なこと、資源が豊富なため安定的な供給が可能ということ、リラックス効果、消臭効果がある精油など。このような特徴を捉えなおし、製品を開発していったそうです。それでも課題がありました。それは価格が同じようなデザインの製品より高いことで、今も試行錯誤しているそうです。フェアウッド・パートナーズの皆様なら、このような特徴をもつトドマツをどのように使いますか?

開催案内

【開催概要】
日 時:2019年4月17日(水)17:00~20:00(開場:16:30)
場 所: 地球環境パートナーシッププラザ(〒150-0001東京都渋谷区神宮前5-53-70国連大学ビル1F、http://www.geoc.jp/access/、03-3407-8107)
会 費: 3,000円(懇親会費1,000円を含む。当日受付でいただきます)

【プログラム】(内容は予告なく変更することがあります)
第1部:ワークショップ
1.木を通じて「笑顔」を育む「本物の国産・自然塗料」(株式会社シオン)
塗る人の多様な好みと、塗られる木の樹種、産地といった多様性に応えることで、木のある暮らしにそっと寄り添うシオンの塗料。簡単に手に取れて安全に塗ることが出来るので、「木のやさしさ・木の心地よさ・木の楽しさ」を伝えることが出来ます。さらに、高い耐火性、耐候性は木を活かす場を増やします。ストーリーのある木と塗料で多くの方をhappyにしていけるパートナーを探しています。
2.宇宙(そら)から見守る森林資源、空(そら)から測る森林資源(株式会社パスコ)
森林破壊・違法伐採など、企業活動が森林に与える影響が問題となる一方で、企業等の集団の力による環境保全等も進んでいます。パスコの計測技術は、人工衛星画像やAI技術などを活用し、熱帯林等の破壊や劣化、その対策である植林・育林等の保全活動を、土地変化情報として捉えます。また、航空レーザー計測による森林資源解析技術を活用し、より精緻に森林資源量を把握します。これら森林情報の見える化・定量化技術により、企業活動が森林に与えるネガティブ・ポジティブ情報を集約します。
3. 地域の資源を財産として活かす。トドマツ林が生む地域の循環(株式会社北海道ポットラック)
ポットラックという言葉には「あるものを持ち寄って開催するパーティ」という意味があります。北海道で最も蓄積量の多いトドマツの活用をメインに、新しい時代の木の使い方を提案しています。商品企画からまちづくりのコディネートまで、森林を通じた循環をプロデュースします。
第2部:懇親会

【お申込み】
お申し込みフォームにてお申し込みください。フォーム記入ができない場合、「第37回フェアウッド研究部会参加希望」と件名に明記の上、1)お名前 2)ふりがな 3)ご所属(組織名及び部署名等)4)Eメールアドレスを、メールにてinfo@fairwood.jpまで送付ください。
※定員60名

【お問合せ】

  • 地球・人間環境フォーラム(担当:坂本)
    http://www.fairwood.jp、info@fairwood.jp、TEL:03-5825-9735
  • ワイス・ワイス(担当窓口/広報課 野村)
    http://www.wisewise.com、press@wisewise.com、TEL: 03-5467-7003

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