家具・生活雑貨のデザイン・販売を手掛けるワイス・ワイス(本社:東京都渋谷区)が、2013年4月から自社で生産する家具製品に使われる木材すべてでフェアウッドを採用しました。これは日本の家具業界としては初の試みです。100%フェアウッド製品を掲載した新カタログを発表した佐藤岳利代表取締役社長にお話しを伺いました。
「にっぽんの木でつくった家具」シリーズの一つ「KURIKOMA」は(写真左)、宮城県栗駒山のスギを使ったもの。これまでは家具用材としては用いられることがほとんなかったスギの小径木や間伐材を取り入れている。フレームを3層構造にし、繊維が直交するように組むという新しい工法で、やわらかいスギでも椅子に求められる強度をクリアしている。「MOROTSUKA」は、しいたけ用原木としては大きくなりすぎた宮崎県諸塚村のコナラを活用している。イスの背と座面はヒノキ。
木材自給率が3割弱しかない日本で使われている木材には違法材が混じっている可能性があり、とくに家具に使われる木材はロシアやインドネシアなどを産地とするものが多く、違法伐採のリスクが高いといわれています。世界では、木材の買い手が調達基準を設けて、合法性や伐採現場で環境面や社会面で負の影響が起きていないかどうかを確認する動きが広がっています。
佐藤さんが、材料のフェアウッド採用を含む、グリーン・プロジェクトに取り組み始めたのは、2009年。地平線まで続く巨大な家具工場を中国で訪れたときに、「ここで使われている木はどこから来たのか? ここでつくられた製品はどこへ行くのか?」という疑問を感じたことがきっかけだったといいます。価格競争の負のスパイラルに苦しむ中で、会社を立ち上げたときの「日本人である自分だから表現できる豊かさ」への思いがよみがえってきたという。それから4年でフェアウッド100%を実現しただけではなく、国産材の利用比率も50%まで引き上げました。
取り組み始めた当初は、製造を委託する協力工場や社内役員からは冷たい反応を受けたといいます。木材のトレーサビリティの確認などはコストアップにつながるためです。しかし2年ほどたった頃から、低価格・短サイクルで大量に生産・販売するという「ファスト化」し始めた家具業界の異色の取り組みとして、同社がメディアなどで取り上げられるようになり、協力してもらえる雰囲気ができあがってきたといいます。
「ロシア産の木を国産の木に変えたことで見た目が変わったわけではないけれど、つながっているという安心感が大きく違う」と笑顔を見せる佐藤さん。地域の山と街、そして人をつなぐ家具づくりに手ごたえを感じています。
フェアウッド・パートナーズは、誰の希望も失わせない方法で互いが了解できる関係=幸せを提供しようという佐藤さんとワイス・ワイスの取り組みに共感し、今後も協働していきたいと考えています。
ワイス・ワイスの新カタログ(2013年4月発表)はこちらから(http://www.wisewise.com/product/)
カタログの発行を記念したシンポジウム「日本の希望」動画はこちらから(http://www.wisewise.com/special/symposium/)
ワイス・ワイスの豊かな暮らしを作り出すインテリア(フェアウッド・パートナーズ成功事例その3)はこちらから(http://www.fairwood.jp/consultation/bp_wisewise.html)
(坂本有希/フェアウッド・パートナーズ)
(地球・人間環境フォーラム発行『グローバルネット』270号 2013年5月号「フロント話題と人」より一部改定)