ナビゲーションスキップ

vol.2 夏真っ盛り!取れたて野菜を上手に刻んでいただこう

日時:2010年8月7日(土)14:00-16:00
場所:カフェ&バー「カペルシータ」(現・Café&Bar「ゴルビィ」)
フェアウッド・アイテム 東紀州産ひのきのカッティングボード
話し手:横濱 金平さん(山の加工場ネットワーク代表)
フェアウッド・メニュー 旬の夏野菜サラダ&特製木の実ドレッシング
話し手:橋本明朱花さん(マクロビオティック料理研究家)

 ☆講師プロフィー
横濱 金平さん(山の加工場ネットワーク代表)
山の加工場ネットワーク代表。建築設計、工業デザイナーを経て、1997年4月ネットワーク立ち上げ。家創りに関わる人々と、木材を加工する人々との「顔の見える関り合い」で、健康住宅資材の開発と流通を目的とする。建築設計者・施工者・住宅供給事業者との交流により、インテリアデザインから間伐材の活用方法、木材研究、商品開発までを行う。

橋本 明朱花さん(マクロビオティック料理研究家)
2009年末まで東京・代官山でマクロビオティックのカフェレストラン「Asuka」を経営。「Eating for peace」をコンセプトに日々の食事を通して水や森を守ることを提案。2歳から母親のマクロビオティック料理を見よう見真似で作り始める。オーストラリアに4年間の留学の後、「Asuka」をオープン。季節感のある、旬のオーガニック野菜を生かした斬新な創作料理を得意とする。
ブログNature Chef Asuka 
 

ヒノキのお話 

フェアウッド・カフェ「木のある暮らし講座」第2回の講師は、住む人の健康と環境整備のため国産材にこだわった住まい作りをしている「山の加工場ネットワーク」代表の横濱金平さん。横濱さんは、建築設計、工業デザイナーを経て1997年、三重県でこのネットワークを立ち上げました。そこでは、素材生産、木材加工、設計、施工現場、そして科学的研究の現場といったそれぞれのプロが、都会の住まいを癒しの空間にするため、新しいパートナーシップを実現しています。

最初に横濱さんは、参加者の皆さんに丸いヒノキのチップを配ります。「手に握って、5秒間、目を閉じてください。5秒したら、手を開いてにおいをかいでみてください」。チップを握った参加者の皆さんの手のひらは、ヒノキ独特の香りで満ちています。「癒されますよね。伊勢神宮に使う木はこういう香りがするんです。身近にあったらいいと思いませんか」――。横濱さんは、都会に向かう新幹線の中などでこのチップを胸ポケットにしのばせ、疲れを感じたらこうして癒しているそうです。

ヒノキの香りの源はヒノキオールで、これが優れた抗菌効果を発揮します。その特長を生かした身近な物として今回横濱さんが提案してくださるのが、カッティングボードです。住宅用に製材する際、根に近い部分は切り落としてしまいますが、その部分を有効利用して作られたものです。

材料のヒノキは、世界遺産に指定されている熊野古道の森で育ったもので、海に沿ったやせた土壌がヒノキの植林に向いています。健康な証拠のヤニが多いので、抗菌効果のほか耐水性にも優れ、まな板には最適です。横濱さんは7年、10年と1枚のまな板を利用し、きれいなカッティングボードには、そのままお茶とお菓子を乗せてお客さまに出しているそうです。
 

まな板のお話

そんな魅力いっぱいの木のまな板ですが、手入れの仕方がわからず敬遠する人が多いのが現実。「実は、プラスチックの方が雑菌は繁殖しやすいんですよ。今日は木のまな板の正しい使い方を伝授します」と横濱さん。3つのポイントを教えてくださいました。

1点目は、必ず水でぬらして軽く拭きとってから使うこと。こうすると、包丁も食品も滑りにくくなります。ぬれた布きんをしばらくまな板にかけておくのも、板が適度な水分を含んでいいそうです。2点目は、生ものを切った後は水洗いして拭き取ってから完全に乾かすこと。生ものを扱うと板には必ず菌が付きますが、乾燥させることで全て死滅するとのことです。3点目は黒ずみについて。「黒ずみの正体は黒カビなので放置せず、包丁の背でしごいてください。黒い水が出てきたらきれいに流す。それで十分です」。ナイロンなどのたわしでこすってもよく、こうした手入れをすれば7年、10年と使えるとのお話でした。

