宮城県栗原市は岩手県に接する県北部に位置しています。
くりこまくんえん(栗駒木材)さんまでは、東北新幹線の「くりこま高原駅」から車で20分ほどで到着。この日(8月1日)は気温が低く(19℃!)、連日蒸し暑い東京から比べると肌寒いほどでした。
「くんえん」とは燻煙、つまり通常のボイラーを使った蒸気乾燥ではなく、煙を使った昔ながらの燻煙乾燥という方法です。手間もかかることからあまり乾燥方法としては広く活用されているものではありませんが、とても簡単に言うと、木材の繊維を破壊することなく乾燥できるので、木材の調湿効果は失われず、強度が保たれ、防虫効果も得られる手法です。あえて「くんえん木材」を選んで家を建てる方もいらっしゃるので、ここから日本中に供給しています。
まずは製材スペースにお邪魔します。
「おお、ツインバンドソー。」比較的小さな製材所にしか行ったことがなかったので初めてお目にかかりました。太さの近い木材をセットすると、右上の緑の箱の間の2本の回転のこぎりの間を通って丸太が木材(ここでとるのは柱材)になっていきます。タイミング悪く、この時は動いていなく、「うん、効率よさそうだな。」という感じだけ。
さっきののこぎりの出口側に回りました。柱をとったあとの周縁部からも板材、羽柄材をとることができます。自動化とはいえここは人の(写真の中にも)目で、どうすれば無駄なく活用することができるのか、を見極めて次の工程へ進んでいきます。
そして、もう木材を取ることが出来なくなった端材は所内のベルトコンベアで運ばれ、チップに粉砕されて燻煙乾燥の燃料に使われます。
こちらの大きな建物が燻煙乾燥機。いっぺんに100㎥もの木材を乾燥させることが出来ます。出てきた木材は煙によって表面が黒くなっていますが、その表面を削ってきれいな木材が出来上がります。工場内には柱、梁、床材、板材、羽柄材が整然と積まれ、出荷を待っています。
そして、工場の一角で「あっ、これは!」見覚えのあるスギのチェア。先日100%フェアウッドを達成したワイス・ワイスさんの「KURIKOMA」です。大きなNCルーターで型を取って、そのあとは一つ一つ丁寧に角を削り、部材を組み立てて仕上げていきます。被災地・宮城のスギの木で、丁寧に作られた柔らかな曲線をもったチェア、完成品はこちらのカタログから。⇒http://www.wisewise.com/product/
最後に、工場の秋山さんと、日本の森バイオマスネットワークの唐澤さんと。
木を余すことなく使いきり、良質の建材を市場に提供するくりこまくんえん(栗駒木材)さん。フェアウッドカフェでも応援していきます。
(文・写真:中畝)
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