4.TFT ~ 持続可能な木材を確保するためのツール
熱帯林トラスト(TFT)インドネシア代表 ハルトノ・アディ・プラボオ氏
TFTは会員によって成り立っている国際的な組織です。事務所はイギリス、インドネシア、マレーシア、ベトナム、中国、カメルーン、ガボン、ブラジル、アメリカにあり、イギリスとアメリカでは非営利団体として登録されています。会員企業は現在約50社でその数は増え続けています。私たちの使命は、熱帯林が将来にわたって長く管理され、人間、野生生物そして環境にとってその価値が最大となるよう支援することです。活動地域は、ヨーロッパ、アメリカおよびアジアで、南米やアフリカ、アジア太平洋地域にも拡大しています。
会員はエンドユーザーに商品を売る購入者会員、木材製品を他の会社に売る供給者会員、そして木材製品を扱っていないもののTFTまたは熱帯雨林の保護について関心の高い企業である賛助会員の3種類です。会員になると、FSC製品やTFTプロジェクト地からの木材の入手が可能となり、原料の起源を特定するサプライチェーンを確保し、木材管理システムを構築できるなど、さまざまな特典があります。
TFTの活動では、森林プロジェクトから供給者会員に原料として木材が売られ、購入者会員はその工場が作った最終製品を購入します。そこでTFTに対し手数料(FOB価格の2.1%)が支払われ、それは森林管理、またFSCに遵守するための支援に使われます。私たちは森林から会員の工場や店舗までサプライチェーンをつなぎ、FSC材またはFSC認証取得を目指す木材を使うよう取り組んでいるのです。
インドネシアでは四つのプロジェクトを実施中
インドネシアでは、以下の四つのプロジェクトを進めています。
(1) プルフタニ社のチーク植林地
(2) コミュニティ林業
(3) 天然林の管理
(4) 工場での木材管理システム
森林プロジェクトでは、覚書を締結する前に現地を訪問し、スコーピングを行います。認証の可能性があれば覚書を結び、現状とFSC認証取得に必要な条件のギャップとを評価します。評価後、年間活動計画を策定します。伐採による環境への影響を配慮し、森林管理を改善し、当然監視も行い、計画を実行していきます。問題があれば、是正措置要求書を出し、それに対する適切な対応がなければプロジェクトは最終的に終了しません。すべてが順調に進めば内部監査を行い、第三者評価を受けて、FSC認証が取得できます。
段階的アプローチを経てインドネシアでのFSC合板の実現へ
FSC認証取得までの過程を段階的アプローチと呼んでいます。森林プロジェクトは少なくとも、合法的な産地(VLO)であることが必要です。そして法遵守検証(VLC)が求められます。次にFSC管理木材であるかどうかを確認します。違法伐採も紛争もあってはなりません。また、遺伝子組み換えの森林であってもならないし、保護価値の高い地域での伐採も許されません。この過程を経て、最終段階としてFSC認証が与えられるのです。
インドネシアにはFSC認証を受けた合板工場は14社ありますが、認証林まで持っているところは4社に限られます。日本のバイヤーから注文がくればFSC認証合板を提供できる状況です。
※(財)地球・人間環境フォーラム発行『グローバルネット』2008年9月号(214号)より転載