ひとしきりお話が終わると、参加者に疑問が残らないよう、横濱さんには質問に答えていただきました。まず、洗剤で洗うことについて。横濱さんは「洗剤で洗う前に真水で流してください。私は洗剤を使わず、包丁でしごくだけにしています」と回答されました。次の質問は、木のまな板を熱湯消毒してもよいかどうか。木は熱湯に耐えられるので問題なし、とのお答えでした。さらに補足して、「プラスチックのまな板は、熱湯をかけても十分に消毒できません」とも。「今日から木のまな板にしよう」と、横濱さん作のカッティングボードを買って帰る方も数人いらっしゃいました。 

木のまな板で感じる風合いを楽しむ

お話が終わると、皆さんお楽しみのティータイムです。今回は、無農薬有機野菜をヒノキのカッティングボードで刻んでサラダにしていただきます。講師は、前回に続いて代官山のカフェレストラン「Asuka」でオーガニックな料理を提供してきた橋本明朱花さん。埼玉県小川町で当日の朝収穫したばかりのトマトやじゃがいも、ナスなど12種類の野菜を下ごしらえしていただきました。その仕上げをするのは、参加者代表。「やってみたい」と手を挙げた男女2名の参加者の方がキュウリやピーマンを手にして、木のまな板で刻む音や感触を味わいました。

材料が完成すると、4人1組で盛り付けにかかります。お皿はもちろんフェアウッド。杉の間伐材でできたお皿を手にした代表者の周りに、チームのメンバーが集まります。「半分をあっさり、半分をこってりにしましょうか」「ニンジンでカラフルに仕上げますか」などと知恵を出し合って工夫していました。

味付けは、明朱花さんの手作り「森のドレッシング」(レシピは下記参照)です。カシューナッツとブラックペッパー、桃、玉ねぎの3種類で、「桃をミキサーにかけてレモンを絞ると、きれいなピンク色になるんですよ」と作り方もご説明いただきました。参加者の中には、野菜をおかわりしてはドレッシングを変え、いろいろな味を楽しむ方もありました。

サラダのお供は、森林農法のコーヒーと酵母パン。北海道産エンジュのマグカップでコーヒーを飲み、盛り付けで親しくなった方同士おしゃべりをして、賑やかなティータイムとなりました。

テーブルの上の野菜がなくなる頃、講師のお二人より木の食器について一言ずついただきました。明朱花さんは「子供が落としても割れなくて安心だし、冬触った時冷たくないとか、フォークやナイフの音が静かだとか、いいことがたくさんありますよね」と魅力を語り、横濱さんは「まな板は抗菌作用のあるヒノキがいいけれど、独特のにおいがあるから食器には向いてないんですよね。だから、杉やエンジュがいい。用途に合わせた木の使い方を体験してもらえて、今日は本当に嬉しいです」とお話くださいました。

ところが、熱い思いで長年木材に関わってきた横濱さん。お話は一言では終わりません。「今のマンションの壁はビニールだけど、無垢の杉やヒノキにすることを考えています。赤ちゃんが歩く練習をするとき、木なら手足の汗を吸ってくれて滑らないから正しい反射神経が育つんです」「紀州の徳川家は、江戸で大火事があるたび自分たちの土地のヒノキを伐採したので山林が荒廃してしまいました。海と森の関係をわかっていたのか、山林保護(植林・育林)を漁業者(網元)や醸造関係者に命じていました。この政策で大規模山林所有者が出現し、荒廃山林がヒノキで豊かな森に変わったのです。その木が育って恩恵に預かっているのだから、我々はラッキーですよね」などと、木にまつわるお話は尽きません。結局、時間切れとなってしまいましたが、そんな雑談が参加者の皆さんには大変好評でした。

