岩手県上閉伊郡大槌町(かみへいぐんおおつちちょう)吉里吉里地区。吉里吉里(=きりきり)と読みます。
宮城県栗原市に栗駒木材を訪問した翌日8月2日に(栗駒木材のレポートはこちら)、NPO法人吉里吉里国(きりきりこく)を訪問しました。
山に囲まれ、海に開けたこの地には東日本大震災の際24mもの津波が押し寄せたようで、沿岸、内陸側で大きな被害が出ました。そして立ち上がったのがこの地域の有志の方々です。吉里吉里地区を愛し、雇用の創出と経済復興を地域一体となって成し遂げようと、活動を開始しました。
その活動の一つが「復活の森プロジェクト」。漁業関係者による林地所有が多く、手入れがされていない林分(林相が一様な、ひとまとまりの森林)で間伐施業を行い、そこから得られる材を木製品、燃料として活用しようというものです。訪問当日は、代表の芳賀正彦さんに比較的平らな林分に連れて行っていただき、手ノコで伐採体験をさせてもらいました。
30~40年生のスギ林で、倒す方向の決め方、「受け口」(木を伐採する際、倒す方向の幹に切り込みを入れる部分。)の切り出し方をレクチャーしてもらいながら、私も1本伐採しました。東京のような猛暑でなかったのは幸いながら、額にはじっとり汗の光、そして森には日の光が入り、爽快な気分に。
その後は、芳賀さん達が手入れをした林分を見学させてもらいました。林地所有者を探して、事業の意図を説明し、無償で伐採作業を進めていく芳賀さん達の取組みには本当に頭が下がります(伐採した木材の販売が事業の収入源に)。
手前が明るくなった林、左奥の方がこれから手入れする林。その差、伝わるでしょうか?
次の伐採現場はこちら。一見「皆伐?」とも思いましたが、写真の手前の伐採されたところには幼稚園が再建されます。再建するなら津波が来なかった安全なところに、という地域の方々の思いで高台に決まりました(正面は災害公営住宅。この高台の位置は5階建ての建物より高いですね)。
芳賀さんも、「吉里吉里の未来を作る子ども達が、育つ場所だ」と目を輝かせていました。もちろんここで伐採された木材も大切に利用されました。 他にも森林教室などを開催しながら、伐採したスギを乾燥させ、「復活の薪」として販売もしています。
写真のように、海岸近くの高台に積まれ、十分に自然乾燥された薪は、焚きつけもよく、火が長持ちすると評判だそうです。夏はキャンプやバーベキューに、冬は薪ストーブの燃料に。購入された方が吉里吉里に思いを寄せながら灯す火が、復興を温かく、明るく照らします。
写真の方が芳賀さんです。産地と、伐り手につながり、復興地と森を元気にする「復活の薪」。是非ご購入下さい。 購入は下記より。 http://kirikirikoku.main.jp/cn19/services.html
(文・写真:中畝)