埼玉県から参加した女性(29歳)は「ちょうど今、お腹に赤ん坊が居るので、木の家や食器のお話を聞けてよかったです。子どもが生まれたら野菜作りにもチャレンジしたくて、イメージ作りの参考になりました」と、千葉県の男性(62歳)は「建築関係の仕事で環境の部署に居たので、森の環境問題に関心があって来ました。料理の話が大半だったのは意外だったけれど、知らなかったことが多くて面白かったです」と感想を話してくださいました。

気温35度を超える猛暑日にもかかわらず、会場に足を運んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。お話とティータイムでフェアウッドをご紹介する「木のある暮らし講座」はまだまだ続きます。

☆森のドレッシング
【レシピ1】桃と玉ねぎのドレッシング
ちょっとそのままいただくには、熟れすぎてしまった、傷がついてしまったフルーツは、ドレッシングやスープの隠し味にもってこいです。
下記の原材料をフードプロセッサーかミキサーで良く混ぜ合わせる。
・桃(良く熟れたものが良い)—8等分に切る、または手で軽く潰す
・玉ねぎ—皮をむいて擦りおろす
・粒マスタード
・塩—自然海塩がおすすめ。
・ブラックペッパー—粗挽き
・アップルビネガー—伝統製法で作られた甘み/コクのあるものがおすすめ
・梅酢—塩分が強いものの場合は、塩とのバランスで少なくするか、入れなくても可
・グレープシードオイル—軽いオイルであれば、何でも良い(例:アーモンドオイル/エキストラバージンオリーブオイル)

【レシピ2】カシューナッツと豆乳のドレッシング
生のナッツを上手に使って、コクと栄養満点のドレッシングでリッチなサラダを演出。
下記の材料を上から順番にフードプロセッサーに入れ、回し、順番に加えていく。
・カシューナッツ—生のものを水に浸して一晩置いたもの
・塩
・ペッパー—お好みで、ホワイトでもブラックでも良い
・レモンジュース—生のものがあれば、皮を細かく刻んで加えるとさらに香りが良い
・アガベシロップ—色がつくが、メープルシロップなどでも良い
・豆乳—できれば無調整、有機のものがおすすめ

☆今日のキーワード【桧(ひのき)】
Chamaecyparis obtuse、ヒノキ科ヒノキ属、日本固有の針葉樹。辺材は淡い黄白色、心材は淡い黄褐色~淡い赤色。辺芯材の境目ははっきりしない。木理は通直、肌目は緻密、独特の香りと光沢をもつ。弾力性・靱性に富み、狂いが少ないので加工しやすい。耐朽性も高い。

本州中部(福島県、関東以西)から四国、九州を経て屋久島に分布。スギと並んで日本の主要な林業樹種として江戸時代から各地で造林されてきた。とりわけ戦後の高度経済成長期には、全国で集中的に造林が行われた。伐採は数ha程度の皆伐、その後の再植林は1haあたり数千本を密植、その後10年間、下草刈り、枝打ち、間伐を繰り返す、という世界的にも稀な集約的施業により生産されるが、近年の木材価格の低下により、各生産者とも木材生産に消極的で木材生産量は低迷している。間伐など手入れが行われず、光の入らない状態となっている森も多いが、そうなると下草も生えず土壌が剥き出しで生物多様性も乏しい。このような森林では、土壌の流失、土砂災害、そして風雪害を受ける事例も少なくない。

【協力】 カフェ・バー カペルシータ<現・Café&Bar「ゴルビィ」>(フェアウッド・カフェ提携店)
店舗や住宅の解体の際に出る都市木材を積極的に活用する、インテリア・木工職人集団「ラケルメジェール」が経営するカフェ&バー。木の暖かみを感じられる都会の中の山小屋をイメージした空間をコンセプトに、様々な都市木材を生かしたテーブルやチェア、キッチンウェアやテーブルウェアが使われています。
TEL:03-3779-1091 

【主催】 フェアウッド・パートナーズ
URL:www.fairwood.jp
Eメール:info@fairwood.jp
TEL:03-6907-7217(FoE Japan 中澤・中畝)/03-3813-9735(地球・人間環境フォーラム 坂本)


※本講座は環境再生保全機構・地球環境基金の助成を受けて実施しています。

タグ:
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,